
インタビュー・文・編集:カンパニータンク
山川さんは1998年、16歳で「ミスヤングマガジン」のオーディションに応募し、同時期にスカウトを受けてデビューを果たす。元々、芸能界への憧れは人一倍強かったそうだ。
山川 私が芸能界に入りたいと思ったきっかけは、テレビで久本雅美さんを見て、画面からすごく元気を頂いたことなんです。大きなパワーを感じて、「私もこの人のいるところに行きたい!」と思ったんですね。
―テレビで見る芸能界と、実際に入ってみた芸能界とではギャップがあったかと思います。
山川 芸能界という世界は、外から見ている分にはすごく楽しそうな場所なのではないかと思います。でも、中に入ってみて最も感じたのは「考えることの必要性」でした。毎年多くの方がデビューされる芸能界という世界で生き残っていくためには、自分の仕事についてしっかりと考え、少しずつでも変化を続けていかなければならないということが分かったのです。
―やはり、最初のうちは思い悩むことも多かったのでしょうか。
山川 私の場合は逆で、デビュー当初はうまくいきすぎなくらい色々なお仕事をさせて頂けたんです。その流れが少し落ち着いた頃に、考える時期が来たという感じです。例えば多くの芸能人、芸人の方々は、最初の頃に色々と考えながら土台をつくり、それが安定してくることで長く活躍していけるのだと思います。でも私は、デビュー当初はそこまでお仕事について深く考えていたわけではありませんでした。私は24歳で結婚をするのですが、それまではもう次の日のこと、目先の仕事で精いっぱいでしたね。
―というと、結婚が1つのきっかけに?
山川 はい、私の主人はお笑い芸人ですから、芸能人同士としてお仕事の話もよくしていました。実は主人も、芸人としての下積み期間は他の方より少ないくらいでして、芸能界でスタートした感じが私とよく似ていたんです。テレビに出させて頂くまでの経緯であったり、自分のお仕事について深く考えるようになったタイミングもちょうど重なっていて、そんな2人がお互いのことを話していくうちに、お仕事についての考え方も変わっていったのです。それはきっと、今後の私たちにとって必要な時期が訪れたということなのでしょう。
―実際に行動面で変化した部分などはありますか?
山川 1つの例ですが、仕事をする時は今までスタイリストさんにずっとお任せしていた衣装の手配を自分でするようになりました。不慣れで大変な部分も多かったのですが、そうしたことを経験するうちに、自分がどれだけ多くの方に支えられて仕事ができていたのかということを実感でき、周りの方に心から感謝する気持ちを持てるようになりました。もしかしたら芸能人としては多少常識がないくらいのほうが面白いキャラクターとして受け入れられるのかもしれないですが、個人的には自身を成長させる意味でもすごくいい経験をしたと思っています。
現在は2児の母として、子育てにも奮闘している山川さん。母親となり、ものの見方もずいぶん変わったそうだ。
山川 私は物事に対してできるだけポジティブに捉えるようにしているのですが、それは私が母から受け継いできた気質なのだと思います。人の土台というものは小さい頃の親の接し方で決まると思っていて、実際に子育てをしながら私の母親のことを思い出してみると、母はとても前向きなものの考え方をしていたんですね。だから私もポジティブで、3歳になる上の子も、ふとした時の発言がポジティブだったりするんです。今は、私にそういう気質を受け継いでくれた母親には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
―結婚後にお仕事をされるというお気持ちはあったのですか。
山川 お仕事は続けようと思っていました。専業主婦として子育てに専念したいという気持ちもあり、実際にそうした時間を頂いたこともありましたが、やはり私はお仕事をしていたいなと。そこで家庭のために、と我慢をしてしまうのは、私のためにも主人のためにも、そして子どものためにも良くないと思ったんです。
―ある意味で、子育てが自分を見つめ直すいいきっかけになったと言えますね。
山川 私も含め、親は子どもを育てると同時に、子どもに育ててもらっていると感じています。子どもが生まれたことで初めて考えたり調べたりするようになった分野も多いですし、それこそ、子どもたちのためにたくさんのことを勉強しました。
―では、山川さんが子育てにおいて意識されている部分はどんなところですか?
山川 よく、「子どものために」って言いますよね。でも、親としては全ての力を子どもに費やすのではなく、仕事などで頑張っている姿を見せていくことも大切だと思うんです。それはいい時だけでなく、悪い時も含めてですね。そして、私は子どもの自立は早いほうがいいと思っています。各個人が自立したうえで、ふとした時に戻る場所、頼る場所。そういう場所をつくるのが私たち親の大事な仕事だと思います。もしかしたら、それは経営者の方にも共通する部分なのかもしれませんね。
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