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 「ピーターパン」を演じるという夢を叶えるため、何ごとにも果敢に挑んできた相原さん。現在は、ニューヨークと東京を行き来し、マルチに活動しているが、今なお、そのバイタリティは衰えることがない。

相原 私は今、プライベートパイロットの資格取得に向け勉強中なのですが、フライトってまさに人生と一緒。北があって、南があって、風が吹いて─、それに対して自分で考えなければいけない。今、どうしたらいいのか。道を決めるのは自分なんです。そしてそこに責任が生まれるからこそ楽しさも生まれる。舞台もフライトも人生も、やり直しは効かない。一度始めたら続けるしかないんです。今は人生の折り返し地点だと思っていて、また新たに人として学ぶスタート地点に立っているんじゃないかな。

─自身の道を明確に持ち、留まることなく進んでいく相原さん。自身を奮い立たせる原動力って何でしょう?

相原 「人」でしょうね。私は出会いに恵まれていると思っているんです。これまでの人生、本当に多くの方に助けられてきて、人によって生かされてきた。自分1人では何もできなかったと思っています。そういった人との出会いが活力にも繋がっているんじゃないかな。ニューヨークで9.11を体験したとき、人を傷つけるのも人間だけど、人を癒す、人を救える、人を元気にするのも人間なのだと、改めて実感したんです。自分がどう生きていきたいのか、それを考え直させてくれたのがニューヨークであったと思います。

─実際、自身の生き方はニューヨークに渡ってどのように変わっていったのでしょうか?

相原 渡米してからは、全てがゼロからのスタート。生きる大変さを実感しました。でも逆に、ゼロから全てをスタートさせられた自分は運がよかったなと思っているんです。そこで人生において「捨てる勇気」を教えてもらいました。1つのことにしがみつくのではなく、新たなものを取り入れていく。自分を中心として360度、世界があることを感じられるようになったんです。自分の身体が人生の中心になるのだから、それを使わなければ損。そこからはトレーニングを始めたり、バレエをゼロから習い始めたり、介護を学ぶようになったり。どんどん学びに対する意欲が深くなっていって、どんどん人生において新しい扉が開けていくような感覚を味わえるようになったんです。

自身と向き合い続け、人の弱さ、人によって傷つけられることの怖さも知っている相原さんだからこそ、「人」の存在を大切にされているのだろう。  最後に、弊誌ゲストインタビュアとしての想いや展望を聞いてみた。

─これまでに印象に残っているインタビューってありますか?

相原 インタビューとしてのエピソードというよりも、大手の会社で役職に就いて働いていたにもかかわらず、「このままでいいのかな?」と考え、起業をしたという経営者の方に感銘を受けますね。恵まれた環境のなかから一歩踏み出し、自分のやりたいことに対して貪欲に歩んでいく、そして自分の人生だから自分で責任をとるという姿勢に共感を覚えるんです。経営者の方からもらえる勇気にいつも励まされていますね(笑)。

─相原さんのインタビューを聞いていると、経営者の方にもその元気さが伝わっているような気がします。

相原 それは嬉しいですね。お互いにWin-Winの関係でいられるのが理想。職種が違っても、共感できる想いを持っている方は多いから、共に前に向かっていきたい。根となる部分はみんな一緒、そこからどんな花を咲かすのかはその人次第だと思っています。目指す方向が違うのは当たり前。その人なりの考えや想いを持って前に向かうということが大切なんですよね。私自身、18歳の頃からこの身1つで生きてきた。私が仕事を生み出し、この身が財産の全てでもある。そういった意味では、私も1人の経営者なのかもしれません。

─では、相原さん自身の今後の夢ってありますか?

相原 自分のそばにいる人が、みんないつも笑顔であったらいいなって思っています。人に笑顔になってもらいたい─その手段は舞台かもしれないし、ラジオかもしれないし、テレビかもしれない、そこに対してのこだわりはないんです。私の好きな言葉は「Thank you」。何ごとにも日々“感謝”なんです。それに、「ありがとう」って言うってことは誰か相手がいるということ。隣にいてくれる人がいるからこそ、生まれる気持ちですよね。そして、そこに笑顔が伴って本心から感謝の気持ちを伝えられるんだと思うんです。それって素敵なことだなって。

ピーターパンというフィルタを通して、自身の人生を語ってくれた相原さん。人を頼るのではなく、人に生かされている─大人になったピーターパンは人を信じることの強さを知っているに違いない。今後もその強さを活かし、マルチに活躍してくれることだろう。

(取材 : 2012年6月)

相原 勇 あいはら ゆう

広島県出身。1989年スタートの「平成名物TV」の1コーナー「いかすバンド天国(通称:イカ天)」で三宅裕司と共に司会を務め、明るく元気なキャラクターで人気を集める。ドラマやバラエティでも活躍し、芸能界を目指すきっかけとなった舞台「ピーターパン」の主役を1992〜1994年にわたって務めた。1997年に単身渡米し、語学と演劇を学ぶ。2006年、歌手として16年ぶりとなるアルバム「Thank You」をリリースした。現在はハワイと東京を往復し、マルチに活動中。

相原勇オフィシャルブログ「I Can Fly!!」
http://www.ameblo.jp/you-aihara/

 

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