一歩を踏み出したい人へ。挑戦する経営者の声を届けるメディア

Challenge+(チャレンジプラス)

コラム

毎日のマネジメントで使える! コーチング&コミュニケーション

ストレングスコーチ・経営戦略コンサルタントの壁山恵美子氏は、大学院在学中から個人事業主となり、芸能界・出版業界など多くの業種を経験。30歳で転職した上場企業ではスピード出世を果たすなど、さまざまなビジネスノウハウを蓄積してきました。本連載ではそんな壁山氏が「マネジメントのヒント」や「現場でのコミュニケーション術」をお伝えします。第4回目のテーマはリモートワーク(遠隔)でのマネジメントにおけるコミュニケーションです。

 

緊急事態宣言の発表によって、「変化」が始まった

令和2年4月7日に緊急事態宣言の発表など、新型コロナウイルス感染症におけるさまざまな社会情勢の変化が起こっています。皆様はいかがお過ごしでしょうか?今までに想定しようのない生活パターンや業務時間のサイクルに変化が起きたのは、言うまでもないかと思います。「ビフォーコロナ」「アフターコロナ」を皆様がそれぞれの立場や業種・業態で、今後起こりうるさまざまなことを想定し、対応に追われていることでしょう。弊社および私自身も、3月後半からは毎日が緊張感とともに過ぎています。現状の業務とそれに関わるスタッフのケアはどうしたらよいのかという戸惑い、世の中の変化へどう対応していくのが正解なのかといった焦りや葛藤の連続が波のように押し寄せてきます。

その中で私が確信できたことは、すべての解決方法に「正解」がないということでした。なぜならば、今回の事象は、じわじわとゆっくり進行して変化したのではなく、ある日突然に「変化」をしなければならなくなったからです。どんなに優れた経営者であっても、こうした前例のない事態において即時に対応していくための決断には、すべてに対してトライ&エラーで対応する必要があったでしょう。そこには、「この判断が正しい」といった正解はなかったといえます。

仕事の中で起こった「変化」とは

働き方改革ということを言われ続けてもなかなか進まなかったリモートワーク(在宅勤務)が、緊急事態宣言以降、当たり前のワークスタイルになりました。多くの方が「無理」と思っていたことも、「やってみたら意外とできる」と感じたのではないでしょうか。もちろん、リモートワークが物理的にできない職種も多いと思います。しかし今回を機に、そういった職種もいずれはリモートワークへと変化していくことでしょう。

このような「変化」により、皆様にはどういった課題が表出したでしょうか。リモートワークにより浮かび上がってきた日々のマネジメントにおける問題を考えてみると、以下のようなことが挙げられます。

1 部下の勤務状態が把握できない
2 ちょっとした対話やコミュニケーションが取りにくい
3 職種によっては在宅勤務というよりも自宅待機になってしまったなどの場合、在宅でどんな業務をさせるか
4 管理職が何をどう管理してお互いの信頼を継続していくのか

不安が渦巻く状況下でマネジメント層がまずできることとは

今回のような危機的な状況下で、遠隔ツールを使ってのリモートワークが主流になった場合、マネジメント側はどのように部下とのコミュニケーションを取っていけばよいのか。ここからは、実体験を踏まえてお話ししたいと思います。

私は現在、ミャンマーのビジネスホテルでCIOを拝命しています。今回のことで日本からの渡航者は入国制限の対象となり、現地に行けなくなりました。ミャンマーでも不要不急の外出を避けるという対策は、国の方針として行われています。そのため、ビジネスホテルでの新規の宿泊のお客様は連日ゼロとなり、長期宿泊のお客様のみのオペレーションになりました。お客様がいないので、スタッフが出社したところで仕事そのものがほぼない状態です。

普段のオペレーションであれば円滑であったスタッフ間の関係性も、連日のお客様0名の状況では、良くない方向へと向かっていく様子がうかがえました。彼らの不安は、「このままでは、自分たちの給与が支払われなくなったり、解雇されたりするのではないか」ということでした。

日本とミャンマーという物理的距離もあるため、普段から遠隔でのマネジメントに携わっている私は、スタッフとの関係性に通常よりも「距離」を感じていました。通常オペレーションの中で発生するトラブルを対処するよりも、こうした状況下だから、想定外のトラブルが発生しそうな予感があったんです。

スタッフの不安を理解し、少しでも低減するために、マネジメント側の立場として行ったことは、通常よりもコミュニケーションを取る時間を設けることでした。普段であれば、レポートなどで毎朝、もしくは夕刻にメッセンジャーやグループウェアを活用して報告される内容を確認し、コメントを返しています。今回は、こちらからスタッフに向けて、業務報告の確認のやりとりとは別にメッセージを発信しました。具体的に言うと、スタッフの体調や、現実にどういったことで困っているのか、感情の動きや言葉にできる不安や心配事について聞いてみたのです。雇用と給与に関しては、経営陣の方針をビデオレターのように動画で発信し、スタッフ全員の朝礼や会議で見てもらう手段を講じました。

リアル・対面よりもより一層意識したコミュニケーションを

私のミャンマーでの経験を踏まえると、マネジメント側としてできることは、各スタッフ(部下や従業員)と今まで以上にコミュニケーションを取ることではないでしょうか。コミュニケーションの内容は、業務報告や進捗報告といったもの以外であれば何でも良いと思うのです。毎日変化している世界情勢についての話題でも、リモートワークの自宅で起きている困ったことでも、些細な日常生活でのルーティーンの共有でも良いでしょう。とにかく肝心なのは、各スタッフに「安心感」を感じてもらうこと。これが、マネジメント側がまずできることではないでしょうか。

第4回のコラムはここまでです。次回も引き続き、私自身の体験や実践を交えてお話ししたいと思います。どうぞお楽しみに。

ご質問、ご相談をいつでもメールで受け付けしています。いただいたご質問はできるかぎりコラム内でお応えしていきたいと思いますので、お気軽にご連絡ください。ご意見・ご感想もぜひいただけると幸いです。少しでも皆様のお役に立てるコラムにしていきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 

■プロフィール
壁山 恵美子(かべやま えみこ)
株式会社 ブレインスイッチ 代表取締役
YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー/ヤンゴン)
Chief Information Officer(CIO)
 
イベント・出版業界を経て、ソフトバンク(株)に入社。情報セキュリティおよびリスクマネジメントを専門分野とするグループマネジャーとして業務に従事。その後、J-SOX、IT統制、システム監査等の経験を経て独立。現在は、上場企業の経営企画部門およびPR・マーケティング戦略などのコンサルティングに携わる。また、中小企業の経営者向けコンサルティングや人材育成の研修カリキュラム開発なども展開。さらに、YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー / ヤンゴン)にてCIOとして人材育成をする傍ら、ミャンマー進出コンサルタントとしても活動。Gallup認定ストレングスコーチとして、組織のマネジャーなどにコーチングおよびコーチング型マネジメント手法を指導している。
 
※保有資格
・Gallup認定ストレングスコーチ
・一般社団法人マザーリングマネジメント協会 認定ティーチャー
・Tony Buzan公認 マインドマップ・インストラクター
・Peter Walker氏 公認 ベビーマッサージ&ベビーヨガインストラクター
・高等学校教諭第Ⅱ種(公民)免許
 
URL https://brainswitch.jp/
個人Webサイト https://emikokabeyama.com/
Facebook https://www.facebook.com/kabeyama/
Instagram @kabeyama
Twitter @Kabeyama_Emiko
個人事業主様のためのビジネスオンラインサロン
「ビジネス相談室」を開催中。
ご希望の方はメール等でお問合わせください。

<< Part3 部下は上司が思うよりもコミュ・・・Part5リモートワークにおける遠隔ツール・・・ >>

 
 
 

躍進企業応援マガジン最新号

2024年3月号予約受付中!