インタビュー

不動産

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心の強さを養うために

─そうした発想で展開している不動産会社はたぶん、ほとんどないですよね。仮にアイデアを持っていたとしても資金的、人材的な面を考えてしまうと現実的には難しい。そのなかで大橋社長は、それができるだけの器量と行動力、人心掌握術を兼ね備えた希有な人物だと拝察します。特に新事業を展開するにあたっては「人材」が大切だと思いますが、普段スタッフの方とはどのように接しておられるのですか。

大橋 基本的には古参から入ったばかりのスタッフまで、全員に話しかけるようにしています。ただ、僕が出しゃばりすぎないよう、当然ながら各部署の上長にも気は遣いますよ。細かい指導や育成はもちろん、現場自体も基本的には各上長に任せています。経営者として考えているのは、超右脳に訴えかけること。脳細胞が持つ本能は「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」の3つ。生きたいのは当たり前として、ならば「知りたい」「仲間になりたい」と思えるような組織にしようと考えました。
 この意味でいうと、僕が心がけているのは「隠しごとをしない」ということ。例えばあるトラブルが生じたとき、スタッフに伝えると気まずくなるから言わないでおこう、というような発想ってありますよね?でも僕の場合は後先を考えず、全部その場で全員に伝えてしまう。それで社内の雰囲気が悪くなったとしても仕方のないことで、あとで明らかになって余計にこじれるよりかはよっぽどいい。「その場で勝負しようぜ」という気構えと、「この社長は嘘つかないな」「ガラス張りだな」と皆に思ってもらうことが大切だと思いますね。この姿勢がスタッフの安心感に繋がり、隠しごとをしないという組織文化が醸成されていくはずです。

─ひいてはそれが、「知りたい」「仲間になりたい」という本能を満たしていきますね。

大橋 あとは、最近の若い人は打たれ弱いなどと言いますが、辞められてしまうことを恐れながら新卒のスタッフと接してしまうとマネジメントは崩れます。「プロ意識を持て!」というくらいの気概をもって本気で接していくこともまた、人材育成の面では大切なことではないでしょうか。

─では、実際に営業スタッフを指導するにあたり、どのような点に留意していますか。

大橋 いつも伝えているのは「ものごとの道理通りやればいい」ということ。まったく経験のない人間がどうやったらお客様にライフプランを伝えられるのかを考えたとき、ものごとの道理をロジック化できたらお客様に理解して頂きやすいですよね。その観点からマニュアルを創って教えたら、皆が売れるようになった。
 また最近では「お客様にとって絶対にプラスになるから当然買ったほうがいい」という“当然意識”で、お客様にご提案するようスタッフに伝えています。金額の多寡ではなく、当然買うべきかどうかで判断して頂くという発想で、この思いも徐々に社内に浸透しつつありますよ。ただ、こうした考えも元々は、自分が楽をしたいから必死になって考えただけなんですけどね(笑)。

─なるほど(笑)。その発想はどのようにして培われたのでしょう。

大橋 僕は営業マンになりたてのころ、感覚だけで営業をしていました。それでもある程度は売れていたのですが、その理由が分からなかったので、ずっとこのスタンスは続けられないなとも思っていたんです。そのうちに役職がついて教える立場になったとき、どういうふうにすればお客様に響くか、伝わるかを真剣に考えるようになり、その延長線上に普遍的なテーマ──老後や保険等も含めて提案したらより伝わるだろうという思いに至ったことが、今に繋がっています。ちなみにそういったノウハウやロジックは、会社勤めのときから惜しみなく皆に伝えていましたよ。

─とかく営業マンは防衛本能からか、自分が培ってきた営業ノウハウを教えることを嫌う人も決して少なくないように思います。それとは真逆の発想ですね。

大橋 僕の感覚からすると、そういった考え方自体がナンセンス。万が一ノウハウを教えた人間に営業成績を抜かれたら嫌だな、という意識が働くのでしょうが、そもそもその優れた手法を編み出した人なんだから、さらに優れたやり方を生み出せる要素は全然あるし、逆にそれを出し惜しむような雰囲気が組織内にあったとしたら、やがて衰退してしまうような気がしますね。
 大切なのは、自ら編み出した手法をオープンにしたうえで、それでも負けないという“心”の強さ。編み出したロジックそのものよりも、さらに良い手法を生み出そうとする姿勢のほうが大事だと思っています。だから僕は、自分で創り上げたメソッドを同業他社さんに教えることもある。不思議に思われるかもしれませんが、それでいいんです。教えたことを上回ろうとする思いが、今の会社の強さともいえるからです。

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