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トークの術を活かすべく、導かれるようにリポーターとしての活動を始めたタージンさん。現在では年間ロケ200日、1000軒近くのお店を取材しているという。様々な人々と触れ合う日々の中で、何を想うのだろうか。

タージン 僕は基本的に、たくさんの情報をインプットしてインプットしてインプットして、溢れそうになった時に漫談家のネタとして披露─アウトプットするといったスタイルなんです。しかし、そういう余裕ができたのはここ15年くらいですね。デビューしてからの10年はインタビューの台本の流れを忠実に守るだけで精一杯でしたから、そもそもアウトプットするほどのインプットが実際にはできていなかったんです。そのためテープが回っていないところでの、インタビュー対象者との「無駄話」に時間をかけようとは思っていませんでした。しかし、しばらく経験を積むと無駄な話の中にこそ本音があると気づいたんですね。番組では使えないような雑談をしてもらうということは、つまり相手に「腹を割ってもらう」ということですから、無駄な雑談こそ非常に大事なわけです。
 例えば街頭インタビュー。いきなりカメラを向けられて質問されても、一般の方はなかなか答えられないわけですよ。ですから、テレビのオンエアでは答えの部分しか使われませんが、その答えに至るまでの部分こそが大事なんです。僕は天気の話、仕事の話、家族の話といった何気ない話から入るようにしています。「お兄さん、今日暑いね。でも雨降りそうやで。お兄さん仕事何してるん?へえ?すごいなあ。ところで聞きたいことあんねんけど・・・」という風にですね。共通、共感の話題から入って、次はインタビュー対象者のフィールドの話。これは僕が経験を重ね生み出した、僕なりのテクニックです。
 ディレクターさんが若手のタレントに「タージンをよく見ておけ。こういうことができるのは、関西で1人だけやで」と言っているのを聞いたことがあるんですが、ものすごく嬉しかったですね。僕のしていることを評価してくれる人がいて、それを今も続けているんです。

─リポートの特徴として、「編集いらず」と呼ばれる数々のテクニックを持つタージンさん。リポートを終えてから5秒以上、表情を変えないなど編集スタッフへの気遣いも忘れません。

タージン 僕はしゃべり始めると止まりませんからね、編集しにくいんですよ。だから、テレビに関しては僕自身が裏方さんが編集しやすいように意識しなきゃいけない。カメラに向かって一瞬フリーズをしたり、言葉の後に一拍入れたり、一旦切れるところをつくるわけです。
 そもそも僕は、制作に関わる人たちは皆で1つのチームだと思っています。ですからスタッフが仕事しやすいようにするのも、スタッフと仲良くするのも当然なんですよ。例えばカメラマンが不機嫌だったり怒っていたり、僕のことが好きでないとなるとね、最高のものは撮れないじゃないですか。スタッフと仲良くなるということはとても大切で、お互いが信頼し合っているからこそ一丸となって撮影に集中できるんです。僕は若手の時には、リポーターでありながら三脚を運ぶなどスタッフと同じ目線で育てられていたんですよね。そうやって、全員が完全なチームになることが撮影では何より大切だと思います。

─様々な経験からの学びが、タージンさんを支える自信に繋がっているのですね。1981年に活動を始められ、2011年に芸歴30周年を迎えられました。どんな30年でしたか?

タージン あっという間でしたね。活動を始めた当初、ロケで一緒になった先輩は芸歴が10年だと聞きました。「10年か、すごいな」と思いましたが、気づけば自分も10年過ぎ、20年過ぎ、30年さえあっという間でしたよ(笑)。このまま全く実感が湧かないまま、またここから10年20年頑張れたら一番嬉しいと思います。多種多様な人に出会えるリポーターという仕事は面白い。少し余裕が出るまで10年かかりましたが、その10年で出会った人はたくさんいます。勝手がわかっている今の僕で当時に戻れたら、昔よりも絶対にいいリポートができるはずなので、できることなら特に最初の10年をやり直してみたいですね(笑)。
 人との繋がりで今日まできましたから、今後も人間にスポットを当てた仕事に常に携わっていたいと思うんです。私も50歳を過ぎましたからね、この年齢だからこその渋みや落ち着きといった味わいを出して、これからも仕事に臨みたいと思っています。

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