創価大学経営学部卒。ノンバンクに約25年勤務する傍ら、経営難にあえぐ中小企業の経営者たちを早い段階で救済したいという想いが募り、中小企業診断士の資格を取得。勤務を続けながら起業準備を進め、2021年2月に「いちい中小企業診断士事務所」を開設。
いちい中小企業診断士事務所 | |
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住所 | 〒206-0036 東京都多摩市 |
矢部 まずは、市井さんが中小企業診断士として活動を始められたきっかけからお聞かせいただけますか?
市井 私は長年、ノンバンクで法人向け融資の回収を担当してきました。仕事をする中で、利息が大きく膨れて苦しくなっていく経営者様の姿を目の当たりにする機会が多く、ここまで状況が悪化する手前の段階で相談に乗れるようになりたいと思い、中小企業診断士の資格取得を決意しました。勤務を続けながらコツコツ努力を重ね、2021年に診断士資格を取得しました。
矢部 苦境に立たされる経営者を間近で見て、立ち上がられたと。お仕事の内容についてもぜひ詳しく教えてください。
市井 事業承継やM&A分野で、中小企業様の経営をサポートしていくことを専門領域としています。M&Aと聞くと、資産潤沢な会社が有望な事業を持つ別の会社を買収するイメージがあるかもしれませんが、債務超過に陥った会社でも経営者様と一緒に伴走し、事業利益が出る段階になったところでM&Aを選択するという道もあります。そうした事業再生とM&Aをセットで進める案件にも対応しております。
矢部 経営者の方々と接するうえで、日頃から心がけていらっしゃることはありますか?
市井 相手の言葉にじっくり耳を傾けることですね。経営者様と初めてお会いする時は、会社の歴史から、事業をしていて嬉しかったこと、苦しかったこと、ご自身が考える事業への想い・悩みに至るまで、2時間ほどかけて網羅的にお聞きするよう心がけています。そうすることで心理的安全性が高まり、お互いに腹を割って話せる関係が構築でき、会社の未来について前向きに検討することが可能となるからです。
矢部 悩みを一度全部吐き出すことは大切ですし、それを親身になって聞いてくださる市井さんは、経営者の方にとって頼もしい存在になりそうですね。
市井 ありがとうございます。私自身、人の話を聞くのはとても好きなので、「本音を引き出す力」には自信があります。経営者という立場はすごく孤独で、問題や悩みを抱えていても部下や家族には相談できずに、1人で苦しんでいるケースも多いと思います。そんな経営者様にとって、唯一気持ちをさらけ出せるような存在でありたいですね。
矢部 では、最後に市井さんご自身の将来のビジョンを教えてください。
市井 経営学を専攻している母校の学生たちに、中小企業支援の実務を教えていきたいと思っています。学生は基本的に経営者の方と接する機会がないですし、どんな思いで経営しているのかまで知るのは難しいですから、彼らが学んでいる理論のその先の部分を伝えられたらいいですね。中小企業診断士という仕事の認知度を上げるためにも、講師として呼んでいただけることを目標に日々成長したいと思います。

GUEST COMMENT
矢部 美穂
中小企業の経営者が苦しむ姿を見てこられて、少しでも助けたいという一心で立ち上がられた市井さん。会社勤めをしながら国家資格を取得して事業を起こされるというのは、生半可な気持ちでは決してできないこと。その熱意と行動力に拍手を送りたいですし、今後のさらなる飛躍を心から期待しています。