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コラム

海外ビジネスの指南役! 小田切社長の連載コラム.6

「海外展開を進めていくうえで、特に現地の人の気質やものの考え方が知りたい」。そんな声にお応えして、海外ビジネスの経験を豊富に持つ(株)サザンクロスの小田切社長が、世界各国の国民性を解説!より良い人間関係を構築することは、ビジネスの大きな成果へとつながるはずです。第6回は、アメリカ人についてお話しします。

はじめに

皆様、こんにちは。(株)サザンクロスの小田切武弘です。本誌の2020年9月号から、海外でビジネスを進める際の現地ローカルスタッフへの接し方や、仕事の依頼の仕方、スムーズなコミュニケーションの取り方などにフォーカスしたコラムを連載しております。
さて今回からは、日本企業の海外進出先として最重要国の1つでもあるアメリカでビジネスを行う際のポイントについて、2号にわたってお話を進めていきます。

外務省ホームページ「海外在留邦人数調査統計」2018年要約版によれば、2017年10月1日現在、アメリカに進出している日系企業の拠点数は8606。この数は製造拠点の展開先として人気である中国の32349拠点に次ぐ2位の数字です。中国と同様に、現地に製造拠点を展開している企業はもちろんのこと、アメリカ国内で自社商品を販売したり、世界のビジネスの中心地でもあるアメリカでさまざまなビジネストレンドをキャッチしつつ分析し、国内本社へ重要な情報を発信したりと、重要な役割を持った拠点を展開している企業も数多くあることでしょう。
特に、自動車産業や家電、IT関連の新規開発などの分野では、アメリカの景気や経済状況の変化に、国内本社の経営が大きく左右されるケースが見受けられます。

私が学生時代をアメリカ過ごした40年前、会社員として駐在した30年前と比べると、今では海外留学をされた方やネイティブレベルで英語が堪能な日本人が増え、アメリカにある法人や駐在拠点で活躍されています。しかし、どれだけ英語力が優れていても、私が生活していた当時から心の中で同じように違和感を覚えていた「アメリカ人(アメリカのビジネスマン)気質」がなかなか理解できず、そのせいでコミュニケーションに支障をきたし「どのようにビジネスを進めて行けばいいかわからない」と、私のところへ相談に来られる方が後を絶ちません。それはどうしてなのでしょうか。

アメリカは51州から構成されている合衆国で、日本の県と比べるとそれぞれの州が別の国だと言っても良いほど独自色を持っています。加えて「人種のサラダボウル」と言われるように、世界中からさまざまな人々が集まっていることはもちろん、国内でも生まれてからの環境や学歴、業種や職種、ポジションによって考え方は千差万別なので、ひとくくりでアメリカ人(ビジネスマン)気質をくくるのは難しいでしょう。それでも、私の短くはないアメリカ人とのお付き合いの中から、いくつかの最大公約数的な気質を以下にピックアップしてみましたので、順に見ていきましょう。

① 本音と建前を分けている

多くの日本人は、アメリカ人は明るくフレンドリーで、何でもストレートに話すという印象を抱いています。そのため彼らの気持ちも良く理解できる、と感じていることでしょう。私も確かにそう思いますし、実際にそのようなアメリカ人の方と多く接してきました。しかしストレートに話しているように見せながら、本音と建前をちゃんと分けて話をしている場合がほとんどであると気付く方はさほどいません。それが、コミュニケーションのズレにつながることがあるのです。(本音と建前を分けて話すことの良し悪しを述べようとしているわけではありません)

② 超短期的な視点で判断をする

アメリカ人は、ビジネスにおいて例えば社員の評価にしても、日本人のようにある程度長期的な視野で評価をするというよりは、かなり短い(あるいは少ない)機会でYES / NOの判断をします。例えば野球のメジャーリーグでは、日本から挑戦した選手がピッチャーでもバッターでも、首脳陣はほんの数試合を通して出た結果をもとに、メジャーに残すかマイナー行きにするかを決定します。この点は日本のプロ野球とは違い、はっきりしています。

③ 自己の見せ方、アピールが抜群に上手

アメリカではハイスクール時代から何かを発表する、自分の意見を言う、プレゼンテーションを行うといった機会が頻繁に設けられており、日本人とは比較にならないほど自己表現力やアピール力が磨かれています。裏を返せば、それだけアメリカのビジネス社会で自分の居場所を確保し続けるのは難しいということでもありますね。幼少期からそのための訓練をするわけです。

④ 世界地理に比較的無関心

日本人の場合には、例えばアメリカの地図を描いたり、首都や代表的な都市を大体わかっていますが、多くのアメリカ人は例えば日本がどこにあって、アジア諸国のそれぞれの首都の名前を言い当てることが不得手です。これは自身の国が世界の中心であるという深層心理が関係しており、他国の地理に関しては日本人よりも詳しくないのでしょう。そういう意味では国際的ではないと言って良いかもしれません。

⑤ 表層的な部分で評価しがち

アメリカ人は、例えば英語が堪能であるかどうかや、着ている服装がおしゃれか、身に付けているものが高価か、さらには体格の立派さなど表層的な部分で、その人に対する大部分の評価を固めてしまうケースが多いです。
では、仕事はバリバリできるのに英語が得意でない日本人ビジネスマンはどのように仕事をしていけば良いのでしょう?

まとめ

他にもいくつかありますが、今回は主要な点を5つほどピックアップしました。いかがでしたでしょうか。日本人ビジネスマンとは、やはり大きく異なる部分があると思います。では、アメリカ人とはどのように対峙するのが良いのでしょうか。次号ではアメリカ人と円滑にコミニュケーションを取りつつビジネスを進めていく方法についてお伝えしてまいります。どうぞお楽しみに。

(次号へ続く)

■プロフィール
株式会社 サザンクロス 代表取締役社長
小田切 武弘

海外志向が強く、学生時代に海外留学を経験。学業修了後は、大手電気機器メーカーや飲料・食品メーカー、総合商社など数社にわたって、米国、インド、韓国、東南アジアといった諸外国に駐在。その中で、海外でのビジネスに苦戦する日本企業の存在を知り、自らのノウハウを提供したいという思いが芽生える。2017年7月7日、企業の海外展開をサポートする(株)サザンクロスを設立した。
 
http://sc-southerncross.jp/

 
 

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