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コラム

“満塁男”駒田徳広氏が経営するバーは 昭和にタイムスリップできる都会の隠れ家

下町情緒あふれる町、西小山の地下にある「Koma’s House」は、元プロ野球選手の駒田徳広氏と西尾亨氏が共同で経営するバー。店内には駒田氏にまつわるアイテムや古いレコード等が並び、往年の歌謡曲が流れる。昭和レトロな雰囲気に惹かれ、幅広い年代の客が連日足を運ぶ。お店について駒田氏に話をうかがった。
 

野球評論家 駒田 徳広
 
1962年9月14日、奈良県生まれ。プロ野球選手として読売巨人軍・横浜DeNAベイスターズで活躍。満塁時の打席で抜群の勝負強さをみせ、「満塁男」と称された。引退後は横浜など複数の球団でコーチを歴任。2016年から2019年まで、独立リーグ・高知ファイティングドッグスの監督を務めた。2020年9月に、巨人時代の先輩・西尾亨氏と共同経営でKoma’s Houseを開店した。 
 

 

駒田氏の趣味が反映された昭和レトロな店内

本誌のゲストインタビュアーでもある駒田徳広氏。2019年まで独立リーグ・四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグス監督を務めていた駒田氏は、2020年9月に巨人時代の先輩である西尾亨氏と共同でバー「Koma’s House」をオープンさせた。店は、東急電鉄目黒線西小山駅から徒歩5分ほどの場所にある。下町情緒に満ちた商店街を抜け、地下1階にある店に足を踏み入れると、そこはまるで何十年も前にタイムスリップしたような錯覚に陥るほど、昭和レトロの雰囲気が漂う。駒田氏の現役時代の写真、古い週刊誌やレコード、VHSが並んでおり、「懐古主義者」を自認する駒田氏の趣味嗜好が店の隅々まで反映されているのだ。

「もともと僕は、車にしても音楽にしても古いものが好きですから。店のコンセプトの一つとして、昔を懐かしめる場所があればいいなという思いがありました。時代遅れ感があるのだけど、それが逆に最先端に感じられるような」と駒田氏は語る。

近年、レコードやカセットテープの音源発売など、音楽業界を筆頭にアナログ回顧ブームが盛り上がりをみせている。だが駒田氏のアナログ好きは、そうした「ブーム」とは一線を画する筋金入りのものだ。

「随分前からそういう傾向があった人間からすると、昨今のアナログブームというのはちょっと癪に障ります(笑)。意外なことに、お客様の中にはIT関係の方が多かったりするんですよ。やっぱり、そういう昔を懐かしむような気持ちはどんな人にもあるんだなと感じます」

店の雰囲気からすれば、駒田氏と同年代の客が大半を占めるのではないかと想像されるが、必ずしもそうではなく、性別も年齢層もさまざまなのが特徴だという。お店は食べ物の持ち込みもOK。店内でかかる音楽はすべて駒田氏が選んでおり、その時々で客の年齢層にマッチした選曲を行っている。

「年配の方に合わせて、自宅から持参した昭和30~40年代のレコードをかけたりしますし、若いお客様がいる時は比較的新しい曲をかけたりすることもあります。新しいといっても、1990年代までですが(笑)」

お客さん同士のつながりも生まれる場所

西尾氏が「本当に裏表のない性格なんです。正直者そのものという感じですね」と評する駒田氏。プロ野球選手時代の移籍も含め、これまで、その時点で一番楽しいと思ったことを選択してきたと話すその口ぶりからも、気さくで飾らない人柄が伝わってくる。平均すると週に4、5日は店に顔を出しているという駒田氏が、いま最も楽しいのが、人との出会いだという。

「Koma’s Houseを経営していて楽しいのは、さまざまな人と出会えて、その方たちといろいろな話ができることですね。昔の野球のビデオを一緒に見るのも楽しい。うちの店はどの椅子も同じ高さなので、僕も含めて皆が同じ目線になる。だから僕が話していても、お客様同士で横のつながりが生まれるんです。このご時勢ではありますが、許される範囲で、皆でわいわいできる場所をつくりたい。それもまた、このお店のコンセプトの一つなのかなと思っています」

そのような交流の中で、お客さんから、現役時代の話や今のプロ野球に関する感想を求められることもしばしば。「正直者そのもの」の駒田氏だけに、お店では野球解説者としてのコメントとはまた異なる、本音が聞ける場面も少なくないとか。

「例えば、首位と10ゲーム差が開いている状況で、『今から逆転優勝はありますかね?』と聞かれたら、『それはないです』と正直に答えます(笑)。テレビとかだと『いや、これからですよ』と言わなきゃならないじゃないですか。でも、ここではそんな嘘はいらないんですよ。同じように『来年は頑張ってほしい』と言うのでも、上っ面ではなく、心からそう思えるような話をお客様としたい」

仕事で疲れた後に懐かしい音楽とお酒を楽しめる憩いの場所であり、駒田氏の本音トークが聞ける貴重な空間でもある「Koma’s House」。野球ファンならずとも、一度足を運んでみることをお勧めしたい、とっておきの都会の隠れ家である。

(取材:2020年11月)
 


Koma’s House

〒142-0062
東京都品川区小山6-5-6
エル・キャステロ392ビル B1
TEL 03-6421-5101
営業時間 19:00~ / 定休日 不定休

 
 

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