インタビュー

建築

すべてがオーダーメードの施工

宮地 一点突破ではなくすべてをカバーしようと思われるところに、社長の理想の高さを感じます。現在は、思い描いた通りの事業展開ができていますか?

矢野 はい。当社では住宅の新築施工やリフォーム・リノベーション、さらに店舗の内装工事全般を幅広く手がけており、現場のほぼすべての工程を自社で一貫して承らせていただいております。特に、店舗づくりにはかなり力を入れていて、お客様と一緒に物件を選定し、「この立地ならこういうお店が良さそうですね」といった感じで企画段階からプロデュースさせていただいているんです。

宮地 そんなに早い段階からサポートしていただけるのは心強さがありますね。工事も、通常であれば水道やクロスなど場所ごとに業者さんへお願いしないといけないイメージがあるので、一手に引き受けてくださるのはありがたいです。

矢野 おっしゃる通り、本来の工事現場は分業制で、複数の業者さんが入れ替わりで施工するスケジュールになっています。しかし、そうすると例えば左官工事が必要になった時に、作業自体は2時間程度で終わるのに、料金的にはしっかり1人工分かかってしまうということが往々にしてあるんです。その点、当社はすべての工程をお任せいただいたうえで、複数の工事をこなせる腕利きの職人たちが効率よく作業を進めていきますから、かかるコストをぐっと下げることができます。正直、料金面では他の業者さんに負けたことはないですよ。

宮地 頼もしいお言葉です。とはいえ、高い技術が要求される職人さんの世界で、複数の工事をこなすというのは簡単なことではないと思います。そこまでできる原動力はどこにあるのでしょう?

矢野 私は、お客様からご依頼をいただいたからには「ここはできません」とお断りしたくないんです。できることはすべてやって、お客様のご要望をかなえて差し上げたい。その一心で、創業から現在まで対応できる工種を少しずつ増やしてきました。また、私と志を共にしてくれる職人たちの存在も大きいですね。普通、職人というのは自分の仕事を頑固一徹にこなし、他の作業が発生することを嫌うのですが、当社の職人は私を含めて「あれもこれもやりたい」と好奇心を持って仕事に取り組む者ばかり。会社としても、彼らのモチベーションにはしっかり応えたいと思っているので、広々と作業ができるよう工房の数を増やしたり、保管庫をおしゃれに改造したりと、惜しみない出資を行っていますよ。

宮地 それだけ情熱を傾けて仕事をしていらっしゃると、1つの現場が完成したときの達成感も大きいでしょうね。

矢野 ええ、お客様からの感想もダイレクトにいただくことができますし、本当にやりがいのある仕事だと感じています。工事が終わった後も、携わらせていただいたお店には定期的に足を運ぶようにしており、近況をヒアリングしつつ「ここに新しい棚を付けましょうか、こういう家具をつくりましょうか」と追加でご提案させていただくこともあるんです。

宮地 アフターフォローも充実しているとは、本当に隙のないサービスですね。1から10までオーダーメードの施工をしていただける工務店さんは、探そうと思ってもそう見つからないと思います。

矢野 ありがとうございます。どんな現場も、「つくってそれで終わり」ということには決してしませんので、お客様にはご安心いただきたいですね。特に、新築の物件に関しては一生涯のお付き合いになるという覚悟を持って仕事に臨んでおりますし、些細なことでも気軽にご連絡をしていただきたいと思っています。

職人の地位向上に寄与する

宮地 ここまで社長のお話をうかがっていて、私の中にあった寡黙で頑固な職人さんのイメージが大きく覆されていくのを感じます。働き方に関してもスタイリッシュさを追求されていますよね。

矢野 そこは意識的に取り組んでいるところで、私は事業を通して職人の社会的地位を向上させたいと考えています。と言うのも、今の職人は1日当たりの給料が固定されているケースが多く、どれだけ腕が良くても、あるいは短時間で多くの作業をこなしても、それがなかなか収入に反映されないんです。もともと過酷なイメージが先行しがちな業種なのに、収入まで安定しないとなると若い世代が敬遠するのは当たり前ですよね。そこで、当社では仕事をした分だけしっかり給料に還元する仕組みをつくるなど、職場環境の整備を進めています。

宮地 それは素晴らしい。ものづくり自体の魅力は間違いなくありますから、安心して働ける環境と、自分のスキルに応じて収入を上げられる仕組みさえあれば、きっと若い世代の方たちも建設業に目を向けると思います。

矢野 実は、当社で働いている職人の何人かは個人事業主でもあり、「溶接を覚えたいから」と技術習得を目標に入社してくれた者もいます。そうして手に職を付けていれば、建設業だけに限らずいろいろな場面でスキルを発揮するチャンスが来ると思いますし、その一歩目として当社を選んでもらえたら理想的ですね。いずれは、若い子たちが「YouTuberになりたい」と言うのと同じ感覚で「家具職人になりたい」と言う世の中を実現させたいと思っています。

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