巻頭企画 天馬空を行く

タレント 矢部 美穂

矢部 美穂
MIHO YABE

北海道恵庭市出身。1992年、学研主催のコンテスト、「New MOMOCO CLUB」で応募者およそ1万2000人の中からグランプリを受賞。それを契機に16歳で上京して芸能界へ。以降、雑誌やグラビアで活躍後、バラエティ番組でテレビデビュー。現在はテレビ、ドラマ、舞台、写真集などで幅広く活動中。2020年、芸名を再び本名の「矢部美穂」に改名した。
 
 
 
 

弊誌経営者インタビューのゲストインタビュアーの中で、最多の対談回数を誇るタレントの矢部美穂さん。その総数は1536社(2020年9月号分取材まで)。創刊間もない頃から現在に至るまで、謙虚で真摯な姿勢でインタビュアーを務めてくださっている矢部さんに、思い出を振り返ってもらった。

 


 

本業に生かせる鋭い質問力

矢部美穂さんが初めてゲストインタビュアーを務めてくださるようになったのは、2007年7月号。遡ること13年前である。始めたきっかけを聞いた。

「もともとは、以前所属していた事務所のマネージャーの紹介で始まったお仕事でした。当時の私は20代。バー『YABEKE』を手がける前でしたので、経営者の肩書はなかった頃でした。芸能を生業にしている中で、インタビューされることはあっても、他人にインタビューを行う機会というのは、それまではなかったです。ましてや、企業にうかがって社長さんと対談した経験もありません。それもあってか、初回のときに『記者が進行管理をしっかり行うので、どうぞ安心してください』と言われたことを覚えています。今となっては、積極的に自分から質問することができますけれど、慣れるまでには時間がかかりました。
 それ以来、経営者の方々の貴重なお話を生で聞くことができて、すごく良い経験をさせてもらっています。何よりも、同行する記者の方と経営者さんのやり取りを聞いていると、『なるほど。こういう質問の切り出し方があるのか』と学ぶことが多いんです。そうして経験を積む中で相手への質問の仕方や言葉選びが鍛えられました。そしてその経験が、芸能活動にも大いに役立っています。例えば、ロケで温泉宿に行ったとき、女将さんや従業員さんとスムーズな会話運びができるようになりましたからね」

同じ経営者として

矢部さんは2010年に、世田谷区・池尻大橋にバー「YABEKE」をオープンさせた。経営者になってからは、より自分自身の言葉に説得力を持たせるようになったそうだ。数多くの経営者と対談を行ってきた中で、その後に経営者と交流が生まれることもあったという。さまざまな思い出話を聞かせてもらった。

「長くゲストインタビュアーを務めていると、中にはそのままご縁が続く経営者さんもいらっしゃるんですよ。そういった方々は、毎年恒例となっている私のバースデーコンペに参加してくださいます。皆さん、人とのつながりを求めているんですよね。とは言え、誰とでも付き合うわけではありません。悪知恵を働かせようと近づいてくる人もいるかもしれない。だから、経営者さんは非常にシビアな視点で、相手が信用できる人かどうかを見極めています。その過程で、私のことを『タレント・矢部美穂』ではなく、同じ経営者として信頼し歩み寄ってくれる。認めてくださるのは、すごくありがたいことです。
 取材した後日、わざわざ『YABEKE』に足を運んでくださったことがきっかけで仲良くなったこともありました。そうそう、忘れられない出来事があります。あるとき取材した経営者さんが『今日、YABEKEにお邪魔しますね』と言ってくださって。よくある社交辞令だと思いませんか?でも、その方は本当にその日にいらしたんです。あのときは嬉しかったですね。
 社長業の大変さは、一言では表せないほどです。会社を維持し、何人もの従業員をはじめ、その家族の生活を含めて守っていかねばならないわけですから。経営者の一つひとつの言動には、背負いきれないほどの責任が伴っています。経営者には経営者なりの孤独や不安がある。それらは誰にでも話せることではないと思うんです。ましてや、初対面の人にすべてをさらけ出すことは、誰にだって難しいことですよね。対談を通じてつながりができ、交流を持つ。やがて、胸に秘める大いなる野望や、不安、悩みなどを包み隠さず打ち明けてくれたときに、私はその方との信頼関係が真に結べたと思っています」

 

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