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Challenge+(チャレンジプラス)

コラム

気鋭のトップが語る Vol.3

 
2008年に採用コンサルティング事業を手掛ける会社として誕生した(株)ガネットは、藤田達也社長の卓越した先見性と確かなビジョンに基づき、全くノウハウのなかった介護の人材育成事業への挑戦を決意した。その大きな決断の理由や、介護・医療施設内に資格学校の分校をつくるという業界初のビジネスに懸ける思い、そして今後のビジョンに迫る。
 

■プロフィール
株式会社 ガネット
代表取締役社長 藤田 達也
 
1976年東京都生まれ。大学時代の先輩が立ち上げた人材コンサルティング企業に創業期メンバーとして入社。約9年間にわたって新卒生の採用支援に従事する中、2004年には取締役営業本部長として営業部門の全体を管理統括する。さらに同年、デジタルコンテンツ事業を行う関連企業の代表取締役に就任。次第に独立起業を志すようになり、2008年2月に(株)ガネットを立ち上げた。
 
 
■会社情報
株式会社 ガネット
本社所在地
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-10-7 新大宗ビル1号館7F / 9F
設立  2008年2月4日
資本金  2000万円
事業内容 介護事業特化型事業 / 教育研修事業 / HRMソリューション事業 / ブランドマネジメント事業
URL http://gannet.co.jp/

 

前職の経験を生かし、介護事業へ

今の私があるのは、社会人経験をスタートした人材コンサルティング企業での経験が大きいです。(株)リクルート(現:リクルートホールディングス)出身である経営陣が立ち上げた会社に、私は創業期に入社しました。当時の人材ビジネス業界を取り巻く環境は、本などの紙媒体からインターネットでの人材採用に移行し始めた黎明期。業界全体のアグレッシブな空気感を心地良く感じる中、OJTでノウハウを叩き込まれ、早い段階から役員の大役を任せられるなど、営業や経営を肌で学ばせてもらえましたね。やがて、より社会に貢献できる事業を手掛けたいという思いから独立を決意し、(株)ガネットを立ち上げたのです。

創業当初は前職での経験を生かした人材採用コンサルティングを主事業としていましたが、リーマンショックの影響を受け企業の採用縮小が相次ぎまして・・・。そうした社会情勢を見据えた中で、新たに目をつけたのが介護・医療業界の教育ビジネスでした。それは、日本国内で加速する超高齢社会を踏まえてのこと。福祉サービスの充実・拡充は急務であり、2025年までに業界には新たに40万人もの人材が必要と言われているためです。人材の採用・教育は自分自身の経歴を最も生かせる分野であると同時に、社会貢献の実現にもつながる事業だと考えての決断でした。

ただ、従来の介護業界における採用・教育の仕組みには多くの疑問を感じていて──例えば、介護職を志す人は専門学校に通い、高額な自己投資をした上で資格を取得するのが主流です。また、学校の多くは都市部に集中していますが、介護施設などは郊外にあることが多いため、働きながら専門知識を学びたいと思っても、わざわざ都市部に通う手間が生じてしまいます。そこで当社が考案したのが、介護・医療施設の中に資格学校をつくること。その実現に向け行政とやりとりをしたり、医師や看護師といった方々から助言を頂いたりしながら、2年の準備期間を経て、2012年10月より本格的に着手したのです。

 

ニーズに即したサービスの追求

そうして、業界初となるビジネスモデルを展開する「日本総合福祉アカデミー」をスタートし、6年足らずで東名阪を拠点に100校の開校が決定しました。拡大の要因は、ニーズに即したサービスの提供と、施設や講演会に赴き「教育に掛かる費用を、施設側が投資として支払う」必要性を説いて回った啓蒙活動の成果だと考えています。受講生は金銭的な負担が軽減される上、介護・医療施設内の学校に通うことにより仕事との両立が容易となって、資格取得への意欲も向上することから自ずとスキル・キャリアアップにまでつながるでしょう。また施設側も、社内教育体制の完備により人材を呼び込みやすくなり、さらに離職率を低減することも可能です。安定した人材確保は施設自体のサービスの質向上につながり、地域にとっては、地域包括ケアシステムの強化につながるのです。もちろん、学校運営に必要なカリキュラムの作成、広報などの業務は当社が請け負い、講師の適材適所への派遣だけでなく、定期的に講師へ向けた育成会を開催し、指導の質の向上にも努めます。

そして2018年5月には、介護・医療業界に特化した人材サービス「面接設定保証型サービス」を始めました。従来の求人サイトに頼った採用戦略では、膨大な情報に埋もれてしまい、満足のいく人材確保ができないという現状があります。それを打破すべく、このサービスでは、大手ポータルサイトへの独自のリスティング広告から求職者を自社ランディングページに誘導し、採用面接まで設定。加えて採用ビジネスでのネットワークを生かして人材派遣会社と提携することで、20万人のデータベースの中からスカウトし、キャリアアドバイザーの面談で業界に呼び込むシステムも構築しました。応募者様との面接が実施できた時点で報酬が発生する仕組みとなっているため、企業様にとっては採用コスト削減が実現できるのも魅力です。
 

社会貢献に沿った事業展開を

立場上、ビジョンを掲げて先陣を突き進むことが多い私ですが、会社は従業員に支えてもらっているという意識を忘れず、彼らが現場で輝き、幸せを追求できる組織体系を目指します。座右の銘でもある“人事を尽くして天命を待つ”の通り、結果の良し悪しには一喜一憂せず、むしろプロセスを見るように心掛けているのです。また、「人材創出ではたらく人々の存在意義を想造する」という企業理念に基づいた経営も追求しています。それにより、「理念から外れたビジネスはしない」と、自分自身を律することにもつながるんです。

今後は2018年内に分校を130箇所に開校し、さらには東北や九州といった全国各地のニーズに応えることで、近い将来300校の設立を達成したいと考えています。また、「Gケアネット」という自社のインフラを使った、インターネット環境によるeラーニングも導入予定です。日本が直面している超高齢社会の問題はいずれ世界規模に拡大しますから、私たちが経験し積み上げたノウハウは必ず生きるでしょう。そして国内では、これからますます在宅での介護が主流となる中で、家族や行政、地域の支えが必要不可欠です。その一助となる事業展開を行っていくことが、介護業界に携わる企業の使命。そのことを心に刻み付け、これからも挑戦を続けていきます。
 
 

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