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コラム

コンサルタント・小田切社長が指南!海外進出成功への道 第9回

昨今の国内市場の縮小化を危惧し、多くの日本企業がグローバル化に乗り出しています。その中で、言葉や文化、ビジネスの進め方の違いなど、さまざまな壁にぶつかることがあるでしょう。本コラムでは、海外ビジネス経験が豊富な(株)サザンクロスの小田切社長による、海外進出におけるアドバイスをお伝えしています。前回は、「人・物・金・情報」についてご紹介しました。今回はその後編。引き続き、「人・物・金・情報」についてお話します。

 
皆様、こんにちは。(株)サザンクロスの小田切武弘です。対談記事が掲載されている「躍進企業応援マガジンCOMPANY TANK」2018年3月号、そして2018年5月号から連載中である本コラムには、すでに目を通して頂けましたか?

第9回にあたる今号では、前号で扱ったテーマ、「人・物・金・情報」の後編です。前号で説明しきれなかった、「情報・物・営業活動」について、解説していきます。

情報の面

この面については、問題意識を感じて指摘している関係者がこれまでにほとんどいなかったようです。海外拠点を設立後、それぞれの担当実務を行う方々にとって、実は情報の伝達(報・連・相)と管理について、的確に決めておくことが大事です。それをしておけば、設立後の実務をよりスムーズに行えます。

具体的な伝達方法を解説しますと、まずは本社と拠点でそれぞれ窓口を決めて、どのような部門の連絡であっても、相手窓口にメールを送り、窓口担当者から関係部署へ振り分ける手法。このやり方は主に、中小企業様や組織の小さい企業様で行われている方法です。また、それぞれの部署の役職ごとの職務分掌によって、メールの内容や重要度、緊急度によってコピー(cc)配信先も変わってくるケースもあると思います。この場合は、経営部門、人事部門、財務部門、経理部門、法務部門、総務部門、市場開発・営業部門、貿易部門、製造部門などに主に配信されることとなります。この方法では、窓口担当にメールを送ることでとりあえず情報の伝達は可能となりますが、窓口担当者が休暇中のときなどは、必要関係部署にメールをすぐに配信しなければ情報は上手く伝わりません。また本社側からの返信メールについても同様です。従って窓口担当者への負荷が大きくなり、配信すべき部署へ配信し忘れる可能性も出てきます。

一方、大手企業や組織が細分化されている企業では、直接現地のそれぞれの担当者と本社の担当者の間でメールのやり取りが行われるので情報共有はすぐになされます。ただし、縦の(同じ部門での)情報共有はなされても、横の(他部門との)情報共有が薄くなりがちになる、という懸念事項があります。

物の面

物の面については、大別して2点ポイントがあります。1つは日本や第三国から拠点に送る場合。その際は、輸送コスト、輸送条件、保管条件、輸出諸掛、輸出保険などを確認した上で、国内の法令に遵守して送ることです。また、その場合には現地サイドでの輸入に関する法令や輸入にあたっての手続きを事前に行ってください。現地で大変な思いをして工場を設立したものの、そこで生産予定の商品に使われるべき原料や材料が輸入禁止であった場合や高関税であったりした、という事例を私は目の当たりにしてきました。これでは何のために海外進出をしたのか分かりません。

もう1つは、現地生産した商品を現地で販売するケース。これについても、現地の法令に適合していること、輸出可能かどうか、日本での輸入が可能かどうか、また税金についてはどうかなどを、予めしっかり調査し、その都度確認することが必要です。

営業活動の面

営業活動は拠点設立後の最大重要事項です。前述してきた項目についてどれだけクリアになったとしても、実際に売上と利益を創出しなければ、拠点の存続と発展はできません。そこで、着実に売上と利益を継続的に出すには、まず拠点内部をセットアップすることが重要です。これまで説明してきた項目を海外拠点設立後に1つずつ付け加えていきながら営業活動を行うと、さまざまな局面でしわ寄せや不具合が出て、場合によってはいとも簡単に、当初の方針とは異なる方向に進んでしまいます。

私はこれまでに、拠点設立後半年や1年、短い場合には3ヶ月で結果(主に売上)を出したいと思われている経営者の方を見てきました。お気持ちは十分に理解できます。しかし、国内の本社を設立したとき、短期間で期待通りの売上や利益が創出できたでしょうか?おそらく何年、何十年と努力と苦労を重ねて今日を築かれたと思います。それは海外でも同じことなのです。少なくとも(規模や業態にもよりますが)1~2年という期間は必要です。「石の上にも3年」という思いでいるのが、ちょうどいいのではないでしょうか。

強固な戦力構築を

いかがでしたでしょうか。海外進出をマラソンで例えるならば、ランナーは大会にエントリーし、(その前から)基礎体力を養い、ウィークポイントを克服し、長所をどう伸ばしていくか考えながら練習を重ねています。そのためにトレーニングコーチや、フィジカルトレーナーなどのサポート担当を付け、エントリーした試合のコースマネジメントも同時に徹底的に行いながら、何度も戦略を立て直す。さらに、当日の気候、天候だけでなく、ライバル達の当日の戦術も想定しながらスタートの号砲を待ちます。海外進出も同様であると私は確信しております。

海外展開は困難なことではなく、自社の経験を活用すれば自前でできる、と考える経営者の方もいるかと思います。その考えを否定はしません。おそらくできると思います。ただし、大変なご苦労と、紆余曲折があるかもしれません。その予防のためにも、私どものようなコンサルタントを付けて頂けば、無理なく、無茶せず、無駄なく、最短距離で海外展開ができます。そして、海外進出を完了させた後に、継続的に売上・利益を積み重ねて行けるようお手伝いをいたします。

多少でも海外展開にご興味があって、検討をしてみようという企業様がいらっしゃいましたら、ぜひ当社にお声掛け頂ければ幸甚です。皆様からのご連絡をお待ちしております。

次回は海外展開における【「人財」か「人材」か?】という内容で、主に“人”についてのコラムを展開してまいります。

■プロフィール
株式会社 サザンクロス 代表取締役社長
小田切 武弘

海外志向が強く、学生時代に海外留学を経験。学業修了後は、大手電気機器メーカーや飲料・食品メーカー、総合商社など数社にわたって、米国、インド、韓国、東南アジアといった諸外国に駐在。その中で、海外でのビジネスに苦戦する日本企業の存在を知り、自らのノウハウを提供したいという思いが芽生える。2017年7月7日、企業の海外展開をサポートする(株)サザンクロスを設立した。
 
■企業情報
株式会社 サザンクロス
〒167-0032
東京都杉並区天沼1-16-9
■URL
http://sc-southerncross.jp/

 
 

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