一歩を踏み出したい人へ。挑戦する経営者の声を届けるメディア

Challenge+(チャレンジプラス)

コラム

オフを充実させ、より良いビジネスライフを! 大人が楽しむアウトドア考

アウトドアのオリジナルグッズ開発を手がける、イナウトドア合同会社の森豊雪代表が、アウトドアの魅力をお伝えする連載コラム。アウトドアシーンで欠かすことのできない食事の時間。大切な家族や仲間たちとの楽しい会話や、鳥のさえずり、木々のざわめき、雄大な自然に囲まれて食べる料理は格別なものだ。今回はそんな野外調理をテーマに、お話しします。
 

◎キャンプの王道、煮込み料理

野外調理は、キャンプの醍醐味である。キャンプをしたことのない方でも、遠足などでおにぎりを食べたときに、いつもとは違うおいしさを実感したことがあるだろう。澄んだ空気と素晴らしい景色の中での食事は、何にも代えがたい至福のひとときになる。

豪快な火力で仕上げる野外調理は、見栄えが良い。実際SNSには、数え切れないほどの写真や動画が投稿されている。調理が苦手である私には、うらやましい限りである…。

そんな私が、野外調理と聞いて最初に思い浮かぶのは、小学生のときに飯盒炊爨でつくったカレーライスだ。とにかく、火力調整が難しかったように記憶している。さらに、私のいた班はハンバーグもつくったものの、水の量を間違えてしまい、かなり悲惨な結果であった(笑)。

料理には、「煮る」「焼く」「蒸す」、「炒める」「揚げる」「燻す」などさまざまな調理法がある。その中で、野外調理における代表格は、「煮る」と「焼く」だろう。特に「キャンプには焚き火が欠かせない」という方にとって、煮込み料理は便利な一品である。なぜならば、火にかけて放っておくだけで、おいしい料理ができあがるからだ。肉や野菜を熾火でじっくり煮込み、食材の栄養素を丸ごと詰め込んだ料理が、キャンプの食卓を飾るだろう。

そんな煮込み料理には、鍋が必要である。 焚き火などの直火に長時間かける野外調理においては、厚みのある鉄製の鍋、ダッジオーブンが望ましい。これ一つあるだけで、野外調理の幅が大きく変わってくる優れものである。重い蓋が圧力鍋のような効果を発揮するほか、厚みのある鉄による蓄熱効果で、温かい料理を温かいまま食べられるのだ。

「ダッジオーブンは重たい」と敬遠しがちな方には、最近お手ごろな価格で購入できるようになったスキレットという調理器具をご存じだろうか。スキレットとは、英語の「Skillet」が原語と言われている鋳鉄製のフライパンのようなものである。頑丈なつくりになっているため、家庭でよく使われるフッ素樹脂加工のフライパンよりは重いものの、使い勝手は抜群だ。見栄えも申し分ない。

ちなみに、鉄製の調理器具は日頃の手入れが欠かせない。鉄は錆びやすいからだ。メンテナンス方法はこうである。まず、使い始めは錆止め剤を落とした後、塩分のない油(エクストラバージンオリーブオイルなど)を塗るなどの「シーズニング」という慣らし作業を行う。使用後は、よく乾燥させて油を塗っておくことだ。なお、鉄鍋好きな方は、こうしたメンテナンスを通じて、じっくりと「鍋を育てる」ことを楽しんでいるとか。

もちろん、調理器具も手間のかかる鉄製にこだわる必要はない。ただ、せっかくのキャンプでの調理に使うのであれば、「直火」が使えるものを選んだ方が、それだけでぐっと本格的になるのは確かである。

◎少しの工夫で、本格派に

こだわりを持つのは、なにも調理器具だけではない。テーブルや椅子、食器類、カトラリー類なども野外らしいものをそろえてみてはいかがだろうか。よく、レジャー用品として紙のコップや皿がある。もちろん用途としては十分であるものの、風に弱いのが最大の欠点だ。あっという間に飛んでいってしまう。野外であることを考えると、ある程度の重さは必要だと考える。なお、私は木材をつかったものが雰囲気に溶け込みやすく好きだ。

料理もひと工夫してみよう。例えば、焼き料理は肉が中心になるため、どうしても茶色系が多くなりがちだ。そんな場合は色とりどりの野菜や、フルーツなどを焼くことで、見栄えを演出できる。フルーツを焼くのは意外に思われるかもしれない。だが、バナナ、パイナップル、オレンジ、ゴールデンキウイなどは、焼いてみるとフレッシュの状態とはまた違ったおいしさである。焼くことによって水分が煮詰まって甘みが増し、皮まで食べられるので栄養も満点だ。

とは言え、道具や食材は凝りだせばきりがないので、無理をする必要はない。むしろ安い食材でも、「自然の中」という調味料で、いくらでもおいしくなる。それこそが野外調理の魅力なのだ。みなさんも自慢のメニューとともに、家族や仲間と楽しい時間を過ごして、日々の疲れを癒してみてはいかがだろうか。
 

 

■プロフィール
森 豊雪

学業修了後はエネルギー関連の製造会社に入社し、30年以上にわたって勤務する。55歳を迎えて新しい道を模索。もともと趣味で活動していたアウトドア分野で起業することを決意し、イナウトドア(同)を立ち上げた。現在は、オリジナルアウトドアグッズの開発や、サバイバル教室などの展開、自然保護のボランティア活動に注力している。
 
※保有資格
・NCAJ 認定 キャンプインストラクター
・JBS 認定 ブッシュクラフトインストラクター
・日赤救急法救急員他
■企業情報
イナウトドア 合同会社
〒238-0114
神奈川県三浦市初声町和田3079-3
■URL
https://www.inoutdoor.work/
■Twitter
@moritoyo1

 
 

<< 第6回 移動する家、キャンピングカー 第8回 防災とサバイバル>>

躍進企業応援マガジン最新号

2024年3月号予約受付中!