インタビュー

建築

西岡 どの業界も若手の人材が不足しているという話はよく耳にします。採用も育成も難しくなっているんですよね。

 ええ。だからこそ私は、若い世代を採用するにあたり、これまで当たり前だったことを変えていく勇気が大切だと思っています。そこで当社では、“新しいスタイルの電気屋集団”をつくるべく改革を行っているんです。

西岡 具体的には、どんなところを変えようとされているんですか?

 同業他社では早朝から真夜中まで働くような工事会社も多いと思うんです。でも、そうした長時間労働は生産性を下げる一方ですから、当社では時間をきっちり決めてメリハリを付けて働くようにしています。そのほうが、体力的にも精神的にも余裕が生まれて作業効率が上がるはずですから。
 また、身だしなみや服装も、一昔前は正直、ボサボサの髪の毛に汚れた作業着でお客様の元へ作業に向かう、なんていうところも多くて。職人なりに「自分は仕事をしに来ただけだ」というプライドもあるのでしょうが、どれだけ良い仕事をしても、印象が悪いと台無しになってしまいます。そこで、当社の作業着はデザインや色も工夫し、「作業着」というよりは「会社の制服」だと思ってもらえるくらい、小綺麗にしているんです。

西岡 働き方や業界のイメージを変えていくというのは、時代に即した改革だと思います。社長は非常に柔軟な考えをお持ちですね。

 私自身が若い頃に疑問に思っていたことを、一つひとつ変えていっているだけなんですよ。他にも、社会保険に加入したり、きちんと有給が取れるようにしたり。そうした、当たり前にできているべきことを、業界全体で見直していくことが重要だと思っています。
 それから、当社では初任給も、伸びしろに対する期待値として業界平均より高く設定しています。加えて、地方から出て来るような子には、家賃補助も出しているんです。それで、もし会社のそばに住めれば、仕事終わりにご飯だっておごってあげられますからね。そうやって、入社したての若い子が「しばらく頑張ってみよう」と思えるようにしてあげたいんです。

西岡 「本気で業界を変えたい」「もっと良くしたい」という思いが伝わってきます。では、育成に関してはいかがお考えでしょうか?

 いくつか心掛けていることがありまして、1つは、「自分が若い頃はこうだった」という考えを押し付けないようにすることです。時代は変わっていますし、何より右も左も分からないうちから怒られてばかりでは、心が折れて、卑屈になってしまう場合もありますよね。そうではなく、少しずつでも達成感や成功体験を与えていくことが大事だと思うんです。
 それと、得手不得手や性格をしっかり見極めてあげることも大事です。「この子は理解が遅い」と決め付けて突き放すのではなくて、「どうやったら理解するか」をこちらが考えて、伝え方や教え方を変えてあげる。そうやって、成長するための舵取りをしてあげるのも、私たちの世代の役目でしょう。

西岡 そんなふうに温かく見守ってもらえたら、若い人材もしっかり定着するでしょうね。

 そうであれば嬉しいです。もちろん、仕事の心得など、伝えるべき部分はきっちり伝えますよ。現場にゴミを落としていったりするような雑な仕事は、全て「作業してやっている」という慢心から来るもの。私たちの仕事は、お金を払ってくださるお客様がいて初めて成り立つのですから、「させて頂いている」という気持ちは絶対に忘れてはいけません。理不尽な指導や説教はせずに、一方で、大切なことは何度でも丁寧に伝えながら、若い子が腐らずに立派な職人になれるよう育てていきたいと思っています。

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