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注目企業インタビュー

杉並区高円寺で戦前から続く(有)田丸屋不動産2代目の一家に生まれる。早稲田大学政治経済学部を卒業後は主に投資に関心を持っていたが、父親の逝去に伴い家業を継ぐことを決断。2020年より3代目代表を務める。どの顧客にも分け隔てなく接する姿勢が持ち味。

有限会社 田丸屋不動産
住所 〒166-0002
東京都杉並区高円寺北2-22-9
URL https://www.tamaruyafudosan.co.jp/

千葉 社長の名字が山下さんだとうかがって気になったのですが、(有)田丸屋不動産という屋号にはどのような由来があるのですか?

山下 昔、祖父母が隣町の阿佐谷で開いていた洋服屋の屋号が田丸屋だったそうで、高円寺で不動産業にくら替えするとき、今の名前になったと聞いています。1937年創業ですから85年も前の話ですね。父が2020年に亡くなり、私が3代目として店を継ぎました。もともとは違う業界にいたのですが、以前、祖父が他界した後、念のためと思って父に黙って宅地建物取引士の資格を取っていたんです。先に司法試験の勉強をしていたのと、「門前の小僧、習わぬ経を読む」ではないですが、父の仕事ぶりを見ていたのも役に立ちましたね。

千葉 3代目の目から見て、こちらはどのような不動産屋さんなのでしょうか?

山下 おそらく、当社は不動産業界では特殊な部類だと思います。他と比べて審査が甘めで、どこへ行っても断られたが私の父だけが入居させてくれたと、ご高齢の方に泣いて感謝されたこともあるんです。そうしたやり方だと、いい人を見つけてくれたと大家さんに喜ばれることもある半面、もしかしたらトラブルが起きる危険性も増すかもしれません。それでも、諸事情を抱えて当社に来てくださるお客様の気持ちをなるべくくんで差し上げたいなと思っています。もちろん、大家さんを困らせてもいけないので、そこがこの仕事の難しいところですね。

千葉 なるほど。取り扱う物件のエリアはどのあたりが中心になるのですか?

山下 高円寺北と、中野区の大和町が多いですね。何しろ歴史が長いので、著名な方が若い頃にどこに住んでいたかなど、先代からいろいろと逸話を聞いたことがあります。

千葉 お店を継ぐつもりはなかったとおっしゃっていましたが、お話をうかがう限り、おじい様とお父様のご遺志も含め、山下社長にしっかりと歴史が受け継がれているように感じます。

山下 ありがとうございます。確かに、ご高齢の方や外国人の方とも分け隔てなく接するところは、ずっと変わらない部分かもしれないですね。

千葉 社長になられてそろそろ3年になるとのことですが、今後チャレンジしてみたいことがあればお聞かせください。

山下 現在の不動産業界は大手のネットワークが地域の賃貸物件にまで及ぶようになっており、このまま大手中心で進んでいく可能性があります。ですが、地元に点在する小さな不動産屋も成り立っていくような業界の姿こそが健全だと思っているので、今の流れがこれ以上行き過ぎないように、できることから取り組んでいきたいです。うちの店舗に関しては、今までの古いお付き合いも大事にしつつ、もっと幅広い層のお客様にお部屋を紹介できるようにしていきたいですね。

GUEST COMMENT

千葉 真子

地元で長く愛される不動産屋さんの3代目だけあって、山下社長はとても柔らかいお人柄で、お部屋探しに来られたお客さんの身の上話に、じっくり耳を傾ける姿が想像できます。お店も良い雰囲気で、表の黄色い看板と筆文字が「ザ・昭和」という感じ。この古き良き佇まいをこれからも守っていってくださいね。

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