巻頭企画 天馬空を行く

LINEバイト株式会社 代表取締役社長 上土 達哉

上土 達哉 TATSUYA UEDO
早稲田大学大学院理工学研究科で建築学を学んだ後、1999年に(株)インテリジェンス(現:パーソルキャリア(株))に入社。人材紹介事業部門にて、キャリアアドバイザー、リクルーティングアドバイザーを経て、IT業界の人材紹介サービスを担当する責任者を務める。その後は、アルバイト求人情報サービス「an」の商品企画やエリア営業部門の責任者、首都圏営業部門の責任者を歴任。2012年には(株)インテリジェンスHITO総合研究所(現:(株)パーソル総合研究所)に出向し、社長執行役員に就任。そして、パーソルキャリア(株)の執行役員を経て、2015年2月に「LINEバイト」を運営する(株)AUBE(現・LINEバイト(株))代表取締役社長に就任した。

全国約20万件のアルバイト求人情報を、コミュニケーションアプリ「LINE」上から閲覧・応募できる「LINEバイト」。2015年2月のサービス開始以来、会員数を順調に増やし、その数は2018年1月時点で1200万人を超えた。SNS全盛の時代にあって、アルバイト採用とLINEは実に相性が良く、サービスが人気を集めるのもうなずける。しかし、運営会社であるLINEバイト(株)の代表取締役社長・上土達哉氏は、全くと言って良いほど現状に満足していなかった。同氏の広い視界と、そこに映るビジョンを探る。

 

希望にかなう業界と会社を求めて

求人情報サービス「LINEバイト」は、2015年2月より、(株)インテリジェンス(現:パーソルキャリア(株))とLINE(株)の2社による合弁会社である(株)AUBEによってサービスが開始された。そして2018年6月、同社はLINEバイト(株)へと社名を変更。気持ちを新たにサービスの展開に努める同社の代表取締役社長・上土達哉氏に、まずはこれまでの歩みとキャリアについて伺った。

「高校時代から『人に快適な空間を提供するサービス』を手掛けたくて、大学は建築学科に進みました。その後、大学院まで修了し、就職活動もデベロッパーや商社を中心に考えていたんです。でも、当時アルバイトをしていたバーで一緒に働いていた後輩が、インテリジェンスの入社試験を受けていて。その話を聞いて、私も受けてみることにしました」

アルバイト仲間の就職活動がきっかけとなり、結果的にインテリジェンスに入社し、人材サービス(HR)業界に進むことになった上土氏。当初希望していた業界から大きく方向転換した決め手は何だったのだろうか。

「私は就職先を考える上で、3つの条件に主眼を置いていました。それは、『自分自身が成長できるか』『その会社に意志があるか』『業界や会社の社会性・成長性が高いか』ということ。この3つの条件が揃ったのがインテリジェンスであり、HR業界だったんです。
 まず『自分自身の成長』については、正直なところ、それまでの人生はレールの上を歩いてきたという感覚がありました。そしておそらく、大手のデベロッパーや商社に入社しても、そのレールから外れることはできないと思ったのです。例えば、ある程度年齢を重ねてキャリアを積んでから、新たにやりたい仕事が見つかっても、大手の安定した地位を離れてまで果敢にチャレンジはできないだろうなと。一方で、当時のインテリジェンスは、社員数200人にも満たないベンチャー企業。だからこそ、会社の看板ではなく個人の能力が問われますし、挑戦しがいがあると考えました。
 次に、『会社の意志』という点です。私は元来、物事を自分で判断して動きたいタイプですが、会社に属する以上は組織の方針にも従う必要があります。そのときに、事業を通じ、社会に対して何を成すべきかという意志が不明瞭な会社にはコミットメントできないと思ったのです。そのため、会社に意志があるか、その意志に共感できるか、という点は外せない条件でした。
 そして3つ目が、『業界や会社の社会性・成長性』です。私はもともと、人一倍熱心に働きたいと思っていました。そうして働く中で、ふと『何のために頑張っているんだろう』と立ち止まったとき、必ず『社会にこんな価値を提供するために』『こんなサービスを生み出して社会貢献するために』という思いに帰結できるような、社会性があって自分自身が本気になれるマーケットに身を置いていたいと思ったのです。また、就職先の候補だった他の業界に比べて、HR領域の市場はまだまだ未開拓でポテンシャルがあるという点で成長性も高く、いろいろなビジネスチャンスにつながるだろうと感じていました」

社会における最大の課題解決を目指して

学生時代から明確な軸を持ってキャリアや人生に向き合ってきた上土氏。中でもHR業界の成長性については、自身の背中を押すきっかけとなった出来事があったという。

「アルバイト先のバーには、働き盛りのビジネスマンのお客様もたくさんいらっしゃいました。そこで、就職活動中だった私はお客様にとっての仕事のやりがいを尋ねていたんです。すると、ほとんどの回答が『結婚して子どももいて、働かないと生きていけないから働いているんだよ』といった、“仕方なく働いている”というものばかりでした。仕事は朝早くから夜遅くまで、一日のうちのほとんどの時間を割くものです。それを20代から40年以上、嫌々続ける人が大半だなんて・・・そのときは正直、絶望を覚えましたね。
 ただ、同時に考えたのは、『世の中のより多くの人が自分の仕事に意義を感じ、モチベーションを持って働けるようになったら、日本においてどれだけ価値があることだろう』ということ。ただ言われて働いているだけか、主体的に仕事をするか、その違いでパフォーマンスも大きく変わります。だからこそ、皆が自分らしく本気になって働けば、日本経済は今より何倍も良くなるはず。このことは間違いなく、社会にとっての最も大きな課題の1つと言えるでしょう。そして、その課題を解決できるのはHR業界の領域だと、強く思ったのです」

 

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