音楽活動に注力しつつ、型枠大工職人としても働き始める。次第に仕事の魅力を感じるようになり、職人の世界で生きることを決意。技術を磨きながらも、厳しい労働環境の業界の現状に危機感を抱き、改革に乗り出すべく個人事業主として独立する。その後、合同会社を経て2014年に(株)ノースプロジェクトを設立した。

株式会社 ノースプロジェクト | |
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住所 | [事務所]〒067-0042 北海道江別市見晴台16-8 [資材センター]〒003-0876 北海道札幌市白石区東米里2157-32 |
URL | http://northproject.jp/ |
北海道江別市を拠点に型枠工事、基礎工事全般を幅広く請け負っている(株)ノースプロジェクト。金子社長は施工の品質を追求することはもちろん、人材育成の体制を整え業界全体のイメージ向上にも尽力している。その独自の経営観に、タレントの石黒彩さんが迫った。
誰もが憧れる職業にするために
石黒 金子社長は、もとは個人事業主として長く事業を手掛けていらっしゃったそうですね。まずは、独立をされるまでの経緯からお聞かせください。
金子 私はかつて、音楽活動に打ち込んでいて、始めは収入の足しになればという思いで、型枠大工職人になったんです。しかし、仕事を続けるうちにだんだんとこの世界に魅力を感じるようになり、「職人の道を極めよう」と決意しました。そうして現場で経験を積んでいたのですが、次第に建設業界全体が「きつそう、指導が厳しそう」というイメージを持たれていることにもどかしさを感じるようになって。もっと若い人たちに憧れてもらえるような職場環境を自分たちでつくっていきたいと思い、独立を決意したんです。
石黒 強い使命感を持っての独立だったのですね。実際にスタートされてみて、手応えはいかがでしたか?
金子 やはり、何かを変えていこうとすれば必ずひずみが生まれますから、最初は苦労した時期もありました。しかし、信念を貫いて走り続けているうちに1人、2人と仲間を増やすことができて、それに伴って周囲の評価も上がっていったんです。組織としても大きくなってきたことから、まずは合同会社を立ち上げ、さらに手応えを感じられるようになった2014年に、株式会社に改組して今の形になりました。現在は約20人の社員たちと共に、建設業界の職人のかっこよさを追求しています。
組織的な育成ピラミッドを構築
石黒 では改めて、こちらではどのような現場を手掛けていらっしゃるのか詳しく教えて頂けますでしょうか?
金子 当社では、どんな建物にもある基礎工事と、マンションや商業施設といった大型物件の型枠工事を中心に、幅広く工事を請け負っております。技術力はもちろんのこと、平均年齢30歳という若いメンバーで連携して仕事に臨むチームワークは他にない武器です。
石黒 全員で統率の取れた動きをするためには、しっかりとした育成が必要不可欠かと思います。人材育成において気をつけていらっしゃることはありますか?
金子 とにかく社員を愛することと、それを正しく伝えていくことですね。一昔前まで、「技術は見て盗め」という言葉があったように、職人の世界では放任が当たり前でした。しかし今の若い世代は、こちらがしっかりと仕事の手順や方針を指し示してあげたほうが迷いなく動いてくれます。どちらが良いという話をするのではなく、今の社員たちがどうすれば生き生きと働けるかを親身になって考え、上手に指示を出してあげることが、私の役目だと思っているんです。
石黒 時代の変化に自ら適応していこうとされる姿勢に、社長の懐の深さを感じます。そうした理念は、社員の方たちにも伝わっているのではないですか?
金子 そうですね。ただ、私1人が全員に伝えるよりは、役員から職長へ、職長から現場の社員たちへ、ピラミッド状に指導を行える仕組みを整えていくことが理想だと思っています。そして、定期的にマナーや安全などテーマごとに講師を招いて、会議室で社内研修や安全講習会を開いているんです。
また、互いの価値観を共有する場を設けるべく、草野球やゴルフ、食事会などのイベントを定期的に開き、社外でもコミュニケーションを取れるようにしています。
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