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コラム

毎日のマネジメントで使える! コーチング&コミュニケーション

株式会社 ブレインスイッチ
代表取締役 壁山 恵美子

 
ストレングスコーチ・経営戦略コンサルタントの壁山恵美子氏は、大学院在学中から個人事業主となり、芸能界・出版業界など多くの業種を経験。30歳で転職した上場企業ではスピード出世を果たすなど、さまざまなビジネスノウハウを蓄積してきました。本連載ではそんな壁山氏が「マネジメントのヒント」や「強みを活かすストレングス・マネージメント」についてお伝えします。第11回目のテーマは『あなたの行動を支えているのは「回復志向」かもしれません』になります。
 

コミュニケーションは必ずしも
リアルで会うことが正解ではない

2020年と比較して、リモートワークがかなり定着してきていると思います。私自身、打ち合わせの7割〜8割はリモート開催で、連日パソコンの向こうの相手と会話する日々が続いております。便利になった思う反面、やはり、対面での会議のほうが素早い判断やお客様の感情の読み取りがしやすいと未だに感じます。

しかし先日、私が担当した企業研修にて、リモート環境でのコミュニケーション効果に関して、とても興味深いお話をうかがうことができました。そこはシステム開発と保守サポートを主事業とする企業様で、以前は会社に出社している社員も、ほぼ全員が終日パソコンに向かって黙々と作業し、お互いに話をすることがない職場環境だったそうです。ところが2020年の緊急事態宣言以降、社内でリモートワーク化が進み、社員の8割が在宅で勤務することに。毎日の朝礼・終礼、部門ミーティングなどもWeb会議ツールを使って行うことになり、勤怠確認も兼ねてミーティング中はカメラのオンを義務化して顔を合わせる機会を増やしたそうです。すると、「対面では苦手意識を抱いていたコミュニケーションも、画面越しだとスムーズに行える」と言うエンジニアが多く、それによって業務もさらに効率化したのだとか。画面を1枚挟むことでコミュニケーションがしやすくなるというのは、リモートワークの思わぬメリットかもしれないと驚かされました。リアルでのコミュニケーションが必ずしも正解とは限らないということを考える良い機会になったので、共有させていただきました。

「回復志向」という資質

では、今回のテーマの本題に入ります。クリフトンストレングス34の資質の中に、「回復志向」というものがあります。「回復志向」は34の資質の4つの分野「実行力」 「影響力」「人間関係構築力」 「戦略的思考力」 の分類のうち、「実行力」の分野の資質です。「実行力」は物事を成し遂げるのに役立つ資質になります。

Gallup社クリフトンストレングスの資質「回復志向™」の定義によると、「回復志向の資質が高い人は、問題を解決するのが大好きです。どこに問題があるのかを探りあて、それを解決することに長けています」とあります。何か問題が発生した時や、新たな困難に遭遇した時など、どうしてよいのかわからずうろたえてしまう人もいますが、「回復志向」が上位資質にある人は、そうした状況を力に変えることができるのです。発生している状況を分析し、何が悪いのかを突き止め、解決策を見つけ出す挑戦を楽しめる資質とも言えるでしょう。

また、目標に到達すると一旦は満足しますが、次に同じような問題や困難が生じた時には、より良く、徹底的かつ完璧に遂行できる方法を模索する傾向にあります。無意識のうちに物事の不具合を見つけ出し、良い方向へ変えようと尽力したり、改善すべきことに関して自他問わず検討したり、そうした行動を本能的に取るのです。

上位資質によって考える
パターンが異なる

私にとって「回復志向」は第4位の資質であり、日常生活で何かを検討する際にも、もちろん仕事でも当たり前に活かしています。「この事象が発生したら、こう考えて改善しよう」という思考を無意識に行っていてまったく気がつかなかったのですが、あるクライアントさんに「それは回復志向ですね」と指摘され、自分の話す内容や、行動を再認識するようになりました。

先日、「回復志向1位の人に、ビジョン思考がまったくピンとこないと言われ、回復志向の資質と関係があるのか尋ねられたのですが、回復志向が上位である壁山さんはどう考えられますか?」という質問を受けました。ビジョン思考とは、妄想を駆動力にして創造し、知覚(感覚)を組み替えて行動に表出していく思考のパターンで、何かを「やりたい」というピュアな気持ち=妄想がスタート地点となっています。これはクリフトンストレングスでいうと空想(妄想)にふけることが得意な「未来志向」に分類されるでしょう。一方、「回復志向」は妄想よりも「問題」(ある意味「現実」と言い換えたほうが良いかもしれません)にフォーカスし、注力しますので、現実の問題、発生しているよくない事象の原因へ志向していきます。そのため、現実に発生している問題には敏感なものの、ビジョン思考の妄想のように「こうあったら良い」と現実にまだ起こっていないことをイメージするのは難しいのです。もちろん、これは仕事において「回復志向」と「未来志向」のどちらの資質が優位かという話ではありません。「回復志向」が上位の人は、問題への対処能力や提案力、解決能力は抜群に長けているが、構想や企画などイメージを膨らませるのは苦手な傾向にあるのです。

私は回復志向が上位であっても「ビジョン思考」や「未来志向」、さらに「原点思考」を理解できますが、自然にその考え方が使えるかというと、普段の仕事や日常生活では難しいところです。

強みは自然と行動に表れる

「回復志向」は問題解決によって報酬が支払われる仕事、または物事の復元や解決によって成功の度合いが計られる仕事が向いていて、特に、コンサルティング、コンピュータプログラミング、カスタマーサービスなどの仕事が適していると言われています。私はこれまでさまざまな仕事に携わってきましたが、現在はコンサルティングをメインに営んでいます。主軸となる業務も、コンピュータのサポートや、ITツール・Webサービスの指導、また、法人コンサルではカスタマーサポートセンターの改善コンサルティングやビジネスホテルの再構築業務を請け負うなど、上位資質をそのまま使える仕事に就いています。

また、個人向けコンサルティング業務では、動画編集、IT基礎、Webマーケティングなどを教える立場ですが、クライアント様ができなかったことができるようになったり、疑問が解決できたりすることが私としてもすごく嬉しいのです。

思い返すと、私は小学生の頃から、こたつのスイッチの「切・入」が反応しなくなった時に裏のねじを回して中を開け、導線を切って接続を直すようなことをしていました。上位資質は、すでに発揮されていたわけです。私の場合は、それに気が付かず遠回りをしてしまったかもしれません。

持っている「強み」は自然に行動に表れるので、上位資質を知って、本来の自分で行動できるといろいろなことがスムーズに回り出すと思います。

最後に、「回復志向」の資質を活かすためのアイデアとして、「回復志向」が上位資質の方は、休息をとるということを忘れずに!「回復志向」の資質が高いと、自分に厳しくなりすぎることがあるので自らの回復、改善のために小休止をすることを大切にするとよいのです。

次回も普段の業務で活用するために、ストレングスを使ってどういった資質の活かし方ができるのかをお話ししていきたいと思います。

【参考】
GALLUP クリフトンストレングス日本語サイト
URL https://www.gallup.com/cliftonstrengths/ja

ご興味のある方は、弊社お問合わせサイトからご連絡ください。

 
 
 

■プロフィール
壁山 恵美子(かべやま えみこ)
株式会社 ブレインスイッチ 代表取締役
YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー/ヤンゴン)
Chief Information Officer(CIO)
 
イベント・出版業界を経て、ソフトバンク(株)に入社。情報セキュリティおよびリスクマネジメントを専門分野とするグループマネジャーとして業務に従事。その後、J-SOX、IT統制、システム監査等の経験を経て独立。現在は、上場企業の経営企画部門およびPR・マーケティング戦略などのコンサルティングに携わる。また、中小企業の経営者向けコンサルティングや人材育成の研修カリキュラム開発なども展開。さらに、YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー / ヤンゴン)にてCIOとして人材育成をする傍ら、ミャンマー進出コンサルタントとしても活動。Gallup認定ストレングスコーチとして、組織のマネジャーなどにコーチングおよびコーチング型マネジメント手法を指導している。
 
※保有資格
・Gallup認定ストレングスコーチ
・Tony Buzan公認 マインドマップ・インストラクター
・Peter Walker氏 公認 ベビーマッサージ&ベビーヨガインストラクター
・高等学校教諭第Ⅱ種(公民)免許
 
URL https://brainswitch.jp/
個人Webサイト https://kabeyama.jp/
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Twitter @Kabeyama_Emiko
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