大学では経営学を専攻。卒業後は祖父のアドバイスで建築会社へ入社する。入社してすぐに工事部に配属。知識ゼロのまま現場監督となる。仕事と並行して夜間の専門学校に通い、卒業後、二級建築士の資格を取得。後に一級建築士となり、木造建築を手がける会社に転職した。さらに活躍の場を広げ、取締役まで昇進したものの退職。2020年2月に(株)家組を創業した。

株式会社 家組 | |
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住所 | 〒352-0003 埼玉県新座市北野2-13-10 |
URL | https://iegumi.com/ |
住まいのリフォーム・リノベーションを手がける(株)家組。田村祥子社長は、女性現場監督として、建築士として常に新たな道を切り開いてきた。生涯現役を目標に独立した田村社長の建築に懸ける思いを知り、タレントの水野裕子さんも「会えてよかった!」と満面の笑みを浮かべていた。
女性現場監督として建築業界へ
水野 まずは、田村社長の独立に至るまでの経緯からお聞かせください。
田村 私は大学で経営学を学んでいましたが、卒業後の進路をどうするべきか祖父に相談したところ、「衣食住に関わる仕事をしてみろ」「女性の専門職が誕生しないとこれからの日本が成り立たない」と助言されたんです。そこで、私が選んだのは「住」でした。大学卒業後、建築会社に入社した私は、さっそく現場に配属となり、現場監督として汗を流すことになりました。もちろん、そのとき建築の知識はまったくなく、当時の建設現場は私のほかに女性が一人もいなかったんですよ。現場にいても、職人さんの話す言葉の意味がわからず、「女じゃ役に立たない」などと言われることもありました。しかし、ここでくじけたら負けだと思った私は、仕事と並行して専門学校の夜間コースに通い、二級建築士の資格を取得したんです。すると現場の人たちの態度がガラリと変わりました(笑)。
水野 社長の努力が実を結び、職人さんたちに認められるようになったと。
田村 ええ。そして現場の人たちに信頼されるようになると「あれも知りたい。これもやりたい」という意欲が湧き出して、建築の仕事一筋に生きるようになったんです。建築は、建築士や現場監督の実力がそのまま建物に現れます。仕事にやりがいを感じはじめ、「このまま最後まで突っ走ろう」と決意を固めました。
建築業界で女性が活躍
水野 でも、女性には結婚・子育てと仕事の両立という難問が立ちふさがりますよね。社長は、その壁をどうやって乗り越えてきたのですか?
田村 私は妊娠5ヶ月まで現場監督を続けたんですよ(笑)。その後は設計業務に回してもらったものの、出産を終えると再び現場に復帰し、家族に協力してもらいながら仕事を続けていたんです。30歳を過ぎたころから「仕事が丁寧で細かいところまで気が付く。現場監督は女性の方が向いているんじゃないか」とお客様や職人さんが評価してくれるようになり、励みになりました。ただただ、がむしゃらに目の前の仕事に向き合って働き続けてきましたが、その間に女性現場監督の後輩が何人かできまして。彼女たちが、「女性でも現場監督の仕事ができると田村さんが証明してくれた。そのおかげで私たちは偏見なく現場で働くことができる」と言ってくれ、後輩たちにこの言葉をもらえたことは私の大きな誇りになっています。
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