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海外ビジネスの指南役! 小田切社長の連載コラム

「海外展開を進めていくうえで、特に現地の人の気質やものの考え方が知りたい」。そんな声にお応えして、海外ビジネスの経験を豊富に持つ(株)サザンクロスの小田切社長が、世界各国の国民性を解説!より良い人間関係を構築することは、ビジネスの大きな成果へとつながるはずです。第7回は、前回に引き続きアメリカ人についてお話しします。

はじめに

皆様、こんにちは。(株)サザンクロスの小田切武弘です。本誌の2020年9月号から、海外でビジネスを進める際の現地ローカルスタッフへの接し方や、仕事の依頼の仕方、スムーズなコミュニケーションの取り方などにフォーカスしたコラムを連載しております。今回は、前号に続きアメリカにおいて、アメリカで(アメリカ人と)ビジネスを行うポイントについての後半のお話を進めていきます。前号の7月号では、アメリカ人気質を最大公約数的な気質ポイントとして、5つ挙げてみました。今回はその一つひとつについて、深く考察し実際のビジネス現場における応対の仕方や対応方法についても述べてみます。

① 本音と建前を分けている

アメリカ人(アメリカのビジネスマン)は、特に社内の会議や上司との面談の場合、本音と建て前をしっかりと分けて話すことが多いです。日本人ビジネスマンはどうしても英語でのコミュニケーション能力が不足しがちで、それが障壁となってなかなか彼らの本心に迫れないというケースをよく見ます。業界や職種、会社ごとに差はあれど、スムーズにビジネスを進めるには英語力の向上が必須となるでしょう。

また、多くのアメリカ人は根底的、あるいは無意識的に「白人至上主義」の思想を持っています。そのため、身体的に小柄で英語力も低い日本人は、たとえ在米日系企業で上司側の立場であろうと不当な対応・態度を取られてしまうこともあると聞きます。そうならないためには、彼らにリスペクトをしてもらうことが重要です。将棋でも野球でもそろばんでも、何か1つ、他人より秀でた特技を示すことができれば、アメリカ人の人を見る目は大きく変わります。彼らは素晴らしいものは純粋に理解してくれるからです。
さらに大切なのは、ビジネスでもそれ以外でも常に胸襟を開いて、明るくアメリカ人と会話をし、特にビジネスの場合には自分の意見や考え方を明確にしながらロジカルにコミュニケーションを取ることです。

② 超短期的な視点で判断をする

アメリカ人は、ビジネスにおいてほとんどの場合、近視眼的に物事を決めていく傾向があります。上司であろうが部下であろうが、立場は関係なく日本人のことを(心の中で)評価します。また、日々のコミュニケーションにおいて己のスタンスは基本的に変えず、会話の際もしっかりと自分の信念や、仕事の目標、目的、発生する実務を共有しながら進めていくことを好みます。ゆえに、極端に言えばその場その場でしっかりと結果を出し続けることが、好評価を維持する秘訣になるのです。また、そのための準備はすべて人目に触れぬところで1人で済ませておく必要があります。そのように聞くと、相当な自己努力が求められると感じるかと思いますが、その積み重ねをしていくことがアメリカ社会でビジネスを行ううえでは最も重要なことであると筆者は身をもって体験しています。

③ 自己の見せ方、アピールが抜群に上手

現職のバイデン大統領も、トランプ前大統領、オバマ元大統領、遠くさかのぼればレーガン元大統領も皆、聴衆を前にしたスピーチやプレゼンテーションは非常に上手ですよね。日本の歴代首相と比べても、弁舌の滑らかさは際立っています。これは前号でもお話しした通り、ハイスクール時代からプレゼンテーションの場が設けられ、自分の思想・意見を発表する機会が多いアメリカの文化的な背景に由来するものです。 そのようなアメリカ人と対峙するには、日本人も同様に自己表現や自己アピールを臆することなくしていかねばなりません。論理的かつ簡潔に、誠実な気持ちで話をすれば、多くのアメリカ人は理解を示してくれるはずです。情緒や義理人情に重きを置く浪花節的な話し方を控え、言い訳を少なくしていくことが、彼らとうまくコミュニケーションを取っていく秘訣になります。

④ 世界地理に比較的無関心

アメリカ人のビジネスマンは、世界地図を見て他国がどこにあるかということをあまり把握できていません。隣国のカナダやメキシコはともかく、中南米、ヨーロッパ、ましてや日本を含む東アジア、東南アジア諸国の位置関係には、ほとんど興味を抱いていないのです。やはり、これらも先述の白人至上主義、さらにはアメリカ中心主義が学校教育に根付いているからなのでしょう。スポーツを見ても、アメリカで発祥したベースボールやアメリカンフットボールは攻撃側と守備側で明確に動きが分かれるルールであり、一方的(一方通行)です。サッカーやラグビーのように攻撃をしながら守備を、守備をしながら攻撃を行う双方向性は見られません。

しかし、私たち日本人にとって大切なのは、彼らに「もっと地理を勉強してください」と言うことではなく、彼らの教育や文化的背景を理解したうえで、上手に付き合う道を模索していくことです。自分たちを絶対的中心に据える一方的な対話から、互いに相対的な視点を持って双方向的な対話へ切り替えてもらえるよう、コミュニケーションを重ねていきましょう。

⑤ 表層的な部分で評価しがち

アメリカ人は人種も肌の色も、両親や祖父母のルーツも多種多様です。当然、貧富も教育的なバックボーンも人それぞれで異なります。そのような環境だからこそ、ビジネスでもプライベートでも、端的に言えばお金を持っているかどうかが初対面の人間の信用度に直結するのです。すなわち、その人が頭の先から足先までどのような服をまとい、どのような腕時計や文具を身に付けているかどうか。それに加え、ここ10年の間に健康状態―体が太り過ぎていないか、顔や爪に清潔感はあるか、食事に気を遣っているかまでチェックされるようになってきました。ニューヨークのマンハッタンやサンフランシスコ金融街、ロサンゼルスのビバリーヒルズといった主要なビジネス街では、毎朝早く起床してトレーニングジムで体をシェイプアップし、自宅に戻りオーガニック中心のヘルシーな食事で糖分やカロリーの管理を行いながら出社する、と言った生活スタイルのビジネスマンも多いそうです。もちろん全員がそうではないでしょうが、ストイックな価値基準があることを知り、日本人も2日連続で同じシャツやネクタイをしていないかなど、身だしなみに気を付けておけば損をすることはないと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。アメリカ人の気質や考え方、アメリカ人ビジネスマンの一端でも感じ取ってもらえれば嬉しく存じます。「アメリカ人はおおらかで、明るくて気軽にコミュニケーションが取れる」「あまり細かいことを気にしないから会社でも楽にお付き合いできる」と先入観を抱きがちですが、実際にはそうでないことがほとんどです。アメリカ人は定時になると我先に帰る、という話も、そこから自分自身のためや家族のためにかける時間を合理的に生み出しているのです。その辺りの考え方は、日本人とは大きく違うと感じます。

さて、次回は海外ビジネスを行ううえで、日本からの駐在員が最も多い国の1つである中国人の気質と中国でビジネスを行ううえでのポイントについてお話を進めてまいります。どうぞお楽しみに。

■プロフィール
株式会社 サザンクロス 代表取締役社長
小田切 武弘

海外志向が強く、学生時代に海外留学を経験。学業修了後は、大手電気機器メーカーや飲料・食品メーカー、総合商社など数社にわたって、米国、インド、韓国、東南アジアといった諸外国に駐在。その中で、海外でのビジネスに苦戦する日本企業の存在を知り、自らのノウハウを提供したいという思いが芽生える。2017年7月7日、企業の海外展開をサポートする(株)サザンクロスを設立した。
 
http://sc-southerncross.jp/

 
 

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