コラム

岡西佑奈 書と禅語 「喝」

「喝」


 

経営やビジネスに奮闘される皆様の心に灯をともす“禅語”を書で伝える連載、「書と禅語」。2017年9月号より連載を続けてきましたが、今回で最終回となります。最後にご紹介するのは、「喝」という言葉です。

日常の中にも馴染んで使われているこの言葉、実は禅語だということをご存じでしたでしょうか?現代では「叱りつける」「叱咤激励する」という意味合いで使われることが多いですが、禅の世界では、師匠が修行中の弟子の迷いを断ち切る際の掛け声として使われました。また、この字の原形は「喝」で、つくりの「曷」は、生きている者が死者に対して生き返るよう祈る行為を意味します。その際、声に出して唱えるのが「喝」です。つまり、もともと口で発することを前提として生まれた言葉なのです。

自分や周囲を励ますために喝するというのは、経営者の皆様もご経験されたことがあるのではないでしょうか。私も、気合いを入れたいときは「喝」の字を書き、自身の迷いを断ち切るようにしています。今回の作品も、心で「喝」と発し、一筆目は墨が飛ぶくらいに勢い良く筆を置きました。

ぜひ皆様も、仕事で迷いが生じたり、あるいはご自身を奮起させたり、誰か周囲の人の迷いを断ち切ったりしたいときには、思い切り「喝!」と発してみてください。きっと心が晴れ、新たな一歩を踏み出せることと思います。

さて、この連載は終了となりますが、1人でも多くの方が禅語に触れ、その考えを経営やビジネスに生かしていかれるきっかけとなれたなら幸いです。改めて、1年間お付き合い頂き、本当にありがとうございました。

 

▲ 2018年7月に開催された「Ink Art Show」(Whitestone Gallery Tokyo)と、同年8月に開催された落慶法要で、それぞれパフォーマンスを行った岡西さん。両会場ともに、「泰然」の言葉を描いたという。“泰”には、水から人を救い出すという意味、そして安らかで豊かであるという意味があり、同年7月に起こった西日本豪雨を受けて岡西さんが、「亡くなられた方々への追悼、そして被災されている方々へ言霊として想いを届けたい」と選んだ言葉だ。そして、神前儀式の様子を意味する“然”は、「自然」にも含まれる漢字である。人間が破壊し続けてきたそれを、見つめ直す必要があるのではないか・・・そんな思いが込められている。さらに、「泰」は水、「然」は火を意味し、「神」は火(か)水(み)の調和の働き。ゆえに、「火」には縦に上がる陽の働き、「水」には横に広がる陰の働きを表現し、「泰然」それぞれの最後の一画を縦と横に働きかけるように描いたという

 

■プロフィール
岡西 佑奈 Okanishi Yuuna
 
幼い頃から、白い紙に滲み広がる墨の黒さ、“モノクローム”の世界に惹かれ、7歳から本格的に書に目覚める。書家・栃木春光に師事し、高校在学中に師範の免許を取得。水墨画においては関澤玉誠に師事する。書家として文字に命を吹き込み、アーティストとして独自のリズム感や心象を表現している。国内外受賞歴も多数。また、「子どもに命の大切さを伝えたい」という思いから、小学校での書道教室をボランティア活動として開催している。
 
■公式サイト
http://okanishi-yuuna.com/
■フェイスブック
https://www.facebook.com/YuunaArt/

 

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1999年、25歳で世界7大陸最高峰登頂を達成し、当時の最年少記録を打ち立てたアルピニスト・野口健氏。15歳で初めて山に登って以来、登山はもちろん、清掃登山をはじめとした環境問題や社会貢献に関するさまざまな活動に勤しんできた。枠にとらわれない挑戦を続ける同氏を突き動かすものとは何なのだろうか。その唯一無二の哲学を伺った。

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