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コラム

毎日のマネジメントで使える! コーチング&コミュニケーション

ストレングスコーチ・経営戦略コンサルタントの壁山恵美子氏は、大学院在学中から個人事業主となり、芸能界・出版業界など多くの業種を経験。30歳で転職した上場企業ではスピード出世を果たすなど、さまざまなビジネスノウハウを蓄積してきました。本連載ではそんな壁山氏が「マネジメントのヒント」や「強みを活かすストレングス・マネージメント」についてお伝えします。第13回目は番外編として、『ウィズコロナと言われる昨今の人間関係の距離感』をお届けします。
 

緊急事態宣言解除でも“元通り”
にはならない社会・環境・生活

私は常々、「時間は誰にでも平等である唯一の存在」だと思っていますが、1年が経過するのは本当に早いですね。特に2021年は半年以上の期間が緊急事態宣言の中で過ぎゆき、以前は夜遅くまで開いていた家電量販店や近所のスーパーさえ20時で閉店。それより遅い時間に街中を歩いていると、何だか悪いことをしている気さえしてしまう感覚の毎日でした。私自身もこの2年間は、ほぼ毎日20時には自宅で過ごしていたと思います。

さて、緊急事態宣言が解除されて以降、皆様はどのような毎日をお過ごしでしょうか。私は2021年のラスト3ヶ月は急に遠隔地への出張が必要となる業務が増え、移動を繰り返す数週間が続いていました。日帰り出張で始発電車に乗ると、緊急事態宣言中は誰も乗っていない印象でしたが、最近は普通に人を見かけます。新幹線も、「自由席も指定席もほぼ満席」という状況が増えつつあり、各地で乗車したローカル線も通勤時間帯は相当な混雑。そんな中で過ごしていると、コロナ禍前の日々に戻ったような錯覚を覚えますが、夕方に通りがかりでカフェをのぞくと、PCを持ちこんで仕事をしている人の姿はなく、レストランや居酒屋さんも営業中ではあるものの、お客さんは数人程度で、やはりそう簡単に元通り、とはいかないようです。

人はいったん習慣として身についたことは、なかなか変えるのが難しくなると言います。「20時にはお店が閉まるから早めに帰宅しよう」という習慣が多くの人の中に定着したことで、飲食店の営業時間が伸びても、外食や飲み会をしよう、とはなかなかならないのかもしれません。

ニュースや情報番組などでも「完全にコロナ前の状態に戻ることはない」と言われています。やはり、「新しい生活様式」だけでなく「新しい生活習慣」「新しい社会環境」「新しい仕事のあり方」などを模索する時期にきているのだと思います。環境が変わると思考が変わる、思考が変わると行動が変わる―コロナ禍の有無に関わらず、新しい時代に向けて思考を変えるべきことは多々ありますが、ある種の猶予期間のようなこの2年間で、今の社会状況や生活環境の変化を受け入れていく土壌ができたのではないでしょうか。

風の時代に向けての新しい考え方

2020年12月22日に「グレート・コンジャンクション」が起こり、新たな時代が始まったと言われています。当時はスピリチュアル分野に詳しい方だけでなく、多くの人が「風の時代」という言葉を使ってそれを表現していましたね。“拡大”を表す木星と“制限”を表す土星が、“集合意識”や“情報”を表す水瓶座でコンジャンクション(複数の星が同じ位置で重なる)を起こすという、約20年に一度の珍しい現象が起こったのが2020年末。「風の時代」とは、約200年〜240年ごとにグレートコンジャンクションが起きる星座が属するエレメントの話に由来します。

西洋占星術でいわれるエレメント=元素は「火」・「土」・「風」・「水」の4種類。12星座をその4つに分類して、どの星座がどのエレメントに属するかを指しています。今後、グレートコンジャンクションは「風」の星座である双子座・天秤座・水瓶座で発生すると予測されていることから、「風の時代」と言われているのです。ちなみに、農耕や武力が支配的だった「火の時代」を越え、産業革命を経て物質的な「モノ」が価値を持ち、目に見える資産を形成することや、大量生産・大量消費を重んじる資本主義社会が訪れたのが「土の時代」でした。

そして、これからの「風の時代」では、情報や知識など形のないものが重視され、“持つ”よりも“知る”ことに価値が見出されるため、今後は想像力や思考力を駆使しながら、風のごとく、それを誰かへ伝達していくこと、考え方や行動に柔軟性を持たせることが必要になると言われています。がむしゃらに頑張る価値観の「土の時代」から、自由で多様性のある「風の時代」へ変化することで、お金や物質よりも、知識・教育・伝達・つながりへ価値がシフトし、人間関係も同様に固定観念に縛られない方向へ進んでいくと私は思っています。そのため、「コミュニティ」というものも1つのキーワードになってまだまだ発展していくことでしょう。

リモートワークの定着で変化した
人間関係の距離感

2020年、2021年と誰も経験したことのないCOVID-19パンデミックにより、私たちは日常生活の大きな変化を余儀なくされました。マスクで顔を覆い、毎日検温と消毒の日々。どこに行くにもアクリル板越しに対話をし、なるべく人と会う時間を短くする。「新しい生活様式」という言葉すら、もはや古びて感じられますが、そのような毎日も連続的かつ継続的に行われることで、人々は習慣性によってその環境や状況に順応していきました。

また、この2年間で「Zoom」をはじめとしてリモート会議システムの利用が当たり前となることで、人間関係の距離感に変化が起きている気がしています。距離感というか、人間関係のあり方で警戒心のボーダーというか、人との関係性に変化が起きていると感じるのです。

例えば、インターネットやSNSで知り合った人と会う「オフ会」。複数人数で集まる機会なら警戒心を持たないかもしれませんが、それが1対1で個別に会うということになれば、「信頼できる人だろうか」「何かに巻き込まれたりしないだろうか」と一気に警戒心が高まる人も少なくないはずです。私自身、基本的にSNSでつながる人(お友達になる人)は、リアルでお会いしたことがある人に絞るほど、リスクヘッジをしながら利用していました。

しかし先日、出張のついでに足を伸ばして、Zoomミーティングでしか顔を合わせたことがなかった方と、リアルでお会いすることがありました。その方は、以前にこのコラムでも触れた映像制作をする“大人のサークル”でご一緒した友達、つまり「コミュニティ」でのお知り合いです。それ以外にはSNS上でのつながりはなく、素性も家族構成も職業も知らない者同士ですから、警戒心の強い方から見たら「危険な行動」に思えるでしょうね。しかし、実際には待ち合わせた駅でその方とお会いするや否や、腕タッチであいさつしてそのまま普通に並んで歩き出し、一緒にタクシーに乗り込むという流れ。帰宅してから思い返すと、対会社の仕事などでメールのやりとりをしている方と初めてお会いするというわけでもないのに、こうした行動を自然と取っていたのは、今までの自分ではあり得なかっただろうと気付きました。また今回のことで、Zoomなどで長期間、顔を合わせている方は、初めてお会いする場合でも「はじめまして感」があまりないということもわかりました。

今までは、リアルで直接会ってコミュニケーションを取る中で心理的な不安が解消され、人間関係が徐々に構築されていくという概念があったのですが、その概念がガラッ変わってしまったという感覚です。

このように、リアルでの対面コミュニケーションに限らず、リモートでも人間関係の距離感を縮められるようになりつつあることを今回お伝えしました。ただ、私の経験は、たまたまZoomで良好な人間関係が構築されており、お互いをリスペクトしていたからこそ、お会いすることでさらに距離感を縮め、関係性を深められたという部分もあると思います。SNSや昨今増えているさまざまなアプリケーションを経由して、インターネットで知り合っただけの方とリアルでお会いする際には、皆さん十分に気を付けてくださいね。

それでは、また次回、昨今の気付きなどを皆様へ共有していきたいと思います。


 
 
 

■プロフィール
壁山 恵美子(かべやま えみこ)
株式会社 ブレインスイッチ 代表取締役
YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー/ヤンゴン)
Chief Information Officer(CIO)
 
イベント・出版業界を経て、ソフトバンク(株)に入社。情報セキュリティおよびリスクマネジメントを専門分野とするグループマネジャーとして業務に従事。その後、J-SOX、IT統制、システム監査等の経験を経て独立。現在は、上場企業の経営企画部門およびPR・マーケティング戦略などのコンサルティングに携わる。また、中小企業の経営者向けコンサルティングや人材育成の研修カリキュラム開発なども展開。さらに、YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー / ヤンゴン)にてCIOとして人材育成をする傍ら、ミャンマー進出コンサルタントとしても活動。Gallup認定ストレングスコーチとして、組織のマネジャーなどにコーチングおよびコーチング型マネジメント手法を指導している。
 
※保有資格
・Gallup認定ストレングスコーチ
・Tony Buzan公認 マインドマップ・インストラクター
・Peter Walker氏 公認 ベビーマッサージ&ベビーヨガインストラクター
・高等学校教諭第Ⅱ種(公民)免許
 
URL https://brainswitch.jp/
個人Webサイト https://kabeyama.jp/
Facebook https://www.facebook.com/kabeyama/
Instagram @kabeyama
Twitter @Kabeyama_Emiko
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