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─ちなみに最近の舞台では敵役が多いと伺っています。善人役と悪人役、どちらがお好きですか?

大門 総じて悪人役の方が面白いかな。普段自分がやらないことを演じるわけだから(笑)。それに舞台において主役が輝くためには、本人もさることながら敵役が格好良くあらねばならない。その意味では責任、そしてやりがいは大きいよね。

役者としてキャリアを積まれてきた大門氏は、世の経営者と同じく厳しい競争を勝ち抜いて現在に至っている。そして大門氏は、経営者に対するインタビュアとしての経験も豊富だ。視点を変え、インタビュアの仕事についても伺ってみた。

─大門さんがインタビュアとして経営者の方のお話を聞く時に、心がけていらっしゃることはありますか?

大門 自分は聞き役なので、経営者の方には気持ち良く話して頂こう、と。この仕事では本当に色々なバックボーンを持つ方とお会いするわけだけど、そのほとんどは組織の長として一本どっこでやっておられる方であり、非常に重い責任の下で働いておられる。人は背負うものが大きいほど成長できるわけで、そういった方たちとお話ができるのは本当に勉強になります。いろんな業種の方の話を聞けるので、知識も増えたよね(笑)。

─では、これまでのインタビューの中で印象に残っているものはありますか?

大門 1つ挙げるなら、とある塗装業の社長さんの話かな。10数年前にお伺いした時は創業間もない頃で、アパートの一室でのインタビューだった。社長の子どもかな、2人の男の子がせわしなく走り回ってて苦労したよ(笑)。その中で事業のことや将来の展望を聞き、「会社がうまくいったら、またお会いしましょう」と約束をして別れたんだ。それから時が経ち、またその社長の下にインタビューに伺う機会があった。最初は僕も気がつかなかったんだけど、先方の社長が「覚えてますか?」って、前に取材したときの雑誌を持ってきてさ。壁には、前回の取材で僕が書いた色紙が飾ってあった。取材に伺ったのは自社物件のビルで、両脇に幹部として座っていたのは、あの時の子どもたちだったんだ。

─つまりその社長は大門さんとの約束を果たされた、と。

大門 そういうことになるね。志は社長さんなら当然持っているだろうけど、彼は取材を受け、本という媒体にそれを残した。そして頑張った結果、一回りも二回りも大きくなって再会した。もしあの時のインタビューが励みになってくれたのならば、僕も嬉しいよ。
僕は、お会いした社長さんには元気を伝えていきたいと思っている。せっかくお会いするわけだし、そういう出会いを活かそうとする社長さんはきっと成長していかれるはず。これからも、いい出会いをしていきたいよね。

役者として、インタビュアとして、これからも歩み続ける大門氏。そんな大門氏に、最後はこんな質問をぶつけてみた。

─大門さんが今までお会いされた方、また今後お会いしていくであろう方々へのメッセージなどがあれば聞かせてください。

大門 中小企業の経営者というのは、日本の経営者の99%以上を占めると聞いている。そして日本経済は、中小企業の頑張りによって支えられている。言わば、僕がお会いしているのは日本を支えるキーパーソンなわけだ。だからこそ経営者の方々には、事業はもちろん今後の日本というものに対して、未来へ向けた意気込みなんかを聞いてみたい。
ただ、会社を運営していく上ではやはりまず従業員が大事。経営者は1人じゃ経営者たり得ないわけだから、みんなで力を合わせて、不況だなんだと言われているこの世間の荒波を乗り越えていってほしいと思っているよ。経営者が頑張り、従業員が頑張ることでみんなが潤い、そして世の中が良くなっていく。僕が皆さんとお会いすることがその一助となるのであれば、この上なく幸いです。

2012年初頭の舞台を控える忙しい身でありながら、インタビューは予定時間をオーバー。しかしその中で、とても気さくにインタビューに答えてくれた大門氏であった。「若い人のエネルギーが羨ましかったりすることもあるよ」と笑っておられた氏ではあるが、酸いも甘いもかみ分けた豊富な人生経験を持つ大門氏だからこそ、見えてくることもあるのだと思う。俳優、そしてインタビュアとしての、大門正明氏の今後ますますのご活躍をお祈りしたい。

(取材:2011年11月)

大門正明 だいもん・まさあき/1949年兵庫県出身。

早稲田大学商学部卒業後、俳優の道へ。主な出演作品に「ウルトラマン80」「ゴジラ対メカゴジラ」「大岡越前」「水戸黄門」「キッズ・ウォー4」などがある。近年は舞台を中心に活躍する傍ら、NHK朝の連続テレビ小説「純情きらり」やNHK大河ドラマ「風林火山」などに出演。
公式ブログ「仁輔友以」を更新中。
http://ameblo.jp/daimon-masaaki/

 

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