巻頭企画 天馬空を行く

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中小企業経営者・社員への提言

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これまで美容グループや物流不動産など数々の企業を、投資するだけでなく自ら現場に入り指揮を執っていくことで再建してきた片地社長。だからこそエコ配の今後にも注目が集まるが、そんな輝かしいキャリアを持つ片地社長が、弊誌の主な読者層である中小企業経営者、及びそこで働く社員の方々に対して、成功へのヒントを次のように語ってくれた。

「まず、中小を含めた企業で働く若い人たちに伝えたいのは、常識とされてきた社会での価値観が今は大きく変わってきているということ。かつては大きい企業に入って小さな競争をして、そのなかで順調に出世できれば何となく人生のゴールみたいなところはありましたよね。でも、今後はそうじゃない。新しい価値や技術が日増しに生まれている昨今、例えば30年後にその企業が存続している保証は全くないし、むしろなくなる可能性のほうが高いかもしれない。そうした現状を踏まえて『自分が本当にやりたい仕事は何か』を真剣に考え、起業や転職という形でそれにチャレンジしてほしいと僕は思います。
 最近、東大の大学院を出て東証一部のシンクタンクの第一線で働いていた人間が、何を思ったのか弊社の面接を受けに来ました。その理由を聞いてみると、彼曰く『将来の独立を見据えてベンチャー企業でキャリアを積みたい』と。このように若い人のベンチャーへのイメージは、僕が起業を支援し始めた15年前と比べると圧倒的にいいものに変わったと感じています。単純にベンチャーでの成功者が多く報じられるようになり、そうした取り組みを支援する制度も次々に生まれている風勢ですし、日々の仕事に疑問を感じているくらいならば、自分のやってみたいことをやってみられたらいいなと心から思いますね。例えば起業するならば会社は1円でつくれます。その瞬間からあなたは社長です。終身雇用制が崩れてきている今だからこそ、自分の直感を信じてどんどん挑戦していってほしいなと」

各企業の社員に「挑戦する」ことの大切さを力説する片地社長。では、中小企業経営者に伝えたいことはなんだろう。

「誰もが知る大手企業でも、スタッフが500人クラスの中堅企業でも、地域に密着する中小企業でも、数名で動く零細企業でも、基本的に経営者の悩みというのはさほど変わりません。経営はつまるところ『資金をどうする、人をどうする』というところに行き着くわけですから。どんな規模であれ“ヒト・モノ・カネが大切”という意味で私も皆さんも共通した悩みを抱えているという大前提を踏まえ、そのうえで何か言わせて頂くとするなら、やはり『チャレンジングな経営をしてほしい』ということでしょうか。失敗してもやり直しが利く社会になりつつありますし、自分の理想を具現化すべく思いっきりやってほしい。その一つの選択肢として、海外進出があります」

国際社会を踏まえた舵切りを

国内需要が縮小し、ボーダレス化が加速する昨今、片地社長は海外進出の必要性を肌で感じているという。

「アメリカを中心に世界経済が回っているというイメージは皆さん持たれていますが、そのなかで日本のきめの細かい事業やサービスはもっと国際的に評価されるべきです。例えば私が世界一素晴らしい運送会社だと考えているヤマト運輸さんの企業価値(時価総額)が1兆数千億であるのに対し、2009年に設立されたタクシー配車のオンラインサービスを手がけるアメリカの企業『Uber』さんの企業価値は、まだ上場していないにもかかわらず約4兆円だそうです。その数字はJR東日本とほぼ同じなのですが、最近できたアプリの会社と日本の鉄道インフラを支える会社が同価値というのはちょっと驚きますよね。サービスを全世界に広く発信することで一挙に企業価値が上がるというのが、この事実からも分かると思います。
 僕は10年以上前に上海でビジネスをしていたことがあるのですが、当時の街並みは大きな建物も少なく地平線が見えているような状態でした。ところが今はビルだらけ、上海の街は急激に発展を遂げたのです。その間に途上国が持つ凄まじい欲求感というのを肌で感じてきただけに、やはり海外進出というのは大きな飛躍のチャンスだと僕は断言します。そもそもヤマト運輸さんの企業価値がUber社の3分の1というのは、率直に言えば大きな違和感があるんですよ。
 もちろん今後は、日本の企業の海外進出がますます活発化するでしょう。それは中小企業も同じこと。どんどんボーダレスになり、尋常ではないほどの情報が全世界から入ってくるなかで、その情報を精査して常に有益な情報を得にいくようなハングリーさやアグレッシブさを日本の多くの企業が持つようになれば、経済はどんどん活性化していくと思います。ぜひ、企業の規模を問わず、世界的な物差しのなかで戦っていってほしいですね」

では、片地社長自身はエコ配の海外進出も見据えているのだろうか。

「先に言ったことと矛盾するようですが、今のところエコ配の海外進出は考えていません。例えばオーストラリアには広大な土地に2000万人の人が住んでいますが、日本には東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県の狭いエリアだけで3500万人が集中しています。そう考えたとき、国内でこの3500万人が豊かになれるロジスティクス網をつくってそこに様々なサービスを展開していったほうが、今の事業をするうえでは絶対にいい。そしてこのビジネスモデルが確立したら、あとは商社にプロトタイプとしてこのモデルを輸出してもらえればそれでいいのではないでしょうか。エコ配の将来のことで言えば、総合的に考えてIPOを目指すことになると思います。資金調達というのはもちろんのこと顧客拡大やブランドイメージの確立、雇用面、安心感においても必ずプラスに作用するわけですからね。
20150701_tenma_d03 ちなみに僕は金融出身の人間なので、知人から『自らエコ配の陣頭指揮を執る必要があるのか?』とよく聞かれるんですよ。要するに金融とはある意味で真逆の、最も労働集約的で大変な事業をなぜしているのかと。確かに人を動かすというのは自分で動くよりも大変だし、金融の世界は億単位のお金がボタン1つで動くのに対して、僕らは10億円を売り上げようと思ったらみんなで必死に300万個の荷物を集荷して配達する必要があります。ただそうした苦労をするぶん、未来へのワクワク感やインフラを作りあげたあとの楽しみというのも非常に大きいのです。僕自身、新しい事業に参画することは大好きですし、どれだけ年老いたとしてもきっと何らかのビジネスに挑戦し続けていると思いますよ(笑)」

(取材:2015年5月)

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株式会社 エコ配
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本社所在地 〒105-0003
東京都港区西新橋2-8-12 第二土井ビル5F1695-1
URL http://www.ecohai.co.jp/
設立 2007年7月2日
資本金 13億8195万9600円
従業員数 522名(内パート・アルバイト 221名)

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