• TOP
  • >
  • コラム
  • >
  • オフを充実させ、より良いビジネスライフを! 大人が楽しむアウトドア考

コラム

オフを充実させ、より良いビジネスライフを! 大人が楽しむアウトドア考

アウトドアのオリジナルグッズ開発を手がける、イナウトドア合同会社の森豊雪代表が、アウトドアの魅力をお伝えする連載コラム。今回のテーマは春に最適な有酸素運動の1つである「ハイキング」だ。ロングトレイルの本場アメリカで生まれた「ウルトラライト」という考え方など、装備に関することを中心に、ハイキングをより深く楽しむためのポイントを同氏が考察する。
 

◎広大な地を悠々と歩く

最近、必要最低限の道具だけを背負い、自然の中を長期間にわたって歩く「ウルトラライトハイキング」を行いたい衝動に駆られている。「ウルトラライト」(超軽量)という言葉は、アメリカのハイキングスタイルの1つとして生まれたという。アメリカと聞けば広大な大地が織りなす絶景が思い浮かぶが、日本にいるとその広さを具体的に想像することは難しい。私自身はまだ訪れたことはないのだが、アメリカには何千kmにも及ぶ長距離自然歩道がある。その中の1つが「アパラチアン・トレイル」だ。アメリカの東部をアパラチアン山脈に沿って南北に縦貫し、総距離3500㎞にも及ぶ。日本に置き換えるとその距離がどこからどこまでにあたるのか興味が湧き、地図ナビで検索してみたところ、北海道の稚内駅から鹿児島県の鹿児島駅までが2800kmほどであった。このように比較すると、「アパラチアン・トレイル」がいかに長い距離であるかおわかりいただけると思う。アメリカではこうしたロングトレイル踏破を目指して、年間2000人ほどのハイカーが挑戦する。しかし、その成功率は10%程度。踏破するといっても歩き通しというわけではなく、一年をかけて全行程を歩き抜くことが基準となっているようだ。それでも成功率わずか10%という数字は、挑戦者それぞれにさまざまな時間的制約があることを考慮しても、肉体的にもまたかなり困難であることを示している。先述したアパラチアン・トレイルはアメリカ3大トレイルの1つ。その他に、「コンチネンタル・ディバイド・トレイル」(4700km)と「パシフィック・クレスト・トレイル」(4200km)がある。そのような長い距離を歩き抜くためには、装備品を必要最小限にする必要があり、そこから「ウルトラライト」という発想が生まれたのだ。では、具体的にはどういった装備が必要なのだろうか。まずは、軽快に歩くためにはどの程度の重さまでが許容されるのかを調べてみる―すると、BASE Weight(消耗品などを除いた装備品の重さ)としては4、5kgが1つの目安とされていることがわかった。現在では軽量でコンパクトな道具も多く、お金さえ出せばそれなりに装備を軽くするのは難しいことではない。ただ、4、5kgにまで抑えなければならないとなると、また話は別だ。

軽量化するうえで特に留意したいのは、「サバイバルで必要とされる5つの要素」である。「酸素」「体温の維持」「水」「火」「食料」がそれにあたるが、中でも体温の維持はBASE Weightに大きく関わってくるものだ(一方、水や食料はBASE Weightに含まれない)。ロングトレイルは日帰りというわけにはいかないので、少なくとも寝泊まりを伴う。寝泊まりのために必要な荷物の中で、寝具類(テントやシュラフ)などはかなりの容量も重量もあるので、それらのチョイスは重要になってくる。ただし、軽量化だけに目が向くと、装備をそぎ落としすぎてしまい、自身の肉体を危険にさらすことになるので注意が必要だ。

サバイバル時に、前述した5つの要素に加えて私が肝要だと思っているのは、「1つの用途にしか使えないものは極力省く」ということである。多少の快適さを犠牲にしても、複数の用途がある道具を持つようにすれば、そのぶんだけ荷物を減らすことができるからだ。快適さを追求し、あれもこれも詰め込めば、当然装備は重くなる。実は先頃、次の軽登山に向けて荷物づくりをしていたのだが、思うように荷物を減らせなかった。そこで感じたのは、自分の気持ちの置き方を変えなければいけないということだ。登山もロングトレイルもあくまで野外で行うものであり、家にいる時のような快適性を追求しすぎないことを心がけたい。個人的に、ウルトラライトな装備は、あくまで自身がチャレンジをする際のためのものだと考えている。いつもウルトラライトな装備でハイキングをするのでは、ハイキングを楽しむどころか「苦行」になりかねない。要するに、その時々の目的に応じた装備にすることが必要なのだ。よく、歩くことは健康に良いと言われる。実際に私自身、年齢を重ねても足腰をしっかりしていたいと思う。そのためにも、過度に重い装備でアウトドアをするのはできるだけ避けたいので、今後もウルトラライトについてはいろいろと考えてみたい。

◎キャンプにおけるウルトラライト

ハイキングだけでなく、キャンプ時におけるウルトラライトについても考察してみよう。私に関していうと、キャンプの際にハイキングをすることはあまりない。また、移動に関しては車を使うことが多いので、日常生活でウルトラライトを意識するケースはほとんどないと言える。しかし時には、電車でキャンプ地まで移動したり、荷物の容量制限が必要になる無人島に行ったりする場合もあるので、その際にはウルトラライトの必要性を考えざるを得ない。そんな時のためにも、普段からウルトラライトな装備について考えておくことは有益であろう。

◎防災とウルトラライト

ここまでは主に、ハイキングやキャンプとウルトラライトの関係性について書いてきた。もう1つ、ウルトラライトについて考える必要性を感じる理由として、災害時の備えが挙げられる。アウトドアをする際に必要最低限の荷物をどうするかを考えることは、災害が発生した際に必要となる非常持ち出し袋の中身を取捨選択する時に大いに役立つと思うのだ。被災時には、非常持ち出し袋を子どもたちに持ってもらうケースもあるだろう。また、災害時に避難する際は、悪天候によって足もとなどがよい状態でないことも多々ある。そんな時に軽装備で移動できるかどうかは、大げさではなく生死を分けかねない。以上のような理由からも、いま一度、各家庭で防災に備えたウルトラライトな装備について一考してほしいと思う。

冒頭に話を戻せば、私は、ロングトレイルとはいかないまでも、「東海道五十三次」(約500㎞)を歩いてみようかと、現在、思案しているところだ。

▶イナウトドア(同)では親子向けスクールや焚き火体験なども行っております。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
 
https://www.inoutdoor.work/school
■プロフィール
森 豊雪

学業修了後はエネルギー関連の製造会社に入社し、30年以上にわたって勤務する。55歳を迎えて新しい道を模索。もともと趣味で活動していたアウトドア分野で起業することを決意し、イナウトドア(同)を立ち上げた。現在は、オリジナルアウトドアグッズの開発や、サバイバル教室などの展開、自然保護のボランティア活動に注力している。
 
※保有資格
・NCAJ 認定 キャンプインストラクター
・JBS 認定 ブッシュクラフトインストラクター
・日赤救急法救急員他
■企業情報
イナウトドア 合同会社
〒238-0114
神奈川県三浦市初声町和田3079-3
■URL
https://www.inoutdoor.work/
■Twitter
@moritoyo1

 
 

<< 第16回 冬の夜空で、星を眺める 第18回 暖かさにつられサイクリングに繰り出す>>


amazonからのご注文
2022年7月号
COMPANYTANK 2022年5月号

巻頭企画「天馬空を行く」には、現役時代に圧倒的な強さで「怪物」と称され、現在は日本競輪選手養成所の所長を務める瀧澤正光氏と、平昌オリンピック・男子モーグル銅メダリストで、競輪選手への転向を果たした原大智氏がご登場!他競技から競輪へ転向したという共通点を持つお二人に、競輪の醍醐味や選手にとって大切なこと、さらに競輪界の未来のことまで、対談形式で語り合っていただきました!どうぞお楽しみに!!

定期購読のご案内
 

interviewer's eye

カンパニータンクのインタビュアとして活躍されている各界の著名人たちに本誌編集局が逆インタビュー。

宮地 真緒 矢部 美穂 水野 裕子 名高達男 鶴久 政治 時東ぁみ 駒田 徳広 杉田 かおる 畑山隆則