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Challenge+(チャレンジプラス)

コラム

移り行く世の中で生きるビジネスパーソンへ贈る 新しい時代に自分軸を持つ思考のヒント

株式会社 ブレインスイッチ
代表取締役 壁山 恵美子

 
さまざまな物事が目まぐるしく移り変わり、多くの情報が発信されて錯綜している昨今。その中で何を基準にし、何をすればよいのか、取捨選択に悩まされるビジネスパーソンも多い。本連載では、大学院在学中から個人事業主として芸能界・出版業界など多様なフィールドで活躍し、30歳で転職した上場企業ではスピード出世を果たすなど、確固たるビジネスノウハウを蓄積してきた、経営戦略コンサルタント・ストレングスコーチの壁山恵美子氏が、これからの新しい時代に向けて、仕事・ライフスタイル・コミュニケーションにおいて自分の軸を持って考えるための“思考のヒント”を、自身の業務や日常生活での実体験に基づき伝えていく。
 

「3言語」同時学習へのチャレンジ

7月号を購読の皆様、ありがとうございます。また、このコーナーページを開いていただきありがとうございます。桜が咲いて急に暑くなったと思えば、雨続きの日々となり、新緑の爽やかな···ではなく、どんよりした曇り空の5月下旬にこの原稿を書いています。近年の日本の気候は春と秋を楽しむ期間が短く、まるで雨季と乾季の2シーズンしかない亜熱帯のようですね。

さて、早くも2022年が半年を過ぎていきますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。年初に何かを始めたい、新しいことにチャレンジしたいと思ったことはできていますか?私は今年もさまざまなことに挑戦しているのですが、その中でも本気を出して取り組んでいるのが、“語学の学習”と“オンラインビジネスの再構築”です。とはいえ“語学の学習”に関しては、これまで毎年1月や4月になると「○○語を学ぼう!」と意気込んではみるものの、仕事に忙殺されていることを言い訳にして、5月になってGWも過ぎた頃には「スタートしそびれた」とか「タイミングを逃した」という気分になり、「今年は無理だな、来年にしよう」と先延ばしにしてしまうということを繰り返してきました。そんな中、今年4月から私は「ビルマ語(ミャンマー語)」「中国語」「韓国語」の3つの言語を同時に学ぶチャレンジを始めたのです。

ビルマ語を学ぶ決意

ビルマ語は、日本ではあまり知られていないミャンマーの母国語。「なぜ、ビルマ語?!」と思われる方も多いでしょう。ミャンマーは「アウンサンスーチー氏の出身国」と説明すれば、ピンと来る人もいるかもしれませんね。実は、2016年からこのコロナ禍になるまでの5年ほど、私は年間の半分をミャンマーで過ごしていました。仕事で毎月15日間ほどミャンマーへ行き、日本に帰国している間は大使館でビザの申請などを行って、また翌月にはミャンマーへ、という日々。ミャンマーでは、ビジネスホテルの再建に携わっていたのですが、今は世界的なコロナ禍に加えて、ミャンマー国内のクーデターも重なり、残念ながら遠隔でスタッフと話すことくらいしかできないのが現状です。

さて、先述の通りビルマ語はミャンマーの母国語で、1989年にミャンマー政府が国名の対外英語呼称を「Burma」から「Myanmar」に変更しましたが、学術用語としての言語名は「ビルマ語」のままになっています(※1)。ビルマ語の文法は日本語と同じ順序なので、一見親しみやすいのですが、丸っこいお団子を積み重ねたような文字表記の読解がかなり難しく、簡単なあいさつ程度は音声で覚えて話すことはできても、仕事で使えるレベルに到達するのは容易ではありません。仕事ではビジネスホテルという業種柄、フロントのスタッフ数名は英語を話すことができたため、業務中や会議中には英語を使えば何とかなってしまうわけで、お恥ずかしながら5年もミャンマーに滞在していた私自身、まったく習得できない言語だったのです。

そこで、コロナ禍で出張がかなわない今、せめて自分も努力してスタッフのみんなと現地の言語で話せるようにしたいという思いから、ようやくスタートしました。

38年越しの再挑戦

2つ目の「中国語」について。これは思い返せば自分が12歳、中学生の頃にさかのぼります。当時は中学生から義務教育で英語学習が始まったのですが、なぜか英語ではなく中国語に興味を持った私は、当時のNHK教育テレビ「テレビ中国語」を早朝に見ていました。しかし、そこに父親がやってきて「英語もろくに勉強できていないのに中国語なんてやったところでものにならない」と頭ごなしに叱られてしまい···。父は昭和的に言えばいわゆる“頑固な暴力オヤジ”で、令和の今なら即DV認定というような家庭環境。父から怒り任せに八つ当たりされるくらいなら黙って逃げたほうがいいと思い、たった3日で断念してしまったんです。それ以来、ずっと学びたかった言語でした。仕事に忙殺されなかなか挑戦できずにいましたが、今年の4月から、38年越しにラジオ放送のアーカイブで聴講しています。

そして、3つ目の言語「韓国語」。12年前ほど前に、韓国語の個人レッスンに約2年間、毎週通っていたのですが、毎日使う言語というわけでもなく今ではすっかり忘れてしまったので、学び直しというか思い起こしを兼ねて、中国語と同じくラジオ放送のアーカイブで学んでいます。いざやり始めるといろいろ記憶も蘇って、自分でも覚えていることがもう一度、定着していくのでとても嬉しいのです。復習することの大切さをあらためて感じています。

言語学習を習慣化するコツ

このように、3ヶ国語もの学習を同時にスタートしてしまったわけですが、「毎日時間を決めてできる範囲で学ぶ=全部を覚えようとしない」というスタンスで取り組んでいます。開始から2ヶ月、自分でも驚くことに継続できており、今まで「今日は忙しいから明日にしよう!」とついサボったまま諦めていた自分は何だったのだろうと思うくらいです。3日坊主という言葉がありますが、逆に考えると3日続けられればその後は習慣になり、その時間になればやらざるを得ない状況を用意しさえすれば(私の場合は1日の仕事をすべて終えて眠る前の30分を言語学習の時間と決めています)、歯磨きや入浴、食事と同様に当たり前の行動として同じことを繰り返すだけになります。よほどのことがない限り、歯磨きをしないとかお風呂に入る時間をつくらないということはないわけで、習慣的な行動は一度決めてしまえば当たり前になっていくのですよね。

現時点では、今までできなかったことを習慣化するためのコツは、以下の3つに集約されると考えています。

① 決めたことを行動する時間を決める
(万が一決めた時間にできなかった場合は、翌日の時間調整を必ずする)

② 完璧にやろうと思わない
(できる範囲でよいと自分に言い聞かせないと楽しいことも辛くなる)

③ 何らかのアウトプットをしていく
(例えば語学学習なら、映画やドラマを観たりネイティブの方と食事をしたり、何でもよいのでその言語に触れる機会を持つ)

私のように、やろうと思っていてもなかなかスタートできなかった方の参考になれば幸いです。

(次号へ続く)

※1:参考文献『ニューエクスプレス ビルマ語(白水社)』
 

■プロフィール
壁山 恵美子(かべやま えみこ)
株式会社 ブレインスイッチ 代表取締役
YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー/ヤンゴン)
Chief Information Officer(CIO)
 
イベント・出版業界を経て、ソフトバンク(株)に入社。情報セキュリティおよびリスクマネジメントを専門分野とするグループマネジャーとして業務に従事。その後、J-SOX、IT統制、システム監査等の経験を経て独立。現在は、上場企業の経営企画部門およびPR・マーケティング戦略などのコンサルティングに携わる。また、中小企業の経営者向けコンサルティングや人材育成の研修カリキュラム開発なども展開。さらに、YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー / ヤンゴン)にてCIOとして人材育成をする傍ら、ミャンマー進出コンサルタントとしても活動。Gallup認定ストレングスコーチとして、組織のマネジャーなどにコーチングおよびコーチング型マネジメント手法を指導している。
 
※保有資格
・Gallup認定ストレングスコーチ
・Tony Buzan公認 マインドマップ・インストラクター
・Peter Walker氏 公認 ベビーマッサージ&ベビーヨガインストラクター
・高等学校教諭第Ⅱ種(公民)免許
 
URL https://brainswitch.jp/
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