巻頭企画 天馬空を行く

眠らない国際展示会、
「Alibaba.com」

アリババ株式会社 代表取締役社長 CEO 香山 誠氏「アリババグループが築き上げてきたビジネスは、大きく分けてB2B 、B2B/B2C、 そして決算サービスの3つの領域に分かれます」

そう、香山氏は事業概要を説明する。B2B領域における一つ目のサービスは、ワールド・ワイドのB2Bサイトである「アリババドットコム」だ。

「『アリババドットコム』は、アリババグループの旗艦業務を担うサイトで、中国語サイト、英語サイトがあります。まず英語サイトについてお話すると、世界中のサプライヤーとバイヤーをマッチングするサービスを展開しています。登録バイヤーはおよそ1800万、サプライヤーは約170万。世界最大規模の英語のインターネット展示会と言えるでしょう」

と香山氏。氏は、アリババが提供するサービスをしばしば「展示会」に例える。

「さまざまな企業が出展し、そこに訪れる人々が新製品や業界の動向を肌で感じ、取引先を選別する。我々が提供しているプラットフォームは、24時間365日眠らない、インターネットの国際展示会。実際の展示会と違うのが、出展料が格段に安く、資金力によってブースの場所や規模に差が出ないという点です」

訪れるバイヤーの数や規模も、実際の展示会とは異なる。製品特徴やサービス内容をきっちりと打ち出していけば、この一つの展示会に参加するだけで、世界市場で自社製品の代理店となりうるバイヤーとコンタクトがとれることになる。

一方、「アリババドットコム」の中国語サイトは、中国国内を対象としたドメスティックサイトだ。広大な中国では、日本のような「商社」や「卸」といった業態は機能していない。企業間には最初からインターネットで取引先を探すという商習慣が根付いているのだという。

「中国国内で本格的にビジネスを展開する気運が高まってきたのは、2000年を過ぎてからのことです。1990年の頃の中国は、世界でも最貧国。ビジネスをする環境にはありませんでした。それが2000年を過ぎ、1人頭のGDPが1000ドルを超えて初めて、国内のビジネス取引が稼動してきました。多くの企業が国内で取引先を探すため、インターネットのプラットフォームが必要とされてきたのです」

中国国内シェアは、およそ50%を超える。中国国内でのインターネットビジネスは、アリババドットコムの存在なしに語ることはできない。

世界のバイヤー1800万社、世界を市場とするクロスボーダーのサプライヤー170万社、そして中国国内取引を手掛ける中小企業4400万社がアリババグループの過去10年間のB2B領域における資産となる。この中から、アリババジャパンは日本企業に最も適した顧客を抜き出し、「アリババ ワールドパスポート」というサービスとして提供している。

「日本の中小企業が世界の海外市場開拓をサポートするB2Bサービス」?ワールドパスポートの概要を一言で言い表すと、そんな表現になる。

「海外市場開拓に最も大切なのは、“買ってくれる人がいるかどうか”という点です。つまり、バイヤー資産をどのくらい持っているか」と香山氏。「我々も、1800万社のバイヤー資産をゼロから作れと言われたら、とてもこんなサービスはできない。その資産を持っていることが、我々の一番の強みです」

一方、B2B/B2C領域における資産では、中国国内で展開されているショッピングサイト「タオバオ」がある。C2CのオークションとB2Cの商品販売システムを提供するタオバオは、中国で最もユーザーが多いショッピングサイト。登録しているバイヤー数は、4億弱だ。

「タオバオの2010年の流通総額は、約4000億元です。1元15円換算で日本円にすると6兆円。13円換算だと5兆2000億円です。2009年は15円で換算しており、3兆円でした。ちょうど倍のペースで成長していることになります」

アリババジャパンは、このタオバオ上で、日本企業が日本にいながらにして、中国の消費者に直接商品を販売することができるサービスを提供。サプライヤー企業の目標やフェーズに合わせて様々なソリューションの提供が可能で、企業はタオバオ内で、直接商品を販売することができる。

既存の構図を覆すインターネット

貿易実務、流通経路の把握、言語能力?企業が海外市場を築こうとする際、最も必要なことは何だろうか。この問いに、香山氏は簡潔に答える。

「中小企業の海外進出で最も大切なのは、販売チャネルを築くことです。これまで企業が海外に出ようと思ったら、まず現地に資本金を投下することから始めていました。現地に法人をつくり、海外コンサルタントに高いコンサル料を支払ってマーケティング活動を進めつつ、1回数百万かかる海外の展示会に出展し、代理店を探す。いわゆる地上戦を展開していたわけです」

だからこそ、中小企業には限界があった。常にぎりぎりの資本で事業を展開している中小企業は、国内での通常業務をこなしながら海外市場を開拓するのは資金面、人材面共に難しく、自ずと余裕のある大手企業しか海外に出られないことになる。だが、インターネットを使えばその構図はがらりと変わる。

「インターネットの本質は、大きな組織や大資本から、小さな個人やコミュニティにパワーをシフトするものです。資金がない個人でも、必要な情報をダイレクトに入手し、遠く離れた海外とやり取りすることができる。ここでは、資本や生産設備を持っているということは何のプラスにもなりません。例えばワールドパスポートの利用料であれば月5万、1年で60万円しかかかりません。インターネットは中小企業にとって、今後海外に進出し、大企業と伍して戦える最も有効なツールと言えます」

●アリババドットコム 国際サイト登録ユーザーの分布

アリババドットコム 国際サイト登録ユーザーの分布

グローバルトレード・マーケットである国際サイト「Alibaba.com」の登録ユーザー分布図(2011年3月現在)。アリババジャパンが手掛ける「ワールドパスポート」は、このサイトを活用し、日本の中小企業経営者の海外販路開拓をサポートするサービス。中小規模や個人では開拓が難しい販売チャネルを提供する。

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