巻頭企画 天馬空を行く

 

物事を最後までやり遂げることの大切さ

昔から大の読書好きで、難解な哲学書も愛読しているという田中氏。また「古事記」が好きで、休日にはヤマタノオロチやスサノオノミコトの由来になっている神社にもよく足を運ぶという。そんな同氏に座右の銘や好きな言葉があるのかを質問してみると―

「好きな言葉は『さいは投げられた』ですね。私は人生において、開き直ることがすごく大事だと考えています。上京した時がまさにそうでしたが、普段とは異なる環境に身を置くことを日頃から心がけているんです。そうしないと人として成長できないとも思っています。ただ、いざそうするとやっぱり大変なこともいろいろ出てきますよね。そんな時は、いったん決意して行動を始めた以上、最後までやりぬくしかないという意味の『さいは投げられた』という言葉が自分にハッパを掛けてくれるんです。たとえ途中でつまずくことがあったとしても、やり始めたことを最後までやり遂げる勇気といいますか―これに関してはもしかしたら親の影響があるのかもしれません。先ほどもお話ししましたように、父は1週間に1度、私を図書館に連れていくような人でした。そこで毎週何冊も借りるんですけど、中には読み始めてしばらくはとてもつまらなく感じる本もあります。けれど、最後まで読むとおもしろいこともある。このように読書にも当てはまりますが、物事を途中で投げ出さないということを今でもとても大事にしています」

魅力を感じるのは確固たる自分を持つ人

子どもの頃は本やゲームが好きな一方、スポーツも得意だったという田中氏。今も多彩な芸術的な才能を持ちながらアクション女優を志向するなど、同氏は多面的な魅力のある女性だ。そんな田中氏はどういった人間に引かれるのだろうか。

「私はさまざまな知識を得ることが好きなので、以前は博識な人に魅力を感じていました。ただ30代に入ってからは、他人と自分を比べずに『人は人、自分は自分』と割り切ることができるような人に強く引かれるようになりましたね。おそらくアスリートの方に多いのではないかと思います。自分の中に確固としたビジョンがあり、そこに向かって真っすぐに突き進んでいくような人が好きですね。そういう人が自分のそばにいてくれると嬉しいですし、生き方の参考にもしたくなります」

 

建築を通して地方の活性化に貢献したい

インタビューは優に1時間を超えたが、田中氏は終始、一つひとつの質問に対して率直かつ誠実に答えてくれ、その姿からは聡明さと人柄の良さが伝わってきた。そんな同氏に、最後の質問として、今後やってみたいことや挑戦してみたいことについて聞いてみた。

「やってみたいことはたくさんあります(笑)。もちろん女優の仕事はこれからも誠心誠意続けていきますが、それ以外でいうと……実はいま、一級建築士の資格を取るための勉強をしているんです。これまでは自分の家を建ててみたいという気持ちが強かったのですが、現在は地元の浜松市を含め、街づくりを通して地方を活性化させたいという思いがあります。昔は東京一極集中だったものの、近年はコロナ禍でリモートワークが普及して地方に移住する人も増えてきているので、少し規模が大きな話になりますが、 建築を通して日本全体を盛り上げていきたいという気持ちが芽生えているんです。最近は建築関連の番組で勉強をさせていただくことも多く、そのような場で学んだことをより深く考えるようになってきました。どんなことでも自分のためだけに頑張るというのは限界があると思うんです。だから、社会貢献だったり、人のために何かをしたりすることに対する喜びのようなものを、近ごろは強く感じます。ですから今後も、自分がこれまで勉強してきたことなどを生かしながら、そういった経験に身を投じていきたいですね」

(取材:2021年7月)
取材 / 文:徳永 隆宏
写真:竹内 洋平

 

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巻頭企画「天馬空を行く」には、現役時代に圧倒的な強さで「怪物」と称され、現在は日本競輪選手養成所の所長を務める瀧澤正光氏と、平昌オリンピック・男子モーグル銅メダリストで、競輪選手への転向を果たした原大智氏がご登場!他競技から競輪へ転向したという共通点を持つお二人に、競輪の醍醐味や選手にとって大切なこと、さらに競輪界の未来のことまで、対談形式で語り合っていただきました!どうぞお楽しみに!!

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