インタビュー

製造・技術

宍戸 製品が売り場に並ぶ前の最後のふるいを、御社が責任を持って掛けていらっしゃるわけですね。

佐藤 ええ。生地の中に針が残っていないか一つひとつ検針器にかけ、さらに痛みやほつれ、汚れ、ボタンずれなどがないかを入念に見ていきます。また、当社には縫製加工のプロが在籍していまして、もしサイズのずれや縫い目のほつれがあった場合にも、こちらで加工を行い、商品として問題ない状態に仕上げることができるのが強みです。

宍戸それは素晴らしい!良品と不良品を仕分けるだけでなく、不良品を良品にする役目も果たしていらっしゃると。

佐藤 はい。不良品を仕分けていくだけでは、処分するものが増えてしまってクライアント様の損失になります。それは巡り巡って当社の損失にもなりますし、何よりクライアント様が困っていらっしゃったので、それならばと、専用の洗剤やミシンを導入し、当社で加工できる環境を整えていったのです。もちろん、加工にはリスクも伴いますが、試行錯誤の末、現在は刺繍などの高度な加工にも対応できるようになってきました。

仕事がある喜びを糧に

宍戸 お話を伺っていると、社長がどこまでも前向きに仕事に打ち込んでいらっしゃる様子が伝わってきます。そこまで頑張れる原動力は、どこにあるとお考えですか?

佐藤 私は若くして夫と独立し、これまでに何度もつらい状況を経験してきました。仕事をしたくても依頼がなく、幼い子どものミルクも満足に買ってあげられないような時期もあって・・・。だからこそ今、こうしてたくさんのお仕事を頂けていることに、喜びを感じているんです。「仕事はやりたいと思っているだけでできるものではない」ということが分かっているからこそ、クライアント様の存在に感謝し、どんなご依頼であっても決して断らないスタイルを貫いています。

宍戸 そういった真摯な姿勢を持っていらっしゃるなら、クライアントも安心して依頼することができそうです。

佐藤 現在10名以上いるスタッフたちも、私の思いに共感してくれている者ばかり。繁忙期になると、私が何も言わなくても一致団結して、朝早くから夜遅くまで一生懸命に働いてくれます。その分、休暇はスタッフ間で調整して自由に取ったり、社内に託児所を設けたりと、お互いに支え合うようにしているんです。

宍戸 では、今後のビジョンについてはいかがでしょうか?

佐藤 私は人とのご縁を通じて仕事を広げ、ここまでやってくることができました。この先もクライアント様との信頼関係を第一に、事業を拡大していきたいと思います。また最近は、スタッフ主導でオリジナルアクセサリーや子ども服の製作・販売も始めたので、検品だけでなく自社ブランドの発信にも努めつつ、新たなチャレンジを続けてまいります。

GUEST COMMENT

宍戸 開

とてもスタッフさん思いでいらっしゃる佐藤社長。経営者だからと言って背伸びするのではなく、同じチームで働く仲間として、皆さんに等身大で接していらっしゃる姿が印象的でした。そんな社長だからこそ、スタッフの方々も「この人に付いていこう」と思えるのでしょうね。これからも、どこにも負けない結束力を武器に、業界内の欠かせない存在としてご活躍されてください。

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