インタビュー

スペシャリスト

株式会社 ワンボックス

兵庫県出身。学業修了後、広告代理店に勤める。その後、実家の稼業である、製あん業に従事する傍ら中古溶接機の通信販売を開始。そして、あるきっかけから中古溶接機専門販売を主業務とする(株)ワンボックスを設立した。

中古溶接機専門販売 株式会社 ワンボックス
住所 〒561-0894 大阪府豊中市勝部1-9-31
TEL 06-7659-8174
URL http://www.one-box.net/

中古溶接機販売のはじまり

根本 御社は溶接機を専門に扱っているそうですね。溶接機だけに特化されている企業というのは珍しいですよね。

清水 はい。当社は中古溶接機だけを専門で扱っております。日本全国の中でも中古溶接機だけにこだわって販売業務を行う会社は他にはないんじゃないでしょうか。あらゆるタイプの中古溶接機を扱っておりますが、中古品といっても徹底的な整備作業を行いますから、動作性能はもちろん外観に至るまで完成度の高い商品を販売しております。

根本 品質に自信ありということですね。では、清水社長が溶接機を扱うようになったきっかけは?

2636t清水 古い「MINI」のレストアが始まりです。レストアとは、「古い物を新品に近い物に蘇らせる!」こと。当時、家業の仕事が終わった後の時間を利用し、毎日せっせと作業するほどレストアにはまっていたのです。60年代のイギリス車はとにかく錆びついてボロボロだったので、出来上がった時の感動は今でも忘れません。

根本 本格的なレストアには溶接機が必要だった、と。

清水 そうなんです。最初はホームセンターの安物を買って試してみたところ、まるで使い物にならなかった・・・。そこでプロが使うような本物の溶接機が欲しくなって、それからはどんどん本格的な溶接機類を集めるようになりました。「溶接の魅力」にとりつかれたんでしょうか?(笑)。本物の溶接機の心地よい使いやすさに、「きっと皆が欲しがるだろうなぁ?」と痛感し、レストア誌に自分が使っていた溶接機を出品したのです。――すると、すぐに全国から多くの問い合わせがありました。当時は中古溶接機を専門で扱う業者もなかったため、「レストアラー」と呼ばれる個人ユーザー様からの注文が多かったんです。私はレストアに対する経験や知識があったので、毎日のように来る全国からの電話による相談・注文の対応に追われましたね。その時、これは事業に繋がるかも?と思ったのです。

根本 それほど溶接機のニーズが高かったのですね。すぐに独立されたのでしょうか。

清水 いいえ。商売の起点は15年以上前にもなりますが、最初はここまで本気で事業展開するつもりはなかったのです。なにせ私は家業の後継ぎである長男でしたから。最初は「二足の草鞋(わらじ)」状態で商売を進めていたのですが、親との間に・・・ある揉め事があって、数年前に家業を辞め、溶接機専門販売業だけで生計を立てる事にしたのです。そして知り合いの会社に無理を言って、工場の一角にある約5坪の場所をお借りして3年間お世話になりました。その会社には色々と優しくしてもらい、今でも本当に感謝しています。その頃から、ひたすら自分の理想とする工場の姿をイメージしていたものですよ。

こだわりの仕事が信頼に繋がる

根本 創業当初から業績は好調だったのでしょうか。

清水 家業に従事している時のこの仕事はいわば副業でしたが、これだけで家族を養い、事業を軌道に乗せるまでは本当に苦労しました。収入の少ない月はキャッシングしてでも妻にはいつもと変わらない給料を渡したものです。自分で決めた人生ですから、どうしても家族を心配させたくなかったんです(笑)。しかし、今ではおかげさまでようやく商売も軌道に乗り出し、日本全域にお得意様がたくさんいらっしゃいます。

根本 御社のオークションサイトの評価を見せて頂きましたが、多くの取引をされているにも関わらずマイナス評価がありませんね。「新品同様で驚きました」という声が多かったです!

清水 とにかく商品のクオリティにはこだわっているんです。外板で覆われて見えない内部や溶接の性能に関係のない部分でも、徹底的にやるのが私のポリシーです。「商品を完成させるのは一つの作品を仕上げている」という気持ちで取り組んでいます。ただ・・・、完成度にこだわりすぎて、利益に繋がらない商品もありますけど(笑)。

根本 製品の一つひとつには、お客様への愛情がこもっているのでしょう。

清水 クオリティの高い商品を提供するだけでは、私の仕事は終わりません。本当に大切なのは、お客様との「信頼関係」を築く事なんです。商品の扱い方からメンテナンス方法、施工のご相談や修理に至るまで、細かいフォローを心掛けております。常にお客様にとって身近な存在でありたいですからね。

夢は工場を起点に始まる

根本 社長のこだわりが差別化に繋がっているのですね。

2636ex01清水 あと、弊社は様々な工場設備とトイレにもこだわっているんです。一般的な工場のトイレといえば、和式で汚いのが当たり前で以前はここもそうでした。どうしてもそれが許せなくて。そこで昨年思い切ってトイレを大改装したところ、やっと自分で納得するものが完成しました。お客様たちからも好評です。根本さんにもご覧になって頂きたいですね。

根本 ぜひ見せてください、え?これが工場のトイレですか。壁にはダーツが飾ってあって、まるで素敵なバーのトイレですよ!

清水  内装の壁には青のガラスタイルを敷き詰め、外壁はタイル調に鉄を浮かせたものを貼ってお洒落に仕上げました。もちろん掃除は毎日欠かしていません。例えば飲食店では、どんなに料理の味が良くてもトイレが汚いだけでイメージダウンしますよね。それは企業でも同じこと。自己満足かも知れませんが、実際にこのトイレを利用される方々は弊社に対する信頼感が高まっているように感じます。

根本 それに、可愛らしい照明やお洒落な作業棚、工具にもこだわっていらっしゃいますね。私はカーレースの監督の経験がありまして、こちらにある「SNAP-ON」の工具は憧れでしたよ。

清水 昔から工具は大好きで、溶接機整備に必要はないようなメーカーの高級な工具にもお金を掛けてしまうんです。どうせ使うなら中途半端な物ではイヤなんですよ(笑)。それは溶接機にも同じことが言えますね。これからも居心地の良い空間の中、丁寧な仕事を続けていきたいと思っています。

2636k01根本 明るい雰囲気の工場ですよね。入り口の「ONE BOX」のロゴもお洒落・・・。

清水 ありがとうございます。これはお客様のスチールアーティストの作品です。スチールアートとは、鉄を切ったり貼ったり腐食させて風合いを出すなどして作り上げるもの。いずれはこの工場を「鉄」や「溶接」に興味がある方のコミュニティへと進化させたいですね。

2636s根本 なるほど。お話を伺っていると、常に固定観念にとらわれない発想がご自身の道を切り開かれたように感じます。溶接で扱われる鉄には無機質なイメージが浮かびますが、社長の溶接機レストアに対する想いや、素敵なスチールアートの存在が、冷たいイメージのある「鉄」を身近なものにしてくれそうですね。

清水 とにかく私が好きで始めた仕事ですから、誰もが憧れるような理想的な空間の中で進んでいきたいんです。その中でも人の繋がりを一番大切にしながら、常に満足頂ける仕上がりの商品だけを提供したい――。この気持ちだけは変わらないでしょうね。

工場風景
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GUEST COMMENT

根本 りつ子

車が好きで工具も大好き。年齢もほとんど変わらないという社長との共通点の多さも手伝って、楽しいひとときでした。「人と違う車に乗りたい」という社長の愛車は黄色いハイラックストラックと可愛らしいポーターキャブ。たくさんの車を乗った上での結論だそうです。紆余曲折がありながらも、1つの道に信念を持って歩む姿に職人魂を見た気がします。これからも質の高い仕事を通じて「ものづくり大国ニッポン」を支えてくださいね!

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