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 2002年に現役を引退した後は、テレビ出演などのタレント活動に加え、様々な事業を展開する実業家として活躍の場を広げている畑山さん。「経営者」という立場、そしてインタビュアとしての心構えについても聞いてみた。

畑山 僕が経営者になりたいと思ったのは、現役時代のお付き合いから。いろんな社長さんが色々なところに連れて行ってくれて、「ああ、社長っていいな」と漠然と思ったんです。ただ、いざ実際に経営者の立場に立ってみると、多くの責任がのしかかってきて、本当に大変だと感じますね。僕は大学で経営の勉強もしているのですが、やっぱり最後は実践。自分で何でも試してみるからこそ、得られるものもあると思います。

─それは言わば、畑山さんがインタビューされる経営者の方々と同じ立場であると言えますね。インタビュアとしてはどんな姿勢を大切にしていらっしゃいますか。

畑山 まずは、お会いして頂けることに感謝、ですね。経営者という立場で忙しい中にもかかわらず時間を割いて頂いているわけですから。インタビューの際は、相手の話を聞くことに徹することを心がけています。経営者の方々は、皆さん独自の志や信念を持って自分の会社を経営されています。ただそれは人それぞれで、100人いれば100通りの信念がある。そこから得られるものというのは本当に価値があって、例えばビジネスに対する気づきであったりとか、思わず背筋が伸びるような話を聞けることもあります。そうした生の声に触れることができるというのは、本当にありがたいですね。

─ご自身の事業に活かせそうな話も多い、と。

畑山 はい、例えば僕もいずれは地元に帰って事業をやりたいという想いがあります。頂けた様々なヒントと、「畑山隆則」ならではのアプローチを組み合わせて構想を練るというのは、本当に面白いと思いますよ。

─では最後に、経営とボクシングの共通項は何だと思いますか?

畑山 僕はボクシングを基準に物事を考えているんですけれど、やっぱり「継続は力なり」というところですかね。ボクシングは1年365日のうち、スポットライトが当たるのはせいぜい試合をする3日か4日だけなんですよ。あとは、地味で辛くて苦しい練習や減量の日々。でも、そうした時間をしっかり過ごすからこそ、スポットライトの下で自分を輝かせることができるんです。その点は会社経営も一緒で、派手なことばかりを追い求めるのではなく、地道にコツコツと仕事を続けていくことで、いずれは大きな花を咲かせることになると思いますよ。

 畑山さんは最後に、現在のボクシング界についても語ってくれた。曰く「今は僕らの時代と違って団体も増え、日本国内に10数人の世界チャンピオンがいる。その中で抜きん出るためには、ただ試合に勝つだけではなく、いかに自分のことをプロデュースできるかが重要になってくると思う」。こうした発想はボクシングに限ったことではなく、多くの会社が存在するビジネスシーンにおいてもそのまま当てはまる。無骨な選手が多いボクシング界において茶髪でリングに上がり続けるなど、畑山さんはプロボクサーとして意識せずともセルフプロデュースをしてきたという背景がある。そうした姿勢からは、事業において差別化を図らんとする経営者が得るものも大きいと言えるだろう。

 

畑山 隆則

はたけやま・たかのり/1975年生まれ、青森県出身。辰吉丈一郎がWBC世界王座を獲得した試合を観てプロボクサーを志し、高校中退後に上京。1993年にプロデビュー。元WBA世界スーパーフェザー級・ライト級チャンピオンとして、日本人4人目の世界2階級制覇を果たす。引退後はタレント活動やボクシング・K-1の解説として活躍。また、元WBA世界ミドル級王者・竹原慎二と共同でボクサ・フィットネス・ジムを開設する実業家でもある。

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