インタビュー

建築

大路 十数年!普段、私たちが当たり前に使っている高速道路や新幹線のトンネルは、長い年月をかけて整備されたものだったのですね。本当に頭が下がります。社長ご自身も現場に出られるのですか?

前原 もちろんです。社長業も大事ですが、やはり、職人として皆と一緒に現場で仕事をしている時のほうが楽しいですからね。スタッフたちからも「杖をつくようになっても現場へは来てください」と言われているので、まだまだ“こき使われる”日々は続きそうです(笑)。

大路 会社によっては、現場へ社長が来ることを嫌がる職人さんも多いと聞きます。スタッフさんからそんなふうに言われるのは、前原社長が愛され、信頼されている証拠だと思いますよ。

前原 そうであれば嬉しいですね。私としても、後進に追い越してほしいという気持ちと、まだまだ負けていられないという気持ちの両方があり、そのせめぎ合いが仕事のモチベーションになっています。実際に、施工の技術に関しては私よりできる人間はそういないと自負していますし、現場で質の高い仕事を続けることが、次の案件につながる何よりの営業活動だと思っているので、今のスタイルは継続していきたいですね。

上下関係にこだわらず結束力を高める

大路 お話をうかがっていると、組織全体の雰囲気の良さが伝わってきます。社内の人間関係を良好に保つ秘訣は、どこにあるとお考えですか?

前原 過度な上下関係をつくらないということですかね。建設業界では、上の者が下の者に厳しく指導を行うイメージがあるかもしれませんが、それでは真の人間関係は築けず、チームの雰囲気はぎくしゃくしてしまいます。その点、当社は私を含めた全員が共に働く仲間であるという意識を共有しているので、どのメンバーで現場へ出ても良いチームワークを発揮することができるのです。

大路 それは素晴らしい。そういう環境であれば、若い職人さんたちも伸び伸びと仕事に打ち込めるでしょうし、結果的に全体の作業効率も上がりそうです。

前原 ありがとうございます。この仕事は一人前になるのに10年、熟練者になるにはさらに20年ほどを要すると言われていますから、人材育成も焦らずじっくりやりたいと考えています。一方、高い単価に魅力を感じてこの業界に入ったものの、作業のハードさや出張の多さに音を上げて、すぐに辞めてしまう職人が多いという課題もありましてね。ケガとも隣り合わせな職種であるだけに、会社全体で安全第一の意識を徹底し、若い人材が安心して長く働ける環境をつくっていくことにも注力したいです。

大路 スタッフさん思いの社長のもとには、これからも志しを共にできる仲間がたくさん集まってくると思います。今後のビジョンについても教えてください。

前原 私はあまり、「何年後にどうしたい」ということを考えない性分なので、1日1日を大切に、目の前の仕事と真摯に向き合い、数年先にも仕事が途絶えない会社をつくることができればと思っています。時間がかかる分、開通した時の達成感が大きいのがトンネル工事の醍醐味ですから、これからもその感触をしっかりかみしめながら、思い出に残るような良い仕事を続けてまいります。

GUEST COMMENT

大路 恵美

「新しくお付き合いさせていただくお客様の現場には私が必ず赴き、仕事を通して信頼関係を築くことを大切にしています」と語ってくださった前原社長。自らの技術力に絶対の自信があるからこそ、一番に矢面に立つ覚悟を持てるのでしょうし、その頼もしい背中を見てスタッフの方も「この人についていこう」と思うのでしょうね。さらなる飛躍を楽しみにしています。

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