インタビュー

医療・福祉

高齢者や障害がある方の温泉旅行を支援

矢部 こうしてお話をうかがっていると、本当に素晴らしいご活動だと感じますね。まさに、どれも柳代表にしかできない事業ですよ。

 ありがとうございます。お年寄りや障害がある方は、「こんな私では、とても温泉なんて行けない」とおっしゃってあきらめてしまいがちなのですが、そんな必要はありません。私は、どんな方でも安心して温泉に行けるよう、ご一緒させていただきます。

矢部 この体で温泉なんて行けるはずがない――そんなふうに悲しんでいる方々にとっては夢のようなサービスですね。柳代表はどうしてそれほどまでに人に優しくできるのでしょうか?

 実を言うと、私が公務員を辞めたのはうつ病のせいだったんですよ。役所を休職し、布団に横たわるだけで何もできなかった私は、うつ状態の苦しい日々を8年近くも送っていました。そのようなつらい経験を経た今は、もう怖いものがありません。実はある出来事をきっかけに生まれ変わることができたんです。

矢部 差し支えなければ、その出来事について詳しくお聞きかせください。

 もちろんです。2019年の夏に、私は荒れ果てた自宅の畑の草刈りを始めました。うつ病のため8年近くも手入れができなかった畑は、雑草が生い茂るだけでなく太い木まで伸び始めていたんです。それである時ふと思い立って、びっしょり汗をかきながら草を刈り、のこぎりで木を切り始めました。ところが、ほとんど寝たきりの生活を送っている間に体力が落ちていたため作業ははかどりません。それでもたった1人で気力を振り絞り、1ヶ月近くかけてきれいにすることができたんです。それを終えた瞬間、私は「自分もやればできるんだ」という達成感に包まれ涙があふれてきました。その、いわば成功体験をきっかけにして、家の中の片付けなどいろいろなことを始められるようになったんです。

本当の失敗は考えすぎて何もしないこと

矢部 感動的なエピソードですね。うつ病から立ち直られた柳代表は、第2の人生をスタートされたように見えます。

 はい。どん底から這い上がった私は文字通り生まれ変わりました。以前は非常に慎重な性格でしたが、今は気が付いたら行動していて自分でもびっくりすることがあるほどなんですよ(笑)。現在の私は瞬時に考えて瞬時に動いており、何かをあれこれ迷う時間がもったいないと感じています。ある程度のプランや準備ができたら動き始めたほうがいいですし、また動きながら考えたほうがいい。そうすると、今何をすればよいのか、何を勉強すればよいのかがどんどんクリアになっていきます。つまずいて転んでしまった時にどうするかは、その時に考えればいいのです。多少見切り発車だったとしても、トータルで考えればそのほうが物事を効率的にこなせ、正確かつ迅速に目標へ近づくことができると思います。今では近所を散歩中に自分から人に声をかけるようになりましたし、そうした変化が「地域を支えたい」という気持ちにつながっていったんです。

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