石黒 なるほど。では、エネルギーをメインの事業に置かれた理由というのは?
水谷 具体的にどんなことに取り組むべきか模索していた時期に、自然エネルギーについてその道のレジェンドと呼ばれる方から学ぶ機会がありました。その中で、エネルギー事業が多くの社会的課題を解決し、地方創生にも貢献できる可能性を秘めていると感じたのです。
また、東日本大震災が起こり、福島の方々は、関東圏に電力を送るための原発によって暮らしが奪われてしまいました。その時に感じたやり場のない思いが、ずっと自分の中でわだかまっていることも、この事業に結び付いた大きな理由の1つです。自然エネルギーを通じて、都市と地方の新しいエネルギー関係を構築していきたいと考えています。
大規模集中から小規模拡散へ
石黒 社長の中で、使命感に近い気持ちが湧き起こったのですね。実際に起業されてみていかがですか?
水谷 地域電力事業のサポートを中心に手掛ける中で、各地方にいらっしゃる、エネルギーの課題解決を牽引する元気な方々と出会えることに、やりがいと手応えを感じています。現在、主に扱うのは太陽光、風力、地熱、バイオマス、小水力の5つのエネルギー。その中から地域ごとの特色を踏まえた発電をお手伝いし、生み出したエネルギーは地方内で循環させ、余剰分は外へ販売するという新たなモデルをつくっているところです。もちろん、開発には大きな初期投資が必要になりますから、思いがある方と地方をつなぐ橋渡しも私の役目です。
石黒 そうやって地方が元気になれば、自ずと都市にも波及して日本全体が元気になっていくと思います。
水谷 まさにそういったところを目指しています。強い地方が都市を支え、都市もまた地方を支える。自然災害の多い日本だからこそ分散型の取り組みは重要ですし、これこそが「持続可能な社会」の根幹となる発想だと考えています。