巻頭企画 天馬空を行く

僕はかけっこが好きだから

小出は50年以上にわたって陸上に携わり、常に陸上のことばかりを考えてきた。その原動力を尋ねると、「僕はかけっこが好きだからね」と、笑う。

──僕はほんとに陸上が好きでね。60過ぎてもフルマラソン走ったり、ハンデもらって高橋と競争したりしてた。当然負けちゃうけどね(笑)。で、僕が好きだから、教えてる子もみんな陸上が好きになっちゃうんだ。陸上には辛いことや苦しいこともあるけど、好きだから続けられた。楽しいからね、陸上。自分で走るのも楽しいし、選手の成長を見ているのも楽しい。成長しているのが目に見えてわかるんだもん。
仕事だって、好きなことをやったほうがいいよ。好きだからこそ、夜遅かったり辛いことがあったりしても頑張れるし、嫌いな仕事だったら辛い時に耐えられない。好きなことだからこそ成功したい、上手くなりたいと思うわけだからね。人に言われてやるんじゃなく、自分から率先して「これでもか!」ってやるうちに結果が出てくるんだよ。ただ、その時に「頑張ったから認めてくれ」って言っちゃダメ。僕は高橋に金メダルを取らせてもらったわけだけど、それも僕が陸上に対して40何年も真摯に取り組んできたから、お天道様が「じゃあ陸上を頑張ってきた小出に褒美をあげるよ」って感じでくれたんだと思ってる。
そんなもんなんじゃないかな、人生って。

好きだから、頑張れる。好きだから、考える。好きだから、妥協はしない。小出の芯の部分は、「陸上が好き」、この一言に尽きる。そこに雑念はない。

インタビュー後、小出は練習場へと案内してくれた。ジャージに着替えてトラックに赴き、選手たちに指導を行っている小出からは、スーツ姿の時以上にみなぎるエネルギーを感じ取ることができた。小出にとっては陸上トラックこそが職場。半世紀という長きにわたり、愛する陸上に携わり続けている男の情熱がそこにはあった。「あそこに走ってる子、彼女は今日本で一番強い選手だよ」「あの子は横浜の大会で初マラソン走って4位だったんだ」トラックを走る選手たちを指し、教えてくれた。大邱の世界陸上、そしてロンドン五輪へ。自身2つ目の金メダルへ向け、小出はなお情熱を燃やし続けている。

「よーし、いいぞ!」小出の力強い声が、トラックに響き渡った

(取材/2011年4月11日)

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