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俳優 大門正明
 カンパニータンク創刊よりゲストインタビュアとしてご活躍頂いている、俳優・大門正明氏。御年62歳、俳優としてのキャリアは42年を数える氏は、未だ一介の演劇青年として果てなき道を歩み続けている。今回は古今東西、様々な経営者にインタビューをされている大門氏への逆インタビューを敢行。競争激しい芸能の世界を歩み続ける大門氏に、プロの心構えやインタビュアとしての思いをざっくばらんにお伺いした。

 インタビュー場所に現れた大門氏。ご挨拶を済ませ、まずは俳優としての歩みを聞くところからインタビューをスタートさせる。


大門 演劇の世界に足を踏み入れたのは大学生の時で、それまではラグビーをやってた。いい 選手だったんだぜ(笑)。ただ、青春時代をラグビーだけで過ごすのも何だかなあ、と思って、興味を持ったのが演劇だった。僕の進学した早稲田大学は演劇が 盛んで、その中でも由緒ある「劇団 木霊」に入ったんだ。先輩には政治家の田中真紀子さん、久米宏さん、同期には佐藤B作、斉木しげるとかがいたよ。
そこからプロの演劇をやりたいと思って、「劇団 雲」の入団試験を受けたんだ。1200人からの応募者の中で生き残って劇団に入ることができて、3年間研究生として所属した。その間に受けた映画のオーディションに合格したのがデビューのきっかけだったね。

─すると、才能と言いますか・・・当時からすごい実力があった、と。

大門 当時はまだ駆け出しで、実力なんかなかったよ。一言で言えば、運が良かったんだろうね。劇団に選ばれ、映画のオーディションにも受かり・・・まあ、そこで落ちていたとしても役者はやっていたと思うけど。

─役者の道を志された時は既に、「この道で食っていく!」という心構えをされていたのですか?

大門 役者を一生続けるつもりではあったけど、「飯を食う」ということについては別の考え を持っていたよ。当時所属していた劇団の人たちを見ていても、役者1本で食っている人って1割いるかいないかだったんだよね。僕は現実主義者的なところが あって、役者をやることを決めた時に「じゃあどうやって食うんだ?」って考えた。役者を続けていくためにね。だから僕、デビューするまでは大学生、劇団 雲の研究生、そしてタクシーの運転手もやってたんだ。三足のわらじだよ(笑)。

 貴重な話を伺った我々は、もう少し深く「俳優:大門正明」を掘り下げてみることにした。

─役者として、舞台・映画・テレビなど様々な媒体で活躍をされてきた大門さんですが、その中で一番好きなものは何でしょう?

大門 舞台だね。当然のことながら役者や監督にはそれぞれに信念があって、それが現場でぶ つかることもよくある話。でも映画とかテレビは監督のもので、例えばいくらこちらが想いを押し通したとしても、最終的には監督の好きなように編集されちゃ うから。でも舞台だと、演出家といくらぶつかろうが幕が上がればそこは自分の空間だからね。もちろん喧嘩しちゃうと次から組みづらくなったりするけど、そ の覚悟があれば、自分の信念を押し通すことだってできる。

─舞台だと毎回雰囲気も違うでしょうしね。

大門 そう。例えば舞台は1ヶ月とか通してやるわけなんだけど、毎回入るお客さんが違う し、場合によっては相手がアドリブを入れてきたりもする。アドリブ、僕は自分からはあまりしないけど、相手がしてくる分には受けきるよ。そして次の日にや り返したりね(笑)。そういう意味では毎回変化があるから、同じ台詞を喋ってても飽きないんだよね。
あと、僕はあまり自分の演技を見返すことをしなくて、それは見返すとどうしても「ああしておけば、こう演じていれば・・・」って後悔しちゃうから。 100点満点の演技なんてないわけだし、どうしても自分の粗は気になっちゃうからね。その点、舞台はいい意味でやりっぱなし。そういう所も自分に合ってい るのかな、って思う。
ただ、僕には家庭もあったので自己満足の演技だけを追求するわけにはいかなかった。だから顧客目線というものは常に意識していたね。大きな劇場であれ ば、毎回1000人からのお客さんが詰めかけるわけで、その人たちをいかに満足させるか、ということについては深く考えてきたよ。

─ 1回こっきり、という意味ではミスもなかったわけではないと思います。もし大きな失敗談などがあればお伺いしたいのですが・・・。

大門 致命的なものはない。もし何かやらかしてたら、今頃役者稼業は廃業させられてるよ。一度ミスしたら、二度目はない世界だから。オールorナッシング・・・すごくシビアな世界です。まあ、細かいミスはたくさんしてきたけどね(笑)。

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