インタビュー

卸・販売

安全かつ効率的な生産体制を追求

 では、イチゴの生産工程についても、ぜひ詳しくお聞かせいただけますか?

上原 もちろんです。当社ではイチゴの王様とも言われる「あまおう」を専門に生産しており、栽培は6~10月の育苗期と、11~5月の収穫期の2つの大きなサイクルを繰り返しています。あまおうは特に果皮が柔らかい品種なので、夏場に苗を育てながら、ハウスでは土づくりをしっかり行い、地力を向上させます。秋(9月)に定植するのですが、早いものは11月から収穫が始まり、翌春の5月末まで収穫が続きます。

 しっかりとスケジュール管理をされていらっしゃるんですね。

上原 ええ。また、微生物を活かした自然環境農法にこだわっているということも、当社の大きな特長です。土壌内の微生物によって健康で病害虫に強い苗を育て、付いた害虫は天敵となる益虫や高濃度炭酸ガス殺虫システムによって駆除する。さらに加温機や灌水などの設備を整えてハウス内の環境を制御することで、安心安全なイチゴを安定して市場に供給することを実現しているのです。

 徹底していらっしゃいますね。社長のイチゴづくりに懸ける熱い思いが伝わってきます。そうしたノウハウや信念は、スタッフの方たちとも日頃から共有していらっしゃるのですか?

上原 はい。一般的な工場のライン作業と異なり、農作業は同じことの繰り返しのように見えて、ケースバイケースの対応が求められることが多いため、スタッフたちへの指導は丁寧に寄り添いながら進めています。人は物事を本当に理解したときに初めて、正しく効率的に動くことができるので、ただ方法を伝えるだけでなく、その作業の必要性も含めて一つずつ教える必要があるんです。

 その辺りは、製造業に長く従事していらっしゃった社長ならではの視点だと思いますし、他の農家にはなかなかない強みになると思います。

上原 そう言っていただけると嬉しいです。確かに人単位で生産性を高めることにスポットを当てた「生産工学」を導入しているのは、製造業時代の経験が活かされているかもしれません。作業の無駄を減らしていけば、その分利益につながることはもちろん、システマティックな環境で働く中でスタッフたちが農業に魅力や楽しさを感じるきっかけも与えられるのではないかと考えているんです。

 これだけ先鋭的なことに取り組んでいらっしゃると注目度も高まると思いますし、やりがいも大きいですよね。

上原 そうですね。最近は六次産業化へ向けた活動も開始したことで新しい人脈も増え、たくさんの方に見ていただけているということに心からやりがいを感じています。私たちもまだまだ地域の皆さまに広く認知していただきたいので、積極的に情報発信していくつもりです。

 では最後に、会社としての将来のビジョンについてお聞かせください。

上原 イチゴで勝負する、と決めてつくった会社なので、人材の雇用と育成に注力しながら、生産者としての地位を確立していこうと思います。六次産業の分野にも手を伸ばし、地域社会と農業に貢献できるよう、努力し続けてまいります。

GUEST COMMENT

巻 誠一郎

「人材育成もシステマティックに行えるというのが、会社組織であることの強みだと思います」と力強く語ってくださった上原社長。異業種から参入されたからこそ、広い視野で多角的に農業を見ていらっしゃると感じましたし、失敗を恐れずに挑戦され続けている姿に期待と尊敬の念を抱きました。この先もぜひ、農業の世界に新しい風を吹き込んでください。

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