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注目企業インタビュー

50年以上続く(有)山本技建の2代目として生まれ育ち、跡を継ぐことを意識して育つ。10代の頃から看板工事や工場のライン作業などさまざまな仕事を経験し、その傍ら家業を手伝ってきた。学業を終えると、本格的に家業に入り、専務を経て2018年に代表取締役に就任。現在は伝統的な木工事の技術を守りつつ、若い人材が働きやすい環境づくりにも尽力している。

有限会社 山本技建
住所 〒432-8005
静岡県浜松市西区神ケ谷町6815-6
URL https://ymgk.jp/

静岡県浜松市を拠点に、半世紀にわたって木工事業を手がける(有)山本技建。2代目社長の山本氏は、伝統技術を継承しながら、若手職人たちがより生き生きと働けるよう育成環境の構築にも力を入れている。その独自のビジョンに、俳優の名高達男さんが迫った。


伝統の技術を継承して

名高 こちらは創業から50年以上の歴史を持つ建設会社だとうかがっています。まずは、山本社長が2代目に就任されるまでの経緯からお聞かせください。

山本 私は幼い頃から工事をする父の背中を見て育ったこともあって、自然と図画工作などものづくりに興味を持ち、大工を目指すようになりました。10代後半になると外で看板工事や工場のライン作業などを経験しつつ、家業の手伝いも始め、20歳を過ぎて学業を終えたタイミングで本格的に家業に入ったんです。

名高 なるほど。会社の跡を継ぐことを、早くから考えていらっしゃったのですね。そこからの歩みはいかがでしたか?

山本 技術を一からしっかりと学び、代表就任の前には専務として外回りやお客様とのコミュニケーションも経験させてもらえたので、スムーズに事業承継ができたと思います。実際に2018年に代替わりしてからも、良い意味で環境の変化を特に感じることなく仕事に臨めましたからね。

名高 引き継がれるにあたって、先代から何か声をかけられたり、思いを伝えられたりということもあったのでは?

山本 引き継ぎに際して特別なやり取りがあったわけではないものの、日頃から「嘘をつかず、いつ誰に見られてもいいように仕事をしなさい」と言われてきました。ですので、その教えはしっかり守っていこうと思っています。最近はプレカットの安価な建材で建てられる住宅も増えてきました。その中でも、当社は長年にわたって木と向き合い、手刻みでの木材加工から施工までを一貫して手がけてきたのです。その伝統技術も、若い職人たちにきちんと継承していかなければならないと考えています。

技術力を伝え働きやすい環境も整える

名高 現在は、どういった現場を請け負っているのか教えてください。

山本 当社では、木造住宅の設計施工や、アパート、マンション、店舗などの内装工事をメインに手がけています。木材の加工はすべて手刻みで行っているため、お客様のご要望に柔軟にお応えすることができ、フルオーダーの住宅のご依頼を承ることも可能です。

名高 頼もしいお言葉ですね。それを実現するためには、職人さん一人ひとりが高い技術を身に付けている必要があるかと思います。やはり、人材育成には特別に力を入れていらっしゃるのですか?

山本 ええ。私は、良い職人がそろっていれば自ずと良い建物ができあがり、それがお客様からの評価や次の仕事へつながると考えています。ですから、営業活動よりもまずは、人をしっかりと育てることを念頭に置いているんです。かつては、「技術は見て盗め」という言葉が職人の世界では当たり前でした。しかし、時代が変わり、合理的な指導方法が主流になってきている今の世の中に我々もフィットしていく必要がありますからね。年配の職人には「若手が早く仕事を覚えれば助かることも多いから」と積極的な指導を促し、若手の職人には「教えてもらっていることへの感謝を忘れないように」と伝え、両者の距離感を私が取り持つように心がけています。

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