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コンサルタント・小田切社長が指南!海外進出成功への道 第12回

昨今の国内市場の縮小化を危惧し、多くの日本企業がグローバル化に乗り出しています。その中で、言葉や文化、ビジネスの進め方の違いなど、さまざまな壁にぶつかることがあるでしょう。本コラムでは、海外ビジネス経験が豊富な(株)サザンクロスの小田切社長による、海外進出におけるアドバイスをお伝えしています。前回は「人事規程の重要性」というテーマについてお話ししました。今回は、日本を起点とした海外進出が必ずしも優れた策であるか。このあたりについて考えていきたいと思います。

 
こんにちは。(株)サザンクロスの小田切武弘です。対談記事が掲載されている「躍進企業応援マガジンCOMPANYTANK」2018年3月号、そして2018年5月から連載中の本コラムには目を通していただけましたでしょうか?

今号では、「いつまでも日本からの海外進出?」というタイトルで話を展開していきます。これまでお送りしてきましたコラムでは、「日本から海外へ」という考え方がベースになっていました。しかし、そもそも企業のグローバル化を推進していく際に、人・物・金や情報の流れがいつまでも日本を起点として海外へという考えが、果たして正しいのでしょうか。また、そうした流れが企業のさらなる発展やグローバル化を目的としている中で、唯一の考え方なのか。このあたりについて、考察してみたいと思います。

昨今の動き(人)

ここ約30年の期間でみてみましょう。製造業や飲食業を中心に、海外へ進出して現地法人や工場、店舗やレストランを設立する日本企業が増えました。そうした企業は、日本から現地責任者やエンジニア、工場管理者などに従事する日本人駐在員を派遣する形態をとっています。その中で、うまく現地経営をしている企業もあれば、逆に現地人スタッフとの協調がうまく取れず、結局は撤退を余儀なくされるケースも見てきました。確かなのは、企業(店舗)を管理・運営するのは、社員(人)の能力と、その勤務場所への適合性によるところが大きいということです。

昨今の動き(経営環境)

世界中の企業が海外進出を果たしている昨今、世界の主要都市とその周辺地域には、日本人を含め、多くの外国人が増加しています。そうした動きに伴い、それぞれの地域での“人種のサラダボウル化”が進んでいるのです。つまり、日本人ならば日本食レストランなどの飲食店を中心として、まるで日本国内と変わらない生活を送ることが可能になるということ。一方では、そのことでますます現地人とのコミュニケーションを取る機会や時間が少なくなり、現地での企業活動、運営にもネガティブな影響を与えている、との声も最近よく聞かれます。また海外からも同業他社の進出が増えたことで、日本企業が海外進出してもなかなか思うような成果を挙げるのが厳しくなっているという声も。一つの要因としては、日本人社員に対する高額の人件費がネックになっていることが挙げられています。

昨今の動き(日本製品)

とはいえ、海外の製品と比べて日本製品は、高品質で優れていると一定の評価を受けています。やはり大企業、あるいはその企業しか製造、生産できないものを持っており、きちんと製造された製品で、かつ企業努力によって価格競争力もそれなりにある場合には、海外ビジネスを成功に導く可能性は高くなります。反対に、たとえ高品質の製品をつくれたとしても、企業規模が脆弱、もしくは現地での価格競争力に適応できない場合には、海外ビジネスを継続していくことは厳しくなるでしょう。

人の自由な行き来

海外展開をしていく企業は、現地で支払う税金を含めた多額の人件費を考慮しなければなりません。しかし中小規模の企業ですと、どうしてもそれを負担できなくなるときが早々に来てしまうのが現状です。

そのような状況を回避するために、最近では日本人駐在員の駐在期間を短縮したり、長期出張者の出張回数を少なくしたりする動きが多いです。特に、現地の優秀なスタッフを日本本社に呼び寄せて研修や教育を行ったうえで現地に帰還させ、直接現地人スタッフの指導や経営にあたらせているケースが増えてきています。また、他の第三国のスタッフを日本に滞在、もしくは長期出張させ、日本で必要な知識を身に付けさせた後、別の国に派遣する、いわゆる三国間異動のやり方を取りはじめた企業も散見されます。

実はこれに関しては、東南アジアですでに以前から活発な動きを見せていました。例えば、タイで海産物の加工工場を運営している会社が、隣国のミャンマーより多くの労働者を受け入れ、タイで必要な教育やトレーニングを行い、高度な知識や技術を身に付けながら業務を行っています。賃金についても、タイ人スタッフより安価であることは言うまでもありません。

上記のような日本と現地との間の人の相互移動や、三国間の異動をしていくことで、適正な人件費と、より効率的な会社運営が行えることでしょう。加えて、真の意味でも国際化の推進がなされていくことにもつながります。

しかしこのような場合、お給料を含めた処遇をどのようにすれば良いのか。また、どのような組織をつくり、どういった研修を受けてもらうべきか、彼らの教育を担当する日本人スタッフへの教育制度を、会社はいかに整備していくべきか。皆様の会社ではいかがでしょうか?

人の動きと組織、処遇

ここまでお話ししてきたように、今後は日本企業においても日本から海外へという人の流れだけではなく、さまざまな国籍の人が自社で活躍するような流れが大きく関わってくると予想されます。そのようにしなければ、日本企業の生き残りも厳しくなってくる時代になりました。企業としては、そのような動きにも対応できるような組織づくりと処遇を早急に検討するときに来ています。

国間異動を含めた人の動きはそれぞれの企業によって異なるやり方になります。ですが大切なのは、いつどのようなときにどのような場所の動きが出てきても、それらに対して企業がきちんとした方針と処遇条件をあらかじめ準備しておくことです。

次回は本コラムの最終回の予定です。「まとめ~経営者のための海外進出の心得~」というタイトルで話を進めていきます。

≪お知らせ≫
いつもご愛読ありがとうございます。毎回のコラムをお読みになられた後、多くの読者よりさまざまなお問合せをいただきます。その中でも、「海外展開を進めていくうえで、特に現地の人の気質やものの考え方について教えてほしい」というご意見をかなりいただきました。特に東南アジア、とりわけタイで事業を展開している日本企業にとって、タイ人とはどういった国民性なのか、ビジネスを行ううえでどのように対応していけばうまくできるかなどの質問が多く寄せられた印象です。

そこで、次回の本コラム最終回の後を継続する形で、新たにコラムを連載させていただく予定です。まずは、タイ人気質とタイにおけるビジネスを成功させるために気を付けることを中心にお話をすすめていきます。そちらのほうもぜひお楽しみに。

■プロフィール
株式会社 サザンクロス 代表取締役社長
小田切 武弘

海外志向が強く、学生時代に海外留学を経験。学業修了後は、大手電気機器メーカーや飲料・食品メーカー、総合商社など数社にわたって、米国、インド、韓国、東南アジアといった諸外国に駐在。その中で、海外でのビジネスに苦戦する日本企業の存在を知り、自らのノウハウを提供したいという思いが芽生える。2017年7月7日、企業の海外展開をサポートする(株)サザンクロスを設立した。
 
■企業情報
株式会社 サザンクロス
〒167-0032
東京都杉並区天沼1-16-9
■URL
http://sc-southerncross.jp/

 
 

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