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コンサルタント・小田切社長が指南!海外進出成功への道 第8回

昨今の国内市場の縮小化を危惧し、多くの日本企業がグローバル化に乗り出しています。その中で、言葉や文化、ビジネスの進め方の違いなど、さまざまな壁にぶつかることがあるでしょう。本コラムでは、海外ビジネス経験が豊富な(株)サザンクロスの小田切社長による、海外進出におけるアドバイスをお伝えしています。前回は、「海外進出完了は、実は終了ではない」についてご紹介しました。今回は、さらにテーマを派生させ、「人・物・金・情報」についてお話しします。
 

さまざまな問題に直面

皆様、こんにちは。(株)サザンクロスの小田切武弘です。対談記事が掲載されている「躍進企業応援マガジンCOMPANY TANK」2018年3月号、そして2018年5月号から連載中である本コラムには、すでに目を通して頂けましたか?

第8回にあたる今号では、前号で扱った「海外進出の完了は、実は終了ではない」の文中で登場してきた「人・物・金・情報」について、さらに詳しく展開していきます。なお、本テーマは次号と2回に分けてお送りします。

前号までで、海外進出の実際の成功例や失敗例、さらに海外進出の一応の完了までお話ししてきました。海外進出を一応完了すると(海外で工場の建設や現地法人、店舗の設立)、その瞬間から「人・物・金・情報」について直面する、さまざまな重要事項がでてきます。当然、いくつかは海外進出をする前段階から準備をしておかなければなりませんが、具体的にどのような準備が必要か、以下紹介していきます。

人の面

海外に工場、現地法人、店舗を設立すると(以下、本文中では「拠点」という言葉を使用)、本社より工場責任者、技術指導者、法人経営者、店舗責任者などを派遣するケースが多くあります。派遣される日本人の方は日本ではどのような役職・職位にあり、現地ではどのような役職・職位に就くのか。この場合は、主に1年以上現地に駐在する(予定のある)「駐在員」に当てはめられると思います。

また1回の出張が1週間程度の通常の海外出張なのか、1ヵ月程度の長期海外出張、それ以上の期間で半年、あるいは1年近く現地に行かれるのか。この場合には出張というよりも長期滞在といったイメージになると思います。ただしその場合であっても上記「駐在員」のように(概ね日本の住民票を抜いて海外転出届を提出)、現地でのビジネス用査証や必要に応じて労働許可証を取得することまではしません。長期滞在としても行かれる現地の法律や税金面で、例えば183日以上現地に滞在する場合には、決められた税金を納めなければならない国々もあります。

ここで申し上げたいことは、本社において人を海外に派遣する明確なルールがきちんとあるかどうか。言い換えると海外出張(長期出張も含む)や海外駐在員の規程が整備されているかということです。また概ね1ヵ月以上、数ヵ月未満の長期滞在の場合に、本社とは異なる勤務時間や残業管理、休日、有給休暇の取得や一時帰国の有無、勤務評価を誰がどのような基準でいつ行うのか。これらのことは、海外進出完了前の段階で本社人事部が決定し、役員会の承認を取っておく必要があります。

上記で申し上げた期間やその期間に対する名称については、あくまで一例ですので、実際にはそれぞれの企業様に適した期間設定と、それに伴う人事処遇を決めていくことになります。

弊社がコンサルティングをさせて頂いている企業様の場合には、海外進出を会社が決定した段階から海外出張規程の部分も並行したアドバイスをしております。ごく少数の企業様は、ほとんどをマーケティングや営業活動だけに費やし、人の部分の処遇を後回しにした結果、海外に行く日数の違いからくる出張者同士や、駐在員の処遇との不公平感が発生。また、1年の内半分以上を海外進出のために海外に滞在されているにも関わらず、それに見合う査証や労働許可を取得していない場合、あるいは支払うべき現地での税金を支払わず、合弁先の相手企業様より不信や反感を買ってしまうケースも、事実として散見されます。このような状態では、せっかく現地のために一生懸命業務にまい進していても、合弁先の企業様からの良い評価や信頼感は得られるはずがありません。

一方、拠点を設立したらすぐに現地スタッフを雇用しなくてはなりません。その場合も採用条件をどのように決めるか、現地法人の従業員規程や人事関連の諸規程、評価システム、職務分掌、現地国内・海外出張規程の策定なども前もって決めておくことがポイントとなります。また規程集の策定については、人事部が関係部署より意見や情報を取り入れながら行い、会社の承認を取ることが基本です。特に人の面については、手当や評価が絡みセンシティブな部分が多くあるため、中立的な立場で、できる限り公平・公正な処遇を決定する必要があるからです。国内出張規程とのバランス感も忘れてはならないポイント。だからこそ、人事部主導で進めて行くことが会社全体の公平感を追求する上でも重要になってきます。

お金の面

海外で拠点設立後、その瞬間から運転資金が必要になります。設立直後から売上や利益は出ないので、当面は資本金の中から捻出していくことになります。仮に100パーセントの独資であれば、本社の決定や拠点指導によって資金の出費をしていくことができますが、現地企業との合弁の場合には、「もう1人の親」の承認が必要です。給与や経費などを、あらかじめ合弁相手先と書面により確認を重ねていくことが重要になってきます。

拠点の明確な人事規程ができていれば、駐在員、ローカルスタッフ、日本からの出張者、長期滞在者などに係る経費や、本社との費用負担についても大きな問題に発展することを回避できる体制が取れるでしょう。特に本社人事部、財務部、経理部、拠点の人事担当者、経理担当者、合弁相手先の人事部、経理部、財務部との連携を良くしておくことがポイントとなります。

お金にまつわることは、人事と同様に相手、相手先企業との信頼関係に直結します。拠点設立前になるべくいかなる問題にも対処できるよう、十二分に確認を行い、書面にて決められたルールを残していくようにすることが肝要です。

次回の2019年9月号では、「人・物・金・情報【後編】」として、情報・物・営業活動を掘り下げていきます。お楽しみに。

■プロフィール
株式会社 サザンクロス 代表取締役社長
小田切 武弘

海外志向が強く、学生時代に海外留学を経験。学業修了後は、大手電気機器メーカーや飲料・食品メーカー、総合商社など数社にわたって、米国、インド、韓国、東南アジアといった諸外国に駐在。その中で、海外でのビジネスに苦戦する日本企業の存在を知り、自らのノウハウを提供したいという思いが芽生える。2017年7月7日、企業の海外展開をサポートする(株)サザンクロスを設立した。
 
■企業情報
株式会社 サザンクロス
〒167-0032
東京都杉並区天沼1-16-9
■URL
http://sc-southerncross.jp/

 
 

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