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注目企業インタビュー

1996年、前会社のブライダル事業部で活動。2003年、ブライダル事業部より独立した「ハセガワエスティ」の代表取締役に就任し、女性が多い業界のスタッフを牽引。目下、働く女性の地位向上に向けて奮闘中。

住所 〒150-0011
東京都渋谷区東2-6-16 S.T.フォレスト 1F
TEL 03-5766-9066
FAX 03-5766-9060
従業員 1287名(嘱託社員を含む)
店舗数 373店舗(2011年3月31日現在)
ホームページ http://www.hasegawa-st.com

心に残る結婚式をプロデュース

小柳: はじめまして。ブライダル事業で業績を伸ばされているそうですね。まずは会社の沿革からお聞かせ願えますか。

阿久津: 歴史は古く、創業は1908年です。といっても昔は一般家具の製造・販売を行っていました。家具販売部門強化のため、「株式会社 近代家具のハセガワ」へと組織変更したのが1973年。しかし年々、家具の需要が減少し、新たに1996年ブライダル事業部を設立。ブライダル事業拡大に伴い、2000年にその事業部を独立させて法人化した会社が「ハセガワエスティ」なんです。
小柳: 具体的にはどのような活動をされているのでしょう。

阿久津: 司会者のキャスティングをはじめとして、音響・衣装・メイク・パフォーマンス・生演奏の手配、また、司会者や音響スタッフを育成する塾を開講したりと、結婚式に関連する業務が徐々に膨らんでいます。ただ、家具を売るのとは違い、商品は人間ですので、日々、本当にその難しさを実感しています。

小柳: 「人」を扱う意味ではスタッフの人間性がかなり重要になりますね。現在のスタッフは何名ほどいらっしゃるのですか。

阿久津: 120名くらいで、その8割が女性です。司会者は30歳〜45歳
位の方が大半を占めます。その中で、特に女性のスタッフには「いつもキレイでいて下さい」とお願いしています。仕事を楽しく感じることができれば、いつもキレイでいられるでしょう。結婚しているスタッフが多いので、キレイになると子供が出来たりするんですけど(笑)、産休を経ても、その意識があれば女性としての深みを増して復帰します。常に光り輝くことによって、たとえ何歳になっても本当に喜んで頂ける楽しい結婚式という空間を演出できるんですよね。

精神的なタフさが要求される司会業

小柳: 「いつもキレイに」という部分でスタッフの方に仰られていることはありますか。

阿久津: やはり、常に自分を高めるという部分で、小柳さんのような女優さんが大変良いお手本になります。自らの体を鍛える、精神を磨く、など自己研磨されていると思うんですけど、女優さんはやっぱり健康第一でしょう?

小柳: ええ、私の代わりになる方はいませんから。常に健康を維持することを意識し、風邪を引かないような環境を創り出しています。ストレッチ、柔軟運動、筋トレは毎日。かといってサプリメントは一切摂取していませんし、エステに通うこともありません。つまり、よく食べよく眠り、健康な生活を通じて、人間が本来持っている自然治癒力を高める努力をしているのです。
芸能界は女性としてのプロポーション、精神が高いレベルで要求されます。だからこそ入れ替わりが激しく、長く続けることのできるエネルギーは計り知れません。私は今53歳ですが、積み重ねた強さは持っていると思います。活躍されている歌手や女優さんは、肉体的なことはもちろん、精神的にも皆さんタフですよね。

阿久津:私達ブライダルの仕事も、お客様がいてクライアントがいて、私達がいる。あくまでお受けしている立場ですから、色々な気配りなどで、特に精神的なタフさが要求される仕事だと思います。例えば、明らかに自分に非はなくとも、お客様の背景を読み取り、心から謝ることのできる精神力は大事です。その意味でも、人生経験豊かで人間的にも幅がある事が大切なんです。

小柳: 相手の立場をいかに汲み取ることができるか。人材育成の面でも、優秀な人材を育てるためには、大変なご苦労がおありになるのでしょう?

阿久津: はい。最初は現場に同行し、一つ一つ仕事をこなせるようになり、初めてひとり立ちです。ただし、ベテランの司会者と経験の浅い司会者では相手の対応も全く違い、その司会者に対する評価はとてもシビアです。最初のうちは皆さん精神的にも非常に辛いと思うのですが、それを乗り越えて本当にいい司会者として成長していかれるんです。

仕事と女性

小柳: その陣頭指揮やまとめ役を阿久津社長が担っているのですね。

阿久津: 各部門の教育リーダーや、会長である長谷川、時には私も現場に出てフォローしています。結婚式は通常、土日がほとんどですから、小さいお子さんがいる場合、週末は子供を旦那様に任せて活躍している女性も多いんです。

小柳: でも、タフな女性は家庭に入ると、何かもったいないような気がしてしまいますね。もちろん主婦だって立派な仕事ですけど、育児も一段落して、エネルギーが溢れちゃってる方って結構いると思います。

阿久津: そうですよね。能力的には男性も女性も変わらないのですから。ただ、出産や育児、親の介護により辞めてしまうのは結局、女性なんです。逆に言えば、長期的なプロジェクトのリーダーや会社の重要なポジションを任せてもらえないのは正にその点だけ。本当は女性も仕事のリーダーとして非常に有能で、素晴らしいパワーを発揮するんです。ですから私は女性の活躍の場を増やしたい。そのために、例えば「子供のいる女性の為にどの駅にも必ず託児所を設ける」などの国策があってもいいでしょう。

小柳: いいお考えです。男女雇用機会均等法が施行されているとはいえ、まだまだ女性軽視の風潮であることは否めませんしね。

阿久津: だからこそ働く女性のチームを作って、男性以上に働けると認めて欲しい。社会の中で、女性が誇りを持って生き生きと、そして何より、長く働けるような環境を創りたいと思います。その中で、小柳さんが第一線で長く活躍されてきた秘訣ってなんですか?

温かい心のふれあい

小柳: 私の場合は、とにかく自分に厳しく芸能活動を続けてきました。実績を積み、周りの方は私を立ててくれたり、待遇を良くしてくれますけど、それを勘違いしないことが大切ですね。人間、チヤホヤされると調子に乗ってしまいがちですけど・・・。結局ライバルは自分ですから、自分に負けたくはありません。一ミリでも半歩でも進化していきたい。とにかく立ち止まりたくないんです。
溢れる才能を持った方の集まりである芸能界で生き残るには、イメージ的にはリアカーを引いて坂道を登っているような感覚です。その坂道の傾斜が年を追うごとに急になり、荷物はドンドン重くなる。本当にね、長く続けるには色々な意味で相当にタフじゃないと務まりません。

阿久津: 名だたる女優さんでも、皆さんそのポジションに胡坐をかくことなく、一人一人が努力してらっしゃるんですね。

私達も、夢のある空間をつくっていくという意味では一緒だと思っています。ブライダルは一生に一度の大イベントですから、その時だけは日常を抜け出して、特別な気持ちになりたいと思うんです。そして夢をあたえる演出をする際、一番大事になるのは、やはり心から接することだと思います。

小柳: そうですよね。私がいつも思うのは、頭で考えた事は、頭にしか届かない。心で考えて初めて、相手の心に響くのだと思っています。だから、常にピュアな心を忘れずに、芝居をしたり歌ったり踊ったりしています。そのためにも、自分の感性を常にニュートラルにしておく必要があると思います。

阿久津: 素晴らしいですね。・・・人が存在する以上、いつの時代にもあったもの、それが暖かい心の触れ合いだったと思います。そして、人が集まるパーティーにはさまざまなドラマが生まれ、その原点にあるのは、人と人との心のコラボレーションだと思っています。そして、会社の中で何より大切にしていているのはチームワークです。目指しているのは、働く人が輝いていること。魅力ある人が集まって働いている会社です。そのために私も、小柳さんを目標にして頑張りますよ(笑)。

小柳:私も、目指していただけるように頑張りたいと思います。ありがとうございました。陰ながら応援させて頂きます。
GUEST COMMENT

小柳 ルミ子

「私は120歳まで生きることが目標です。」と明るく気さくに話してくれた阿久津社長。司会業も女優業も、自分自身の持つ能力が試される、求められるという部分では一緒です。男尊女卑の時代を経て、いまでこそ女性の社会的地位は上がっています。でも、まだまだ女性が下に見られる事実は否定できませんよね。そのパワフルなハートで、女性たちの地位を上げ、頑張っていただきたいと思います。そして今後も自分に厳しく自分を磨いて、精神も肉体もキレイでいて欲しいと思います。女性の逆襲はこれからが本番ですよ(笑)。

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