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コラム

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■プロフィール
俳優
栗山 航 WATARU KURIYAMA

MY GLOBAL GOALS
URL https://my-global-goals.com/
Club31
URL https://club-31.com/

 
 

誰にとっても身近にある「SDGs」

社会貢献活動や自然保護・環境保全といったキーワードを包括する言葉として、すっかり定着しつつある「SDGs」。略さずに日本語で書くと「持続可能な開発目標」と、少し堅苦しい印象があります。「国や地域の方針?大きい企業が取り組む事柄で、一般の人は関係ない?」――そんなイメージを抱いてしまいがちですが、実際のところはとてもシンプルな理念で、要は“自分たちが暮らす世界(地球)を、未来でも快適に暮らせるように自分たちで守ろう”ということです。地球を守る、という大きなスケールで語らずとも、私たちが毎日の生活の中で、自分自身はもちろんのこと、周囲の人も今よりちょっと快適で幸せになれるような行動をする。それも、立派な「SDGs」の一環と言えるのかもしれません。

今回ご紹介する俳優の栗山航さんも、人のためを思い、隣人を助ける行動にやりがいと喜びを見いだしたことから、「SDGs」について真剣に考え、取り組むようになった1人。「MY GLOBAL GOALS」という「SDGs」の認知・普及を目的とした団体を設立し、2022年4月にはカフェ併設の保護犬施設も立ち上げた栗山さんに、できる範囲で行動を起こすことの大切さと、保護犬活動に懸ける思いについて、じっくり語っていただきました。

きっかけはコロナ禍での「マスク寄付」

2020年、新型コロナウイルスが猛威を振るい、ほとんどの人が経験したことのない孤独で不便な生活を余儀なくされました。そんな中、栗山さんは自らも俳優として活躍の場が制限される苦しい状況に置かれているにもかかわらず、自身が主演を務めたテレビドラマ「牙狼〈GARO〉」のメンバーと共にマスク寄付を行うことを企画し、実現させたのです。

「以前から僕は、俳優はファンの皆様がいてくださって初めて成り立つ仕事で、支えてくださっている方々に恩返しをしたいと常々考えていました。テレビや舞台に出演するだけでなく、何か形ある物を皆様に届けたい――そう考えてたどり着いたのが、マスク寄付の活動だったんです。数十万枚のマスクを、必要としている方々の元に届けたことで、人のためになれたという他では味わえない達成感を得られ、これが自分の人生の喜びになるのであれば、続けていくべきだと思いました」

継続の秘訣は気持ちが乗るものを見つけること

そうして「SDGs」の取り組みを本格的に開始した栗山さん。数ある活動の中で保護犬に着目したのは、「活動継続のためには、自分たちにとって身近でモチベーションが保てることから始めたほうが良い」という指針があったからだそうです。

「僕の実家で飼っていたワンちゃんが保護犬に近い境遇の子で、捨てられてしまったワンちゃんの殺処分の問題についても知っていたものの、これまで行動に移せていなくて···。見て見ぬふりをやめて、大切な“家族”の一員であるワンちゃんを守ろう。そういうところから始めたら、自分の気持ちも乗って続けられるだろうと考えて、保護犬活動をスタートさせたんです。施設の立ち上げに関しては、一緒に事業を手がけてくれるビジネスパートナーの存在も大きかったです。都内ではどうしても騒音や匂いの問題があって難しそうだったところ、その方が福岡に住んでいることもあって、糸島市の二丈深江という好立地に拠点を構えることができました。私自身、以前に仕事で一度訪れたことがあって、海も山も美しい素敵な環境だと知っていたので、ここならワンちゃんも、働くスタッフも心地よく過ごせるだろうと、非常にワクワクしましたね」

ワンちゃんと触れ合えるサポーターシステム

保護犬施設の多くは、ワンちゃんを一時的に保護しながら里親となる人を募集し、引き受け先が見つかれば送り出すという仕組みになっています。しかし、栗山さんの施設では基本的に譲渡はせず、入ったワンちゃんは生涯にわたって面倒をみるスタンスを貫いているそうです。その代わりに、「クラブ31」という、1匹のワンちゃんに対して31名までがサポーターになって、飼育費の支援をしつつ、施設を訪れた際にはワンちゃんと触れ合えるシステムをつくり、誰でも気軽に保護犬活動に参加できるよう工夫がなされています。

「1日1組の家族がワンちゃんに会いにきてくだされば、31日=1ヶ月間ずっとワンちゃんは寂しくないだろうという着想で、このシステムにしたんです。サポーターの方は、施設内の特別な部屋でワンちゃんとくつろいだり、ドッグランで一緒に楽しんだりできます。また、施設併設のカフェにも、家族連れの方やワンちゃん連れの方がたくさん来てくださっていて、私たちの活動を知っていただく良い機会になっています。『こういう活動は必要だよね』と声を掛けてくださる方、その場でサポーターになってくださる方もいらっしゃり、大きな手応えを感じると同時に、応援していただいている限りは最後までやり遂げなければという責任も感じているところです」

何にも縛られずに自由な活動を続ける

俳優と「SDGs」の活動、二足のわらじで活躍中の栗山さん。今後についても、特定のキャラクターや活動内容に縛られることなく、自由に動いていくビジョンを抱いているそうです。

「役者は役者だけやっておけ、という風潮もありますが、それは僕には向いていない。僕の演技はこれ、僕のキャラクターはこれ、と固定せず、いろいろなことに挑戦したいです。その中で、自分がはまるかはまらないかを見極めれば良いかなと。保護犬活動に関しては、関東圏でもできるよう拠点を増やしたいですし、他にも新たな取り組みとして“炊き出し”をしてみようと画策中です。百聞は一見に如かず、だと思うので、ぜひ一度施設を訪れていただいて現場の空気を肌で感じていただきたいですね」
 

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