巻頭企画 天馬空を行く

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おもてなしの象徴であるスーツ文化

上質・安価なオーダースーツを通じて社会活性に繋げている佐田社長は今後、どんな未来を見据えているのだろうか。

「2〜3年後までに、現在の36店舗から50店舗に増やしたいと考えています。札幌や広島などの中核都市にはまだないのですが、これらの未開拓エリアにも出店することで全国展開を果たすのが1つの目標ですね。そして5年後には“スーツを着る人で知らない人がいない会社になる”というのが弊社の目指すところ。ビジネススーツを買うにあたり、既成品とオーダーのどちらにしようと迷う感覚が当たり前になるくらい、オーダースーツ業界を盛り上げていきたいですね」

最後に「なぜスーツを着るべきか」という根源的な問いについて、佐田家に受け継がれてきた思いを語ってくれた。

「青山商事さんがスーツ販売世界一でギネスブックに載ったように、日本人ってものすごくスーツを着る民族なんですね。しかも青山さんは国内でしか販売展開していないので、日本人はどれだけスーツを買うのかっていう話ですよね。今のように日本人がスーツを着るようになったのは戦後です。佐田家はその流れに乗って生地卸商として一財産を築いたのですが、なぜそれほどまでにスーツ文化が浸透したのかというと、戦争が終わって軍服を脱いだ人たちが、ビジネスという新たな戦場で着るに相応しいものだと考えたからです。それこそ古来より欧米ではエグゼクティブの方々のみが着るものでしたし、スーツは誰に対しても、どこへ行くにしても礼を失さない格好です。つまりスーツという着物は、礼節を重んじる日本人の気質に合っていたのでしょうね。
 当時はフルハンドメイドのテーラーさんしかなかったので、スーツは今よりずっと高価でした。安いものでも、現在の貨幣価値にして1着30万円くらいしたそうです。昔はよく一張羅と言いましたが、これはスーツを1着しか買えない人が多かった時代の名残なんですね。それでも戦後、生活もろくに安定していない人々がこぞって買ったのは、相手に対する感謝と敬意を示すために身なりにも全力を注いだからなんです。しかし時代と共にその価値観が薄れ、バブル期などは「いいスーツを着るのはモテたい、地位があるように見られたいという自分のエゴのため」といった空気すら生まれてしまいました。この単に着飾る姿勢は、少なくともビジネスの場においてはまったくオシャレとは言えません。
 真のオシャレとは、おもてなしの心で相手を気遣ってするものです。戦国末期から江戸初期にかけて着物の柄がものすごく増えたのも、おもてなしの心を重視する茶の湯の流行があったからにほかならないのです。私は弊社のオーダースーツを通じてもう一度、この意識を日本人に思い出して頂きたいと思っています。つまり、おもてなしの精神の象徴であるスーツ文化を再構築したいのです。この思いで日本のビジネスシーンを活性化するというのが、弊社の使命です」

(取材:2016年8月)

20160901_tenma_ex02株式会社 佐田
本社所在地 〒101-0032
東京都千代田区岩本町2-12-5 5F
URL http://www.sandars.co.jp/
設立 1923年(法人化1957年)
資本金 100,000千円
事業内容 紳士、婦人オーダースーツ製造・卸・販売オーダー制服、礼服製造・卸・販売

 

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