名高 なるほど、初めに「量」を獲得されたと。そこから「質」の向上があって、売上が伴うのだと思います。
由見 おっしゃる通りです。仕事の数は受けられる一方、未経験者が多いため事故が増えてしまいました。そこで、社員のモチベーションを高められるよう、頑張りを正しく評価する制度を導入したのです。私自身、現場で感じていたことをアイデアとして取り入れました。
名高 具体的に、どのような策を講じられたのか気になります。
由見 例えば、給与は現場の責任者を含めた管理者5人が、各社員を項目ごとに評価して定める仕組みにしました。また、事故やクレームを発生させないことは“当たり前”ではありますが、続けるには大きな努力が必要です。それをきちんと守れている人の頑張りを評価する「無事故キャンペーン」なども始めました。すると、仕事の質が高まっただけでなく、当社でかつて働いていたドライバーたちを呼び戻すこともできたのです。
多角的な事業展開で次のステップへ
名高 社長の新しい取り組みによって、経営がさらに上向いたのですね。また、事業展開についても幅を広げていらっしゃると伺いました。
由見 ええ。当社のメイン事業は、変わらず引っ越しや家具家電配送といった運送業になるのですが、付随して発生する業務も手掛けられるように、範囲を拡大しているところです。例えば、以前から家具や家電を配送した先で、組み立てやちょっとした模様替え、テレビの配線接続も行っていました。それに関連して、不要になった家具家電を回収・処分したり、引っ越しに際してハウスクリーニングをしたり・・・。さらには草刈りや買い物代行といったように、便利サービスまで展開できればと考えています。将来的には、作業着や資材の卸業、リサイクル業なども手掛けられたら良いですね。
名高 ずいぶんと幅広く展開されていくのですね。
由見 ええ。やはり、お困りの際にトータルでサポートできれば、お客様に喜んで頂けますからね。それに加えて、社員たちが高齢になった場合でも活躍できる場を広げたいという思いもあります。運送業は、歳を重ねると若い頃と同じように働くのは難しくなってしまいます。しかし、多様な事業を手掛けることで、社員には将来を心配することなく、長く働いてもらいたいと考えているのです。社員の平均年齢が低いうちにノウハウを磨き、しっかりとした土台を築ければと考えているところです。