巻頭企画 天馬空を行く


 

楽しみに待ってくれる経営者のために

1500社を超える取材経験を持つ矢部さんは、プロのインタビュアーと言っても過言ではないだろう。経営者の真のメッセージを引き出すための極意とは何か。ゲストインタビュアーとしての心構えに迫った。

「一番やってはいけないことは、その場にただいるだけの存在で終わることだと思っています。そういった姿勢で臨んでしまっては、せっかく多忙な時間を割き、『タレントの矢部美穂が話を聞きに来る』と楽しみにしてくださっている経営者さんに対して、失礼極まりないこと。ですので、私は限られた時間の中でより多くのコミュニケーションを取るよう努めています。
 ほかには、嘘をつかないことです。世の中には多種多様な仕事内容がありますよね。取材先が聞いたことのない業界であったり、対談中に難しい専門用語が出てきたりすることは、正直言ってけっこうあります。そんなときは、素直に聞くようにしているんです。そうすれば業界のことを一から説明してくださったり、専門用語をわかりやすい表現に置き換えてくださったりします。
 こうしたやり取りも、コミュニケーションの1つだと思うんです。先ほども言いましたけど、経営者は人を見極める力が優れています。要するに、私が知ったかぶりをしたところで、必ず見透かされてしまうわけです。ですから、決して嘘はつかない。わからないことは、『わからないので、教えていただけますか?』という姿勢でも良いと思うんです。疑問や質問をどんどん投げかけていき、会話のキャッチボールを弾ませていく。そうして、社長さんのリアルな言葉をできるだけ引き出してさしあげることが、私の役目かなと思っています。取材後、『矢部さんの取材、すごく良かったです』と喜んでいただけると、私も嬉しいです」

取材が後半にさしかかった頃、ふとこんな逸話を語ってくれた。

「私、このお仕事を今まで一度も休んだことがないんです。けれど正直に言って、必ずしも万全の状態ではなかったときもありました。それでも、そのとき発揮できる最大限のパフォーマンスを常に出すよう心がけていましたね。でも一度、取材前日に突然体調を崩してしまったことがありまして。それも息ができないほどの苦しさが続く状態で、『これではさすがに明日行けないかもしれない』という思いがよぎりました。すごくつらかったんですよ。けれど、楽しみにしてくださっている経営者さんのことを考えると、休むことはできないと。なんとか頑張ろうと思いました。結局、一睡もできませんでしたが、どうにか務めを果たせましたね。もちろん、先方には事情をご説明しました」

好きなことを仕事にする40代

“信頼を失うのは一瞬。取り戻すのは一生”という言葉があるように、信頼を積み上げていくことは決して容易なことではない。どうすれば、良質な縁を築くことができるのか。矢部さんのゲストインタビュアーとしての心構えからは、一つの学びがあるように思える。最後に、ご自身の今後についてうかがった。

「40代は笑顔で楽しく過ごしたいと思っています。お仕事についても、自分のやりたいことを中心にやっていければと考えているんです。カンパニータンクさんのお仕事もその一つです。素晴らしい経営者さんにお会いできることは私の糧になっていますから。これからもよろしくお願いします。10年後もちゃんと呼んでくださいね(笑)」

(取材:2020年7月)
取材 / 文:鈴木 貴之
写真:竹内 洋平 / ヘアメイク:武本 萌

 

1 2


amazonからのご注文
2021年11月号
COMPANYTANK 2021年9月号

巻頭企画「天馬空を行く」には、井上尚弥選手を始め数々の世界チャンピオンを輩出している大橋ボクシングジムの大橋秀行会長と、ボクサーを支援しつつ新規事業「ライフメイクパートナーズ」で躍進する日本リアライズ(株)の大橋孝行社長がご登場。互いを兄と慕う2人が、挑戦の意義や逆境を乗り越える方法について語り合う、“ダブル大橋対談”をお見逃しなく!

定期購読のご案内
 

interviewer's eye

カンパニータンクのインタビュアとして活躍されている各界の著名人たちに本誌編集局が逆インタビュー。

鶴久 政治 水野 裕子 矢部 美穂 時東ぁみ 名高達男 宮地 真緒 駒田 徳広 杉田 かおる 畑山隆則