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女優 杉田 かおる
いわゆる“元祖天才子役”として名を馳せた、女優の杉田かおるさん。1972年、7歳のときに日本テレビ系列のホームドラマ「パパと呼ばないで」の主演子役に抜擢されて以来、活動の場を多方面に広げながら、実に40年以上にわたり女優・タレントとして第一線で活躍し続けてきた。近年はダイエット本の出版やオーガニックライフの啓蒙など“美”に関する取り組みにも積極的な杉田さんに、インタビュアとしての思いなどを語って頂いた。

インタビュー・文・編集:カンパニータンク編集部

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48歳にして女優歴41年。そのなかで培ったことや見えてきたことを、まずは聞いた。

― 杉田さんといえば、やはり“元祖天才子役”というイメージがあります。

杉田 ただ私自身、そんな感覚はまるでなくて。そもそもこの世界に入ったのは偶然に実家の近くに劇団があったからで、ピアノや踊りといったお稽古ごとの1つとしてお芝居もやってみたい、というくらいの感覚でした。5歳のときです。もっとも当時から母とよく映画や舞台を観に行っていましたから、どこかで「大勢の人々の前で演じる」ことへの憧れはあったかもしれません。それでオーディションに行くようになって、漠然と「受かるといいな」なんて思っていたら、運よくドラマのお話を頂いて─。

― 以後、お茶の間の人気者として脚光を浴びるわけですが、当時を振り返ってみていかがでしょう。

杉田 大変だったという記憶しかないですね。当時の子役は女優やタレントとしてみなされず、名前も覚えてもらえない。いわば動物と同じような扱いでした(笑)。撮影の順番も大人が先で子役は最後。逆に今の子役さんはすごく大切にされるので、いつのまにか子役の環境は真逆になったという印象です。

― 子役への接し方を通じて社会の風潮も見えてきますね。それにしても、一度ブレイクした子役の方がその後、何十年にもわたり芸能の第一線で活躍されているというのは、意外と珍しいような気がします。その要因はご自身でどう捉えていますか。

杉田 そうですね・・・実は私、13歳のときに一度、独立しているんです。大手プロダクションを辞めたばかりのマネージャーさんがついてくれたのですが、計画もないまま成り行きでそうなってしまったためか、全く売れなかった。早すぎた独立は1年で挫折。金銭的な面も含めて大失敗でした。
中学生にして早くも、お金の大切さや怖さを痛感しましたね。今振り返ればその経験が、まずは良かったのだと思います。お金が入ってきたときも無駄づかいはしなかったし、何ごとに対してもすごく慎重に、堅実になりました。バブルのときも踊らなかった(笑)。

― 13歳という若さで本当の意味で社会の厳しさを知ったことが、後にプラスになったと。

杉田 そう思いますね。それとバラエティや出版関連、今回のインタビュアや歌手としての仕事もそうですが、私は子役のときから「女優だから芝居だけ」という発想は全くなくて。頂いた仕事を吟味したうえで、できるかぎり色々なことをやってみようという姿勢でいたことも、今に繋がっていると思います。そのなかで出会った多くの人にアドバイスを頂きながら、がむしゃらに挑戦して。その繰り返しのなかで自分の可能性や表現方法を模索していきました。

― その積み重ねが演技派女優としての評価に繋がっているのですね。 では、本業である“女優”として心がけてこられたことは?

杉田 私は好奇心の塊のような人間です。だから極力、固定観念を持たないようにしてきました。「これはこうだ」と決めつけてしまった時点で発展はありません。プライベートも含めて常に好奇の視点でものごとを見つめ、そこで発見したものを自身の経験や記憶のなかに蓄積し、組み立てていく。演技をするうえで、こうした作業が役立っていますね。
人間の表現には色々な可能性があり、芝居にはこれが正しいという答えはありません。たくさんのパターンを知るためにも「好奇心を持つこと」、そして「想像すること」が、役者をするうえで最も大切ではないでしょうか。もちろんこれは、人生やほかの仕事においても同じことが言えると思います。

― 聞くところによると“本番に強い女優”としても知られているとか。

杉田 それは結局、どうやって本番に体調や精神状態をピークに持っていくかだと思うんですが、私自身が特別じゃなくて、「結果を出さないと明日はない」という子役だったころの環境がつくってくれたものです。当時は今のように編集でどうにかなる時代ではなく、いわば全てが一発勝負。与えられた時間のなかでいかに最高のパフォーマンスを発揮できるかという、言うなればオリンピック選手のような緊張感のなかで常に仕事をしてきたので、“本番に強い”というのはおのずと身についた感覚でした。正直、いい時代に役者になったなと思いますね(笑)。

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