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コラム

今月の「元気になる」コラム 第4回

コロナ禍は、人々から様々なものを奪っていったが、それによって得られたものもある。長い自粛期間で自分を見つめ直し、新たな指針を探し当てた人もいるだろう。目指すべき道が見つかったら、その次は「アクション」だとポジティブ・エナジャイザーの髙島真太郎氏は言う。芽生えた成長への欲求をそのままにせず、まずは一歩を踏み出すこと。そして、その萌芽を幹へと育てていくことが重要だと語る。
 
前回、我々は「お金の出口」について考えさせられた。得られたお金を、どのような目的で使うかは人それぞれだが、新たなスキルを得るために、あるいは教養や人徳を高めるために投資をすることが最も価値のある「出口」ではないか、と。

 コロナ禍で私たちには、ひとりで過ごす時間が増えました。特に若い世代は、学校が休校になったり、アルバイト先が休業になったりして、時間を持てあましたという人も多いのではないでしょうか。しかし、この期間に自分と向き合うことで「気付き」を得た人も少なくありません。自己投資を始めよう、新たなスキルを身につけようと考えた人も多いと思います。そうした思考が生まれたら、次のステップは「アクション」です。せっかく芽生えた成長への欲求をそのままにせず、育てていくことです。
 ここで大事なのは、「あれこれやらない」ということ。前回、自己投資はしたいが何をしたらよいかわからないという人には、自分の興味のあることから始めよう、と話しました。例えば、スマートフォンのアプリに興味があるなら作成方法を学んでもいいし、楽器演奏に興味があるなら始めてみればいい。だけど、複数のことに同時に手を出すのではなくて、まずは一つのことに集中するほうがうまくいきます。「一点集中」ですね。

興味の対象が複数あっても、まずは一つに的を絞ることが重要だと。使い古された言葉だが「二兎追うものは一兎をも得ず」と言う。

 例えば、何かの資格を得ようと決めたら、当然、そのための勉強をします。そして見事努力が実って資格が得られたとしましょう。その次にすべきことは、別の資格を取得することではありません。得た資格を活かして何ができるかを考えることです。時々、資格コレクターのような人がいますね(笑)。それはそれですごいことだけど、自分の人生に影響しない資格を何種類も持っていたって、私は意味がないと思います。そもそも、資格証そのものには何の実用性もありません。資格取得のために得たスキルや知識を役立ててこその資格なんです。

スキルを活かすために資格を取る、という出口から考えると、入口──つまり資格選びの段階から、出口を意識して選ぶ必要がありそうだ。

自己投資によって新たに得た知識は、まだ発芽したばかりの植物のようなもの。次にすべきことは枝葉を広げることではなく、まずは幹をしっかりと育てることです。どうすれば幹は育つのか? 一点集中で、継続・反復することです。継続することは難しいけれど、本当に好きなことなら続けられるでしょう。

ではもし、一点集中を続けられなかったとしたら、それは「自分にとって好きではなかったこと」なのだろうか。

 目標に向かって努力を続けられないのは、好きではないことだから──確かにそう言えるかもしれません。好きだったら苦しくても続けられる。苦しくても頑張れる。ずば抜けたスポーツセンスを持っている子どもにサッカーを教えても、その子が「本当は野球がしたい」と思っているのであれば、決して上達しません。そう考えれば、仕事であれ、趣味であれ、継続できなかったのは、自分の好きなことではなかったからだ、と考えて、別の道に進むのもアリだと思います。
 ただし、頑張らないといけないところで手を抜き、「自分には向いていなかった」と諦めてしまうことは間違いです。うまくいかない人の多くは、頑張らないといけないところで頑張らず、頑張らなくてよいところで頑張っている。頑張るべきところとそうでないところの見極めができていないんです。

人間は、四六時中頑張っていられるほど強くない。だからこそ、頑張るべきところを見極め、その一点に集中する。そうすることで、良い結果が得られる。

 ゴルフという競技は、スコアで争うものではありますが、本当に闘う相手は自分自身です。私も経験がありますが、ボールを遠くに飛ばそう飛ばそうと思うと、変なところに力が入ってしまってかえってうまくいかない。うまくいかないと、焦りが出たり、イライラしたりして余計にうまくいかなくなります。ところが、一点集中すれば、力を入れずに遠くに飛ばすことができます。
 集中力を高めるために行うべきことは何でしょう。それは繰り返し繰り返し、練習することです。反復することで、身体に覚えさせることができる。それが自信につながり、集中すべきところで集中できる力になるんです。
 自信があるとかないとか言いますが、自信って形あるものではありませんよね。つまり自信とは、「自分を信じられる強い力」だと思うんです。繰り返し練習したから、本番でも失敗しないと自分を信じられる。あるいは、過去に何度も成功体験があるから自分を信じられる。それが物事を動かすパワーとなり、また次の成功へとつながっていくんです。

継続・反復しても自信につながらず、思うような結果も得られない時はどうしたらよいだろうか。

 継続・反復するうえでは、誰かの助けを借りることも必要です。一流アスリートがどのようなコーチをつけるかによって結果が変わるように、誰かの指導を受けることは、成功への近道なんですよ。
 例えば、パソコンのソフトウェアを習得する際、分厚いマニュアルを読むより、スキルのある人から教わるほうが早いですよね。わからない時、うまくいかない時、先達に教えを請うことで解決を図る。「コーチなんてたいそうだ」とか「もったいない」と思うかもしれませんが、指導者に報酬を支払うことは、自分へ投資すること。人が成長していくうえでは「どうして?」と思うことが大事ですが、疑問に思った時、その答えを即座に出し導いてくれる指導者の存在は必要です。

人は年を経るに従い、「どうして?」と第三者に問うことが少なくなるという。

 子どもの頃は素直に質問できていたことが訊けなくなる。それは、知識や経験が増えたからではなく、わからないままにうやむやにしてしまったり、プライドが邪魔して人に訊けなかったりすることが多いからでしょう。もしくは、普段から疑問があまり生じないという人がいるとすれば、それは思考が停止しています。何も考えずに行動していたって成長はありません。世の中で「当たり前」とされていることに対しても、疑問を持つことは大事。気付き、疑問を持ち、思考し、解決した先に人間は成長するんです。大樹に育つためには、毎日の水やり──「継続」と、「気付き」という名の肥やしが必要不可欠ということですね。

誰しも、大樹に育つ素養は持っている。あとは、自分次第だ。

■プロフィール
語り手 髙島 真太郎

WORLD JOYOUS LIFE 合同会社CEO。
建築設計の業務を営んでいたが、多くの経営者と出会う中で、セールスエージェント業務に着目。若い営業職を支援するコミュニティ作りに注力する。
 
『宇宙学校』しんちゃんねる369
https://m.youtube.com/c/shinchannel369/

 
 

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