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注目企業インタビュー

温故知新の姿勢で東京進出

 社員さんの中には、同族経営の中でずっとやってこられた方もいらっしゃるでしょうし、新しい体制を築いていかれるのは大変だったと思います。

山﨑 そうですね。100年の歴史を持ち、山梨では一目置かれる会社であるがゆえに、「まだ若く、外部から来た人間に会社を任せるのか」という批判の声は社内外から聞こえてきました。また、当社は公共の土木工事を主事業としていたのですが、先代が大月市長に当選してからは、公平性を保つために当社への発注をストップしまして―船出は決して順風満帆とは言えなかったですね。それでも、「誰がやっても批判はある。くよくよしても仕方がないじゃないか」と前を向いた私は、周囲の意見を聞きつつ、最終的には自分の意志と判断を貫き、一歩ずつ組織づくりを進めていきました。

 難しい状況でもブレずに歩み続けられたところに、山﨑社長の経営者としての手腕を感じます。そこから今日に至るまで、具体的にどのような改革をしてこられたかについてもお聞かせください。

山﨑 私が意識したのは、歴史と実績が示す当社の強みを生かしながら、時代の変化に対応できる強い会社を新たにつくることでした。例えば、当社は地域密着で盤石な事業展開をする一方、なかなか県外に出たがらない体質があったんです。そこで、社員たちにもっと広い視野を持ってもらいたいと考え、東日本大震災後の除染作業に参加しました。慣れない仕事も一生懸命に取り組んでくれる皆の姿を見て自信を深めた私は、2017年に東京へ進出して支店を立ち上げ、今は「東京本社」「山梨本店」の2拠点体制で事業展開しているところです。

 老舗の看板を守るだけでなく、先を見据えた「攻め」の舵取りをされたのですね。業容の拡大もしたのでしょうか?

山﨑 はい。当社が以前から手がけてきた土木工事業、農業事業に引き続き注力しつつ、そのノウハウを生かして最近は茨城県などで農業用ビニールハウスの施工管理・施工にも一貫して携わっております。さらに、新築のマンション・ビルの施工にも対応すべく、建築分野への進出もすでに始めているんですよ。新たなチャレンジにも、社員たちは一致団結して力強く応えてくれますし、仕事に関しても人と人のつながりの中でいただけているので、ここまで人とのご縁を大切にしてきて本当に良かったと思います。

次の100年に向けて

 お話をうかがっていて、長い会社の歴史を背負いながらも常に前だけを見ていらっしゃる山﨑社長の姿勢に感銘を受けます。ぜひ、将来のビジョンについても語っていただけますか?

山﨑 私は50年先まで考える経営をモットーに掲げており、これからは会社の次の100年を担っていく若い世代の人たちの育成に注力したいと思っています。そのためには、さらに事業を拡大することはもちろん、働きやすい環境・仕組みづくりも欠かせませんから、私がその役目を果たすべく全力で取り組んでいく所存です。

 確かな哲学を持つ社長の元には多くの人材が集まってくると思いますし、ぜひ優秀な若手を輩出してください!

山﨑 ありがとうございます。私の経験や技術は、余すことなく継承していくつもりです。「努力を怠らなければ必ず夢はかなう」―この哲学を伝えながら、若い人材が夢を持てるような社会を実現し、最終的に日本全体を元気にすることができれば、何も言うことはありません。

GUEST COMMENT

嶋 大輔

100年企業の看板を背負うということには、計り知れないプレッシャーがあると思います。しかし、山﨑社長はすべてを受け止め、その上で自らの信念に基づいて事業に挑む類まれな強さを携えていらっしゃいました。広い視野をお持ちの社長なら、間違いなく伝統を守りながら会社を成長させ続けられるはず。“次の100年”を、私も楽しみにしています。

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