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女優 川上麻衣子
14歳で劇団に入団して以降、30年以上にわたりドラマや映画、舞台など様々な場で多様な役を演じ続けてきた女優・川上麻衣子さん。現在では表現の幅を広げ、ガラスデザイナーや翻訳家としての顔を持つ一方、ガラスデザイン事務所の経営者としても精力的に活動している。その行動力の源を伺うと共に、独自の目線を以て行われるインタビュアとしての姿勢に迫る。

インタビュー:カンパニータンク企画部 文・編集:カンパニータンク編集部

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 スウェーデン生まれの川上さん。幼少期に数年暮らし、現在も折を見ては足を運んでいるという。スウェーデンで過ごした時間、触れた文化や人々は、「川上麻衣子」という人物の人格形成に大きな影響を与えているそうだ。

─ご両親がインテリアデザイナーをされていたことがきっかけで、スウェーデンとの交流があると伺っています。川上さんのルーツとも言えるスウェーデンでは、どういった経験をされたのでしょう。

川上 日本でデザイナーをしていた両親が、改めて北欧家具の勉強をしたいということで、夫婦でスウェーデンの大学に通うことにしたんだそうです。そういった経緯で私もスウェーデンに生まれ、生後まもなく日本に帰国した後も行き来を繰り返し、小学校3年生の頃には日本の小学校を休学してスウェーデンの小学校に通いました。日本の学校とは全く異なるスウェーデンの学校で驚くことは多かったです。生徒が教室の机の上に座ってリンゴをかじったり、ジュースを飲みながら授業を受けているという日常の風景には本当に驚かされました(笑)。

スウェーデンは「個」を尊重する国。一人ひとりが違っていて当たり前、人に合わせるより自分自身で自立をしましょうという国民性なんです。周りとの協調性が何よりも優先されがちな日本とは異なった環境を経験したことは、今も私にいい影響を及ぼしていると思います。

─多感な時期をスウェーデンで過ごされ、小学4年生のときに日本へ帰国されたそうですね。言葉や文化の違いなど、戸惑うことも多かったことと思います。

川上 そうですね。当時の私が得意な教科といったら音楽と体育と英語。日本語がうまく話せず、友達とのコミュニケーションに悩んだこともありました。しかしその頃、世間では英語劇が流行っていて、学校で「メアリー・ポピンズ」をやるにあたり私が主役に選ばれたんです。英語劇の主役をこなしたことで自分に自信がつき、勉強や友達との交流もうまくいくようになりました。その時、「人前で演じたり、話したりすることは私に合っているのかもしれない」と思ったことを覚えています。芝居をもっと勉強したいと思い、中学生に上がったときに劇団に入りました。

─その後、女優として活動を開始。国民的ドラマ「3年B組 金八先生」や北野武監督の映画第一作目「その男、凶暴につき」をはじめ、数々の話題作に出演されてきました。現在もテレビやドラマ、舞台など幅広い場で表現され続けています。

川上 それぞれ、少しずつ表現の仕方が違うので面白いですよ。例えば舞台は、カットごとで撮影しつなぎ合わせるドラマや映画と違い、同じことを何公演も繰り返しますから「同じ体調、体力、精神」を良い状態に保つということが非常に難しい。そういった公演の日々で、会場の空気感がダイレクトに感じられる舞台では、お客様の温かい雰囲気に助けて頂くことも本当に多いんです。

─それもまた、舞台の魅力の1つですね。女優として30年以上演じられてきましたが、素の「川上麻衣子」さんご自身は一体どこにあるとお考えですか。

川上 友達と一緒にいるときが一番、素の私ですね。芝居に関して言えば、役を演じながらも、その役を様々な角度から考えている「別の私」が必ずいるんです。心の全てが役柄そのものになりきることはないので、自分がわからなくなるということはないですね。明るいキャラクターを演じているときに私生活で少しおとなしくなったり、暗い役をやっているときに私生活では普段より明るくなったりといった、ちょっとした反動はありますけれど(笑)。

 15年ほど前からは吹きガラス工芸の制作を始められ、現在はガラスデザイナーとしても活動。活動の場を広げていく川上さんに、ガラス工芸の魅力について語って頂いた。

川上 20代の頃からガラス工芸は好きでしたが、実際に自分で吹こうと考えたことはありませんでした。でも30歳の頃、著名なガラス作家の方の工房でガラス吹きを体験し、実際に自分で形をつくるのがとても面白くて。それを機に自分でも吹きガラスを始めようと思ったんです。
吹きガラスは、息を吹き込みながら成形する工法ということもあり、なかなか自分の思ったようには作れません。制作の最中に失敗したと感じた場合は、壊してしまうか発想を変えて新しい形へ昇華するかに分かれます。最初にイメージしていたものより、柔軟に形を変えて制作したときのほうが良いものになったりもするので、そういうところが吹きガラスの魅力の1つですね。

─ジャンルにこだわらず表現することを楽しまれている様子が、お話しぶりから伝わってきます。

川上 「川上麻衣子」を表現していくという点では、どれも同じですね。ガラス工芸を見た友人たちには「麻衣子らしいね」と言われたりしますし、その言葉は芝居をしているときも言われることがあります。「らしさ」っていうのは目に見えないけれど、好きなことを楽しんでいれば自然と作品や芝居に表れると思うんです。私は「麻衣子らしい」と言われることが嬉しい。そして私の「らしさ」に確実に影響を与えたのはスウェーデンです。スウェーデンの様々なファクターに触れてきたことで今の私がありますから、今後も多様な方法でスウェーデンの良さなどを発信していくと共に、「川上麻衣子」を表現し続けたいですね。

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カンパニータンクのインタビュアとして活躍されている各界の著名人たちに本誌編集局が逆インタビュー。

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