巻頭企画 天馬空を行く

20160301_tenma_h2-01

 

20160301_tenma_ex4 
改善に次ぐ改善が生んだ効率性

「新しいビジネスモデルで動き始めた当初、一棟として同じ建物を建てない方針で進めていたこともあり、建築行程などそれぞれの案件の進捗が複雑化しすぎて、あらゆるところでトラブルが生じるようになりました。そのときにもはや人力のみで対応できるレベルではないと感じ、社内に独自の管理システムを導入したんです。これは『確認指示を出す』とか『地盤調査をする』といったアパートが完成するまでの様々なタスクを約140の項目に分け、それぞれの案件で今、誰が、何をしなければならないのかが一目で分かるシステムです。その時間もきっちり計られていて、例えば経理の確認書類が誰のところで何時間何分止まっている、というところまでが分かるのです。
 案件の進捗把握の徹底ぶりに『社員の方々が大変そうですね』と言われることもありますが(笑)、私はそうとは全く思っておらず、むしろ分かることでのメリットのほうが大きいと捉えています。例えば、部下が申請した経理の書類を上司が止めていることを誰も気が付かずに放置されるほうが、よっぽど可哀想だと思いますから。そういうことを防ぐために、業務の進捗が分かるような仕組みづくりをしたんですね」

業務進捗を全て俯瞰することでスタッフの実務面でのストレスを軽減する──組織づくりを語るうえでこれまでありそうでなかった合理的発想は、どのような思いから生まれたのだろう。

「単純に私は、無駄なものが嫌いなんですよ。だから仕事が無駄に止まっているのも、すごく嫌なんです。ただし弊社の企業文化として『人の責任にはしない』というものがあります。例えば書類がどこかで止まっていたら、止めていた担当者を責めるのではなく“なぜ処理ができなかったか”を考える。つまり業務フローのほうを見直すということですね。
 もちろんサボっていたら怒ります。しかしそうでなければフローに何らかの問題があるわけなので、その根本を探り当てて改善に繋げていく。これを繰り返し続けているので、業務効率はかなりいいほうではないでしょうか。常に見直しをするという意味では、『見える化』というよりも『見やすい化』。今は全社員で500以上の案件を担っているのですが、『見やすい化』による小さな改善の積み重ねが、やがて大きな成果に繋がっていくものだと思っています」

上場を経て、さらなる高みへ

徹底して業務を見直すから作業効率が上がり、スタッフの負担も減り、結果としてスタッフのやる気と会社の業績が上がる。ビジネスモデルの改革と共にこの好循環を生み出したことで創業から約10年、2015年末にいよいよマザーズ上場を果たすことになった。

「リーマン・ショックを経験して在庫を持つリスクを肌で感じたこともあり、その後の目標に『無借金で年商100億円』を掲げました。そして2012年にこの数字を達成し、この先どうやって企業を成長させていくかを考えたとき、IPOを目指すというのは自然な発想だったと思います。会社の信用力の向上、資金調達の多様化、リクルーティング面での有利さなど、会社としてさらなる飛躍を遂げるうえでメリットは大きいですからね。
 今後の会社の方向性に関して言えば、弊社は『ネットとリアルを融合』したビジネスモデルで乗り切ってきたので、やはりこれらを踏まえつつ、アパート事業をはじめ民泊、IoTといった新たな事業にも注力していきます。弊社の特徴は、不動産業における“ネット”と“リアル”双方に精通していること。どちらかでなく両方というのが、インベスターズクラウドの何よりの強みなのです」

IPOという目標を達成してさらなる飛躍を見据える古木社長。最後に、自身が考える「仕事の本質」を語ってくれた。

「仕事において最も大切なのは“現場”です。現場に問題点の解決策や新しいアイデアがあるわけですから、私はとにかく現場に出て、自分の目で確かめることを大切にしてきました。それと仕事を進めるうえで最も大事にしているのは『仕組みをつくること』。そもそも『仕事』という言葉自体、『“仕”組みをつくる“事”』を表していると私は考えています。
 だから思うのですが、例えば部下が仕事で結果を残せなかったとしたら、その個人を責めるのではなく、リーダーが部下の能力を活かせる仕組みをつくれなかったことが原因だと考えるべきです。もちろん実際には、特に中小企業は個々が自発的に発揮する能力によって成り立っている会社のほうが多いかもしれません。だからこそ逆に、誰もが活躍できる仕組みをつくり出せたら、その会社はとてつもなく大きな組織になると思うのです。“無駄を省き、誰がやってもうまくいく仕組みを整える”。これが、私の考える仕事の本質です」

(取材:2016年1月)

株式会社 インベスターズクラウド
20160301_tenma_ex501

本社 〒107-0062
東京都港区南青山2-27-25 7F
URL http://www.e-inv.co.jp/
設立 2006年1月23日
資本金 6億192万円
従業員数 210名(2015年9月30日現在)

1 2 3


amazonからのご注文
2019年9月号
COMPANYTANK 2019年9月号

巻頭企画「天馬空を行く」には、元ボクシング世界王者の内山高志さんがご登場!世界王者の栄冠を掴むまでの足跡を辿ります。

定期購読のご案内
 
LINE@無料会員登録はこちらから

LINE@無料会員登録はこちらから

interviewer's eye

カンパニータンクのインタビュアとして活躍されている各界の著名人たちに本誌編集局が逆インタビュー。

杉田 かおる 名高達男 矢部 みほ 宮地 真緒 鶴久 政治 時東ぁみ 水野 裕子 畑山隆則